最終日最終組は全員がツアー未勝利 永野・芦沢・大岩が初優勝に挑む【パナソニックオープン3日目情報】

パナソニックオープン3日目、通算15アンダーで永野竜太郎、芦沢宗臣、大岩龍一の3人が首位に並ぶ。永野は19年にシード復活したばかりで、芦沢と大岩はシードを持たない。誰もがツアー初優勝を手にしたいところだが、その心中は?

優勝を意識することなく平常心で最終日に臨む永野

◆国内男子プロゴルフ<パナソニックオープン 9月23~26日 城陽カントリー倶楽部(京都府) 6967ヤード・パー72>

 難コースといわれる城陽カントリー倶楽部を舞台にした今大会。3日目を終えて通算15アンダーで首位に3人が並ぶ展開を予想できた人は少ないだろう。いい意味で予想を裏切ったのは、プロ14年目の永野竜太郎、プロ6年目の芦沢宗臣(ひろたか)、そしてプロ4年目の大岩龍一だ。どの選手が勝ってもツアー初優勝だが、それぞれがこれまで苦い経験をしてきただけに、このチャンスに賭ける思いは強い。

3日目も最終組で共にプレーした永野竜太郎と大岩龍一。“ドラゴン”対決はどちらに軍配が上がるか 写真:JGTO images

 まずはこれまで何度となく優勝争いを演じてきた永野だ。7バーディー、3ボギーの68だったが、この日も2日目までの攻め方は変わらず、ドライバーで遠くへ飛ばして、短いクラブで打つという作戦だった。バーディー数は前日と同じだったものの、パー3で2つのボギーを叩いたことがスコアを大きく伸ばせなかった要因だ。もちろん、それは他の選手と比較しての話であり、追われる立場の最終組で回りながら、4打もスコアを伸ばしたことは大きな自信となったはずだ。

「いい位置にいるのは(前日と)変わりませんし、明日は楽しみですが、連日ビッグスコアが出ているので、明日もそういう展開になるのかなと思います」と、優勝するためには3日目よりもいいスコアを出すことが最低条件だと考える。

 過去、優勝争いに絡んだときは、余計なことを考えるあまり、必要以上のプレッシャーを感じていたが、「今はそこまで深く考えません」と自然体で臨むことを強調する。数字的にも予選ラウンドよりもフェアウェイキープ率が57.14%(23位タイ)と上がっている兆しもある。平常心で臨めれば十分チャンスがあるのは間違いない。

賞金ランキング161位からの下剋上狙う芦沢

学生時代のアルバイト先としてコースを熟知する芦沢 写真:JGTO images

 次に、4年前の今大会がツアーデビュー戦となった芦沢だが、10バーディ、3ボギーの65と、予選ラウンドよりもさらにペースをアップした。城陽CCは学生自体にキャディーのアルバイトをしたことで攻め方は熟知しているが、それ以上に支えになっているのがキャディーを務める松本珠利だろう。同じ田辺カントリー倶楽部の所属プロだけあって、息はピッタリ。

「今日はけっこう長いバーディーパットが入っていましたが、キャディーと相談しながらラインを読んでいました」と振り返る。ちなみに、互いの意見が異なったときは、真っすぐなラインと判断し、それが功を奏したという。

 最終組で回った今年の日本プロではプレッシャーもあり、3日目に大きく崩れたが、この日はミスをしてもそれを引きずることがなく、自分のペースをすぐに取り戻していた。崩れるどころかビッグスコアを出したのは大きく成長した証でもある。

 ここでも松本の存在は大きい。終始笑顔を浮かべて、芦沢をリラックスさせているように見えた。最終日はさらにプレッシャーがかかるが、松本は競争率の高い今年の女子プロテストで2位になっているだけにメンタル面の強さは確かなところ。たとえ芦沢が弱気になっても心強い相棒が支えてくれるはずだ。賞金ランキング161位からの下剋上は大いに考えられる。

最終日は楽しんで6度目の優勝争いに挑む大岩

 最後に、今季5度の優勝争いを経験している大岩だが、この日は出だしの2番パー4でボギーを叩きながらも、1イーグル、6バーディ、3ボギーの67でフィニッシュ。自身初の首位タイで最終日を迎えることになった。

「今日も緊張しましたが、大分落ち着いてプレーできるようになりました。同組の永野さんがスコアを伸ばしていても気にせず回れましたし、これまでの経験が生きたのかなと思います」と手応えを感じていた。

 プレースタイルは永野と同じで、フェアウェイキープよりも飛距離重視の作戦がプラスに働いている。細かいことを考えず、思い切りよくクラブを振れるだけに、変にプレッシャーを感じにくいのかもしれない。「優勝は意識しますし、落ち着いてプレーできるか分かりませんが、明日も4アンダーを目指して楽しんでプレーしたいですね」と悔いのない戦いを目指す。

 三者三様でツアー初優勝に賭ける思いはそれぞれだし、他の組から優勝者が出ることも十分あり得るが、最後まであきらめずに戦う気持ちだけは、誰にも負けていない。

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