勝負服はブルーのポロシャツと紺のパンツ AbemaTVツアーの3勝すべてで着用
高卒1年目の19歳ながらAbemaTVツアーで今季3勝を挙げ、レギュラーツアーの出場権を獲得した久常涼。その第1戦となったバンテリン東海クラシックでどのようなゴルフをするのか注目が集まった。

「ゴルフを初めてから同世代の中ではずっと飛ばし屋としてプレーしてきました。自分でもドライバーの飛距離には多少の自信を持っています」というように、今大会ではパー3以外の全ホールでドライバーを握った。
ティーショットを飛ばすだけ飛ばしたら、ラフに入ろうと、短いクラブでグリーンを狙えばいいという考えだ。その作戦がズバリはまったのが3日目だ。
この日のフェアウェイキープ率は28.57%と3割にも満たなかったが、パーオン率は83.33%と高い数字を残した。その結果、5バーディ、ノーボギーの66というツアー自己ベストをマーク。通算8アンダーにまでスコアを伸ばし、首位と4打差に迫る。こうなると、AbemaTVツアーで2度も61を出すなど、ここ一番での爆発力があるだけに、逆転優勝も視界に入る。
久常自身も「運よく今年の出場権を得られたので、来期に生きるような経験を積みたいです」と大会前は控えめに語っていたが、「チャンスがあれば積極的に上位を狙いたいです」と目標を切り替える。
最終日は、AbemaTVツアーで優勝した試合の最終日に必ず着ていたブルーのポロシャツと紺のパンツを選択。勝負服に身を包み、逆転優勝へ気合いを入れた。
自分の実力を肌で感じるためにもZOZOチャンピオンシップには出場したい!
勝てば石川遼、ハン・ジュンゴン、松山英樹に続く史上4人目の10代優勝者となるだけに、周囲からの注目を浴びた最終日、久常は8番を終えるまでにスコアを2つ伸ばす。ところが、9番パー4で思わぬ落とし穴が待っていた。なんと1メートルのパーパットがカップにけられて外れてしまったのだ。
「完全に入ったと思ったパットが外れたことで、相当なショックを受けました。そこから気持ちを上手く切り替えることができないまま、後半を迎えた感じです」と久常。すんなりとパーパットを沈めていれば、「さあ、残り9ホール!」と気分が盛り上がるところで、完全に水を差された形となった。
その後、11、13番でボギーを叩いた久常。この日3つ目のバーディを奪ったのは最終18番と、反撃するには遅すぎた。「経験の無さと言いますか、対応力の無さを感じた1日でした。ショットがよかった中で、気持ちの切り替えがうまくできなかったのは大きな反省点ですね」と、悔しそうな表情を浮かべた。
それでも収穫はいくつかある。今回、トーナメントでは初めてツアーキャディを採用。「コースマネジメントを考えてもらいましたが、その指示どおりにできたところもありました。ショットの精度が足りない部分も分かりましたし、今後に向けてのいい課題を得られたことは収穫です」と力強く語る。今年の前半に数試合出場していたときよりも気持ち的に余裕を持ってプレーできたことも大きい。
最終的に通算8アンダーの9位タイでフィニッシュした久常。もちろん、ツアーでは初のトップテン入りであり自己最高順位だが、喜びに浸ることはない。
「できれば、次戦のブリヂストンオープンでは7位以内に入って、ZOZOチャンピオンシップの出場権を獲得したいです。PGAツアーは目標でもあるし、今の自分に何が足りないのかを肌で感じ取りたいです。出場できるチャンスが1%でもあるなら、そこに賭けたいと思います」と、すでに視線は先を見ていた。
アマチュア優勝を飾った金谷拓実や中島啓太と同じようにナショナルチームでガレス・ジョーンズヘッドコーチの指導も受けていた久常。AbemaTVツアーでの活躍も含めて、その実力は間違いなく本物だ。