熊本地震から6年、3年ぶりの有観客
先週の富士フイルム・スタジオアリス女子オープンで今季初優勝した上田桃子。
昨年の結婚で“ミセス”初優勝となったが「夫の反応は『良かったね。おめでとう』くらいでさらっと終わりました。あまりゴルフの話はしないので(笑)」と笑っていたが、それでもやはり優勝はうれしいもの。

今週は地元・熊本での大会。それに小学生から何度もプレーし、高校時代は3年間キャディのバイトをこなし、2007年に初優勝したコースでもある。
「初優勝は地元の声援が後押しもありました。2007年は昔すぎて、私が優勝したことなんて覚えていない人が多いので、そろそろ上書きしないといけない」
そして今年で熊本地震から6年が経過、そして3年ぶりの有観客となる。
「熊本の人は熱い気持ちを持っている人が多くて、どこにいても何年たってもより良くなっていくんだ、という気持ちで前に進んでいきたい。忘れない事と毎年一歩ずつ前に進むんだと言う気持ちが大事です」
やはり上田にとって今大会は、ほかのトーナメントにはない特別な気持ちがあるようだ。
1位は熊本県の146勝、2位は埼玉県の79勝
実は先週の上田の優勝で、熊本県出身女子プロの通算勝利数は146勝となった。2位埼玉の79勝を大きく引き離している。

会見で熊本出身ゴルファーの強さについて問われると、上田はこう見解を語った。
「それはみなさんがご存知の通り、(熊本出身の)不動裕理さんがほとんど勝っています(ツアー通算50勝)。そんな強くてゴルフが大好きな先輩を見てきました。私にとってはさらに先輩の古閑美保さん(通算12勝)がいて、いい流れを生んでいます。ゴルフ部に協力的な学校(高校)も多いので、たくさんのライバルがいることも大きい」
「それに私も通った『坂田塾』(坂田信弘プロ主宰のジュニアスクール)も大きく影響していると思います。今は逆に熊本出身の選手は減っていますが、最近は大里桃子選手もそうですが、まだ熊本にはたくさんのいい選手がいます。私たちの代もまだまだ頑張って継承していきたいという気持ちはあります」
偉大な先輩たちの姿に刺激を受けた選手は多いだろうが、上田もまたその中の一人。まだまだ自分のプレーを後輩たちに見せていきたいという想いがある。
今週も練習ラウンドからコースの印象が従来とは違う感触があるようだが、対策は十分。
「長くこのコースを知っている身としては、3~5年くらいでグリーンやラフの芝質が変わったなという印象。今年は芝のライを含めてかなりまばらで、ホールによってライが良くない所がたくさんありました。そこをしのいでいけるかがカギ。例年よりもグリーンはスピードが出ていないので、新しいイメージでプレーできないといけない」
今週は実家から通えることもあり、心身ともにリラックスした状態で大会に挑めるのも大きい。2週連続優勝に向け「やはり思い入れの強い大会。一日一日しっかりと順位を上げていきたい」と意気込む。
上田 桃子(うえだ・ももこ)
1986年6月15日生まれ、熊本県出身。2005年プロ入り。2007年にミズノクラシックなど年間4勝を挙げ、翌年から米ツアーに挑戦。2021年6月に入籍、今回の「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」優勝がミセスでの初勝利となった。ZOZO所属。