9アンダー63でコースレコードタイ
いつもニコニコと笑顔を見せている印象がとても強い。身長150センチと小柄な西村優菜のプレーを見た人は分かると思うが、どんなときも笑っている。

住友生命Vitalityレディス東海クラシックの最終日もそうだった。西村は首位と5打差の15位タイからスタート。「優勝は少し遠い位置からのスタートだったので、自分がしっかりと伸ばすことだけ考えていました」という西村。
3番、4番で2メートルを沈めて連続バーディー。その後、7番で西村にスイッチが入った。
「7番のティーイングエリアのところにスコアボードがあるんですけど、その時点でトップと2打差か3打差かくらいだったと思います。もしかしたらギアを入れて戦っていけば、可能性は薄いけど優勝もあるかなと。そこからギアを入れました」
7番でバーディーを奪い、さらに9番から12番まで4連続バーディー。14番で6メートルを入れてスコアを伸ばすと、18番でも残り110ヤードの第2打を1メートルに寄せてバーディーを奪った。9バーディー、ノーボギーで大会コースレコードタイ、ツアー自己ベストとなる63を叩き出し、通算10アンダーで逆転優勝した。
ちなみに、“ギア”を入れることについては「自分の頭の中のイメージでは、車のエンジンをかけるみたいに『バンッ』ってイメージをするのと、後はかけたら集中力を高めるっていう感じです。それが実戦でできるように『今から集中しよう』と練習の中で取り入れるようにしています」と説明する。
身長150センチでドライビングディスタンスは230.72ヤードの72位だが、精度の高いショットとパターで今季トップ10入りは17回の2位。それに加えて、常日頃からここ一番の勝負所で力を発揮できるメンタルも持ち合わせている。まだ21歳の“小さな巨人”は、どこまで伸びていくのか楽しみでもある。

ちなみに2020年と21年が統合となった今シーズンの3勝目だが、すべて逆転優勝。最終日に強さを発揮する理由についてこう語る。
「まずは最終日しっかり伸ばせる選手になりたいと思っています。最終日のプラン立ては、1日目とあまり変わらないのですが、しっかりと集中したプレーをすると心掛けています。たまたま逆転できているって感じだとは思うんですけど、最終日に良いプレーができて優勝していることは、すごく自信にもなってます。ただ、トップで迎える最終日はまだ経験したことがなくて、自分の中でそこは挑戦していく部分です」
次こそは最終日をトップで迎えてからの優勝を思い描く。そのときはまたとびきりの笑顔を見せてもらいたいものだ。