家族や応援してくれる人への思い
開幕まであと2週間と迫った国内女子ツアー。初戦のダイキンオーキッドレディスに向けて、有力選手が大会事務局に意気込みを寄せた。ベテラン選手たちも高いモチベーションを見せている。

申ジエ「休むこと、ストレスを解消することも選手の努力の一部」
元世界ランキング1位、日本ツアー通算26勝、海外10勝を誇る申ジエ。昨シーズンも安定した成績で賞金ランキング6位の結果を残した。オフはツアー生活16年の豊富な経験を生かすため、広い視野と体力の習得を図っていると言う。自分のプレーにさらに集中できるよう、基本練習、体力・メンタルトレーニングに取り組む。
「昨シーズンは、初めて8ヶ月間試合をやっていなかったので引退したような感じもありましたが、ゴルフツアーファンの方々がどんなに選手たちを愛しているのかを深く感じられました。いろいろな経験をしたと思います。コロナ禍で韓国との往来が不可能になり、日本で一人で休むことが心の負担になったこともありました。休むこと、ストレスを解消することも選手の努力の一部ですし、その状況に合わせた方法を考え、実力を保つことが必要だと感じました。ダイキンオーキッドでは、シーズン開幕のために準備してきたことを上手く試したいです。自分の心の中心には、どんなプレーをするのかという怖さより、期待と挑戦に対する楽しみを置きます。久しぶりに沖縄のファン、スポンサーの皆様にお会いできるのを楽しみにしています。2022年は、ゴルフに対してもっと深く考え、忙しくなる1年にしたいです。怪我することなく、応援していただいてる皆様との約束を守れる1年になればいいなと思います」
菊地絵理香「シード権獲得と優勝することが2022年の目標」
ここ6シーズンで4回の賞金ランキング10位以内と、抜群の安定感を誇る菊地絵理香。昨年のアース・モンダミンカップでは4年ぶりの勝利を挙げた。課題として挙げたのはアイアンショットのライン出し。トレーニングはバランスがとれた身体全体の強化に取り組む。2月からは宮古島で実戦練習に励む。
「昨年は、久しぶりに優勝ができて嬉しかったです。ウェッジショットがあまり良くなかったところが改善点ですが、少しだけドライバーの飛距離が伸びたことは評価ポイントだと思います。ダイキンオーキッドでは、まずはしっかり予選通過をして、優勝争いできるように頑張ります。シード権獲得と、優勝することが2022年シーズンの目標です」
渡邉彩香「家族、チーム、応援してくれている方々の前で勝ちたい」
一昨年、コロナ禍によって2020-21シーズンの開幕戦となったアース・モンダミンカップで5年ぶりの優勝。見事な復活を果たした渡邉彩香。12月から1月はウェッジショットの精度アップ、パッティングストロークの見直し、怪我をしない身体作り、ボールの打ち込みを行う。2月からラウンドをメインとした実戦練習に励む。
「昨シーズンはコロナ禍のなかでしたが、多くの大会を開催していただき嬉しかったです。その中で久しぶりの優勝もあり、その1勝で終わってしまったことには課題を感じますが、シーズンを通して体調も整えられ、毎試合全力でプレーすることができたので、充実したシーズンでした。数年苦しんでいたドライバーの調子をシーズン通して、大きく崩れることなく、自信を持ってプレーできたこと、怪我や風邪などなく、常に万全の体調で試合に挑めたことが評価ポイントです。課題は、修正力の遅さ、ウェッジショット、パッティングの精度に感じたので、オフに取り組みます。ダイキンオーキッドでは、オフに取り組んできたことをひとつでも多くプレーに繋げられるように全力で挑みます。2022年の目標は、家族、チーム、応援してくれている方々の前で勝つことです」
鈴木愛「今年の目標は複数回優勝とメルセデスランキング1位」
昨シーズンは2021年資生堂レディスの1勝にとどまり、賞金ランキングも17位にとどまった鈴木愛。17年、19年と2度の賞金女王に輝いた鈴木としては物足りない成績だけに捲土重来を期しているだろう。1月25日から3週間アリゾナで合宿を行い、トレーナーを帯同してのトレーニングや、食事も栄養士の指示のもと体を考えたメニューで体調管理にも取り組む。
「2020年はパット、21年はショットの調子が悪く、思うような結果が出ず、課題の多いシーズンでした。アプローチはすごく良かったので、ショットが曲がりながらも難しい位置から寄せることができました。2022年の課題はショットです。曲がりすぎてマネジメントができなかったので、もう一度スイングを固める必要があると思っています。ダイキンオーキッドでは、毎年良い結果を残せていないので、今年こそは予選を通過し、良い位置で最終日を迎えられたらと思っています。今年の目標は、複数回優勝と、メルセデスランキング1位です」
横峯さくら「子連れでのツアーは大変かもしれませんが、幸せを感じています」
昨年2月4日に男児を出産し、ママとなってから丸1年が経過した横峯さくら。今年は愛息を帯同してキャディーを務める夫と家族3人でのツアー転戦となる。1月4日から2月28日まで静岡で合宿を行い、身体を良い状態にするためにトレーニングメインでオフを過ごし、ラウンドをしながら徐々に感触を確かめていくベテランらしい調整で臨む。
「2020、21年は妊娠、出産という経験をしました。産後、身体を戻す大変さは思っていた以上でしたが、焦らず地道にできたかなと感じています。昨年の最後に2022年シーズン前半戦の出場権を獲得できたことが嬉しかったですし、少しずつ良い状態になっていると感じることができました。出産後にアメリカツアーで予選通過できたことは評価ポイントです。課題は、自分のスイングを理解することかなと思っています。今はまだその途中なので、これからもっと研究して理解していきたいです。8年ぶりの本格的な日本ツアーがとても楽しみです。ダイキンオーキッドから子どもも一緒にツアーをまわるので、大変なことも多々あると思いますが、幸せを感じています。家族3人で同じ目標に向かって頑張ります。今年こそは優勝したいので、まずは開幕戦でトップ10に入り良い感触を得たいです」
妻になり、母になっても競技への高いモチベーションを保ち続ける横峯は、これから女性ゴルファー、女性アスリートのロールモデルとなっていくかもしれない。