新人離れした小技のうまさ
昨年のプロテストに合格した中国人のルーキー、フォン・スーミン。日本では“新人”とはいえ、1995年生まれで4月7日には27歳を迎えるプロ8年目の選手でもある。

今季のQTランキングは86位で、レギュラーツアー出場は限られているが、今大会は主催者推薦で出場。大会2日目を3バーディー・2ボギーの71で回り、通算5アンダーの5位タイに浮上した。
「前半は悪天候の影響を受けてリズムが崩れたのですが、後半は天候も回復してショットも良く、いいリズムでプレーできました」
彼女の特徴は“見た目”にある。日本ツアーの女子選手では群を抜く177センチの高身長。それだけにドライバーの飛距離が出るのかと思いきや、「私は見た目と全然違います」と笑う。
「背は大きいのに飛距離はあまり出ないんです。ウェッジが得意で、それでスコアがまとまりました」
今日の3つのバーディーはすべてウェッジできっちりとピンに寄せた。難コースと言われる葛城GCだが、小技のうまさは場数を踏んできた証拠で、“新人ばなれ”していた。
アマで日本ツアー出場の過去
実は2015年から5年間を米女子ツアーで過ごしている。17年までLPGAツアー、18、19年をシメトラツアーでプレーし、様々なコースで経験を積んだ。
「米ツアー時代はフォン・シャンシャン選手と一緒に行動したり、アドバイスをもらったりしていました」
米ツアーでは優勝できず、次に戦いの場を求めたのは日本。20年に来日し、ステップ・アップ・ツアーに出場。21年にはユピテル・静岡新聞SBSレディースで初優勝。同年のプロテストにも合格した。
日本ツアーを選んだ理由については、「11年のサントリーレディスにアマチュアで推薦で出場しました。横峯さくらさんと同じ組で回ったのですが、すごくギャラリーが多くて、雰囲気もすごく良くて、いつかここでプレーしたいと思っていました」と語る。
憧れの日本選手は大山志保だという。アマチュアで出場したサントリーレディスの練習ラウンドで一緒に回ったのがきっかけだ。
「大山さんのいろんな記事を読んで、成績も良くて長く続けている姿に感動しました。私もそんな選手になりたい」
通訳を介しての取材だったが、海外ツアー生活が長いせいか、メディアの対応もそつなく慣れたもの。
身長が高くて良かったこと、損をしたことについて聞くと「下半身が不安定なのと彼氏が見つかりにくいこと」と言って、笑いを誘った。
目標は「出場できる試合でベストを尽くすこと」と謙遜するが、レギュラーツアー初優勝を夢見ている。
フォン・スーミン
1995年4月7日生まれ、中国・広西出身。2015年から米国でツアーデビュー。21年に日本のプロテストに合格し、QT順位は86位。ステップ・アップ・ツアーでは、21年にユピテル・静岡新聞SBSレディースで優勝している。