改造中のスイングは「先週がマイナスなら今は50点くらい」
大逆転劇での勝利だった。渋野日向子がペ・ソンウとのプレーオフを制して今季2勝目、日米通算7勝目を挙げた。

渋野は最終18番パー5を首位のペ・ソンウと2打差で迎えていた。
「イーグル獲るしかないと思ってたので、ドライバーでマン振りして、2打目をできるだけ7番ウッドとか持てたらいいなと思っていました。ティーショットが予想以上に飛んでいたので、2打目を7番ウッドで打てました。普通にフルショットくらいの距離だったので、もうあとは逃げずに狙っていくしかないと思ってました」
ピンまで残り199ヤードを7番ウッドで2オンに成功すると、7メートルを2パットでバーディーを奪取。1打差に追い込まれたぺ・ソンウは、1.5メートルのウィニングパットを左に外してまさかのボギー。グリーン上で呆然と立ちすくむペ・ソンウ。通算9アンダーで並んだ渋野とペ・ソンウのプレーオフは、その後の精神状態が勝敗を分けたと言っても過言ではなかった。同じホールで行われたプレーオフでは、渋野が1ホール目でイーグルを奪って勝負を決めた。
これで今季2勝目。7戦中6戦でトップ10入りと絶好調だ。ただ、先週のNOBUTA GROUP マスターズGCレディースで予選落ちしたあとの優勝とあって、浮き沈みがないとは言えないが、改造に着手したスイングへの手応えを感じているのは確かだ。
「(スイングは)日に日に変わっていくので、先週がマイナスだとしたら今は50パーセント。50点くらいかなと思っています。毎回同じようにスイングできているかと言われると、できていないと思います。でも、できたというショットが1日1回あるとすごくうれしい」
それでもここ7戦中、6戦がトップ10入りという結果は自信につながっている。次の言葉からは精神面での充実ぶりもうかがえる。
「6月の全米女子プロゴルフ選手権の2日目にバーディー、イーグルで予選通過したんですけど、その時に『観ていて面白いゴルフをしてくれてありがとう』って日本人の方が言ってくださったんです。そこから“面白い”って言葉に敏感になったというか。観に来ていただいている方には楽しんでもらいたいですし、観ていて面白いゴルファーになりたいなと思って」
また、今大会は多くのギャラリーの前で優勝する姿を見せられたことで「(ギャラリーが)何かしら力に変えてくださっていると思う。見えない力があるんだなと思います」と語る。自分だけに精一杯な状況ではなく、周囲を見渡せる余裕も出てきた。言葉の端々から着実に成長している姿が伝わってくる。
今回はハラハラさせる大逆転劇でゴルフファンに興奮を与えた渋野。次はどんな展開で楽しませてくれるだろうか。