【東京五輪】祖父母の住む日本で父の夢をかなえたシャウフェレ

縁ある日本で、ザンダー・シャウフェレ(米)が、金メダルを手にした。埼玉県の霞ヶ関カンツリー倶楽部で最終ラウンドが行われた東京オリンピック男子ゴルフ競技で、激戦を制したシャウフェレ。勝利を呼び込んだのは、終始、冷静なプレーぶりだった。

◆東京五輪ゴルフ<男子 7月29日~8月1日 埼玉県・霞ヶ関カンツリー倶楽部 東コース 7447ヤード・パー71>

ブッシュに打ち込んでも揺れなかった心

 8番までに通算18アンダーとして追走する松山英樹との差を一時は5打まで広げたが、バックナインに入って失速。ティーショットがフェアウェーをとらえられなくなり、どんどんスコアを伸ばしているローリー・サバティーニ(南ア)や、同じ最終組の松山の影がちらつく状況に追い込まれた。

人柄の素晴らしさでも知られるシャウフェレ。金メダルを得て最高の笑顔を見せた 写真:Getty Images

 一番のピンチは14番だった。パー5のこのホールで、ティーショットを大きく右に曲げてブッシュの中に打ち込んでしまう。ボールは何とか見つかったが、とうてい打てる場所ではなく、アンプレヤブルの処置をして1打罰でレイアップ。4オン、2パットのボギーを叩いてしまう。

 一方の松山は、見事に2オン。イーグルパットこそ決まらなかったが、バーディーを奪って差は1打に縮まった。

 オリンピックの金メダルがかかる大詰め。スコアを伸ばしたいホールでのボギーは痛手だが、シャウフェレが崩れることはなかった。続く15番、16番をパーで切り抜けると、17番で値千金のバーディー奪取。追う松山が15番ボギーで一歩後退し、その後もスコアを伸ばせない中、マイペースを貫いた。

 シャウフェレと松山は、今年のマスターズでも最終日の最終組で激突している。4打差でのスタートだったが、15番を終えた時点でその差は2打と緊迫する場面があった。続く16番パー3でシャウフェレがトリプルボギーを叩いたことで松山は楽になる。結局、松山はそこから2打、後退しながら何とか逃げ切った。だが、オーガスタの仇を日本で、ではないが、今回の戦いはシャウフェレに軍配が上がった。

 シャウフェレの母は日本との縁が深い。日本育ちの台湾人で、祖父母は今でも東京で暮らしている。孫のザンダーも来日経験は少なくない馴染みの国。今回も祖父母に会うことを楽しみにしていたが、コロナ禍でかなわなかった。代わりに、金メダル獲得という大きなプレゼントをもたらしたことになる。

 スイングコーチを務める仏独ハーフの父、ステファンさんは、勝者が“キング・オブ・アスリート”と呼ばれる十種競技の選手。だが、ドイツでオリンピック出場を目指していた頃、飲酒運転のドライバーにはねられ選手生命を絶たれている。

 27歳の息子は、父の夢を、最高の形でかなえた。今年のマスターズ優勝は叶わなかったが、誰よりもオリンピックの金メダルを欲した男に、勝利の女神はほほ笑んだ。

この記事の画像一覧へ(1枚)

画像ギャラリー

/wp-content/uploads/2021/08/xander_GettyImages-1331750136-1-150x150.jpg

最新記事