今さら? いや、今だからこそスイング改造に踏み切ったベテラン武藤俊憲【パナソニックオープン前日情報】

2年ぶりに開催されるパナソニックオープン。前回大会優勝者の武藤俊憲は今季不振に喘いでいるが、その理由はスイング改造にあるという。43歳のベテランがなぜ今スイング改造を? いや、今だからこそスイング改造に挑む理由を語った。

体に染みついたクセを一掃したいと思った

◆国内男子プロゴルフ<パナソニックオープン 9月23~26日 城陽カントリー倶楽部(京都府) 6967ヤード・パー72>

 ツアー7勝、43歳の武藤俊憲が2年越しのディフェンディングチャンピオンとして明日からの今大会を迎える。

1打差首位で迎えた最終日、64を叩き出して優勝した2019年大会の武藤俊憲

「2年ぶりだといつものディフェンディングとまた違う雰囲気で不思議な感じですね」と振り返るが、ある意味、この2年は武藤にとってこれまでのゴルフ人生よりも密度の濃い期間だったのではないか。というのも、大幅なスイング改造に取り組んでいるからだ。

「パーシモンヘッドのドライバーにバラタカバーの糸巻きボールという、飛ばないクラブとボールでゴルフをしていたときのクセをこの時期に一掃したいなという思いでスイング改造に着手しました」と武藤。

 素材はもちろん、ヘッドの容量もシャフトもまったく異なるドライバーで、高弾道で曲がりにくいボールを打つことは、それまでと同じゴルフスイングでは対応できないと頭の中では理解していた。自分なりに調整してきたつもりだし、結果も残してきたが、どこかに以前のスイングが残っていることも事実だった。新型コロナの影響で昨年は試合数が大幅に削減されたこともあり、思い切って根本から変えることを決意したのだ。

 しかし、そう簡単な作業ではない。長年染みついたクセがつい顔を見せてしまう。未完成のままトーナメントに出場して結果を残せるほど甘い世界ではない。今季は19試合に出場して予選通過したのは半分に満たない9試合だった。最高順位も関西オープンの47位タイで賞金ランキングも103位に低迷している。「周りの皆さんも心配されて、かなり多くの連絡もいただきました」と武藤。それでも、スイング大改造という信念はブレず、完成形を目指して突き進むしかない。

スイング改造が成功すれば選手寿命は一気に延びる

 武藤が目指すスイングとは、一体どのようなものだろうか。

 答えはできるだけ余計な動きを抑え、シンプルな動きでボールをとらえることにある。これまでのようにクラブを鋭角に下ろし、ダウンブローでボールをとらえるのではなく、ダウンスイングでクラブが下りる角度をなるべく緩やかにしてとらえるシャロースイングにすることだ。同時にフェースローテーションを抑え、自然な動きでフェースを返していく。

 いってみれば、最近の若手が当たり前のように行っているスイングでもある。しかし、これまでまったく異なるスイングをしていたベテランだからこそ、簡単にはできない苦しみもあるのだ。

「ドライバーに限らず、アイアンやパターでもシャローに下ろし、フェースローテーションをしないスイングを目指しています」と武藤。時間はかかっているが、それでも迷路にはまり込んでいるわけではない。「今は下に沈んでいる状態ではありますが、出口はしっかり見えています。そこにたどり着くためにしっかりと足場を組む作業をやっている状態です」と明るい表情を見せる。

 前回大会では決勝ラウンド2日間で64を並べ、通算21アンダーまでスコアを伸ばして2位以下に4打差をつけた。

「今にして思えば、今平周吾、石川遼、ジャズ(・ジェーンワタナノンド)の3人によく勝てたなと思います」と振り返るが、その事実は永遠に消え去ることはない。クラブやボールの進化はベテランには試練かもしれないが、逆にうまく対応できれば、選手寿命が一気に延びることにもつながる。

 どちらを選択するのかは選手次第だし、武藤はちょうどその岐路に立っているところだろう。それを見極める意味でもディフェンディングの大会で結果を残して見せるつもりだ。

最新記事