婚約者の「大丈夫だよ」に支えられ池村寛世がガツーンと初代チャンピオン

一時はこのまま予選落ちが続くのではないかと悩んでいたという池村寛世が、7打差をひっくり返す大逆転劇を演じ、悲願であるツアー初優勝を飾る。表彰式で喜ぶ池村の横には、キャディとして、婚約者として池村を支え続けた女性の姿があった。

「彼女がポジティブなので引っ張ってもらった感じです」

◆国内男子プロゴルフ<ISPS HANDA ガツーンと飛ばせ ツアートーナメント 10月28日~31日 美浦ゴルフ倶楽部(茨城県) 6988ヤード・パー71>

 今年からの新規トーナメントとして開催されたISPS HANDA ガツーンと飛ばせ ツアートーナメント。その初代チャンピオンとなったのは、プロ9年目の26歳・池村寛世(ともよ)だった。

ISPS HANDAがスポンサードする大会ならではの兜と羽織 写真:JGTOimages

 最終日を首位と5打差の11アンダー・2位タイでスタートしたが、一時は7打差まで広げられる。しかし「勝負は後半に入ってから」と、焦ることなく自分のペースを乱さなかった。その思惑どおり、後半の9ホールだけで6つのバーディを奪い、スコアを伸ばし切れなかった首位の植竹勇太に2打差をつけてホールアウト。悲願だったツアー初Vをついに手にした。

「同級生の比嘉一貴君や同じ鹿児島県出身の稲森佑貴さん、香妻陣一朗さん、出水田大二郎さんが勝っているのに、自分だけ勝てずずっと悔しい思いをしていました」と、本音を吐露した池村。高校2年のときにオーストラリアへ半年間のゴルフ留学をした後、すぐにプロを目指して高校を中退。ツアープロとして生きる覚悟を決めた。その後、22歳の17年に初シードを獲得。以来、優勝のチャンスが何回かあったが、なかなかものにできずにいた。

「今年のANAオープンでもそうでしたが、優勝争いに絡んでいても、大事な場面でちょっとミスをするとへこむことが多くて……。ゴルフに対する考え方とかとらえ方を変えていかなければダメなんだと考えていました」と池村。勝つことに対する執念が今一つ足りなかったのかもしれない。

 そんな池村を励まし続けていたのが、婚約者であり今回キャディを務めていた坂口琴音さんだった。「自分がけっこう落ち込むほうなんですけど、彼女がポジティブなので引っ張ってもらった感じです」と池村。ラウンド中にくじけそうになったときには、「大丈夫だよ」と何度も声を掛けてもらったという。しかし、彼女が池村を支えたのはそれだけではなかった。

左に曲げたくないときの必殺技は“直ドラ”

 元来、池村はそれほど練習に時間をかけるタイプではなく、ラウンド後も30分ほどボールを打つとコースを後にすることが多かった。しかし、今年の途中から日暮れまでボールを打ち続けることが増えたという。

「予選落ちが続いて苦しんでいたときでも、ずっと練習場に一緒にいてくれて、スイングの動画を撮ってくれたり、支えてくれていたんです」と池村。フェードヒッターなので、元々アウトサイドイン気味のスイング軌道だったが、それが極端になり、ボールを左に引っ張ったり、それを嫌がって右に押し出すようなことが多かった。

 そんな池村を見かねてなのか、谷原秀人や武藤俊憲がアドバイスをくれ、本人も必死にスイング軌道を修正しようとしていた。特に谷原から教わった練習法は熱心に繰り返した。「一度両手をアウトサイドに上げた後、極端なインサイドアウトの軌道でショートスイングを行います」というが、それがはまったのか、徐々に以前のスイングを取り戻しつつあった。

 もちろん、簡単に身につくわけもなく、ラウンド後も日が暮れるまでボールを打ち続けたという。それも坂口さんが近くにいたから続けられたと感謝する。

 ちなみに、今自分のスイングを動画で見ると、スイング軌道が修正されただけでなく、ダウンスイングの切り返しでの力みもなくなり、まるで別人のスイングにしか見えないという。当然、ショットもイメージどおりの弾道で打てるようになり、それが今大会での好スコアにつながった。

 また、もう一つ不調の原因に、愛用していたドライバーのヘッドが3月に破損したということもあった。左へ曲るミスが多く、一時はドライバーを握るのすら怖かったというが、そのときに練習したのがティーアップせずに打つ“直ドラ”だった。普通は2打目に使うことが多いが、池村はティーショットで活用した。

「20ヤードぐらい飛距離は落ちますが、左へ引っかけない分、安心して打てます」と、最終日も4、8、10番の3ホールで使用した。本来はフェアウェイウッドよりもフェースの芯がソールから高い位置にあるため難しいショットではあるが、背に腹は代えられず、必死に練習したことが幸いした。まさに怪我の功名ともいえるだろう。

 優勝が決まった後、坂口さんと抱き合い、大粒の涙を流して喜んだ池村。優勝という最高の形で恩返しできたことがうれしく、感情がたかぶっての涙だった。これで賞金ランキングは18位にまで上がったが、「残り5試合でなんとか10位以内に入れるように頑張りたいですね」と、新たな目標を設定していた。

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