急きょ実践投入したミズノのアイアンがフィット
大会前日に手に入れたニューウェポンで、高橋彩華が優勝に向けて最高のスタートを切った。
フジサンケイレディス初日(22日、静岡・川奈ホテルGC富士C)、8バーディー、ノーボギーでプレーしてトーナメントコースレコードタイの8アンダー。2位に4打差の単独首位に立った。
名物ホールのパー3、17番でグリーンをオーバーし、4メートルのパーパットが残るピンチを迎えた。これも「(グリーン)オーバーした段階で『ボギーでOK』と思って、(距離を)合わせて打ったら(パーパットが)入ってくれてラッキーでした」と、潔い決断が“吉”と出た。
好調を支えるのは、前日のプロアマで初めて使った新しいアイアンだ。得意のアイアンショットに違和感を覚えたため、1カ月ほど前に硬いシャフトに替えた。
ところがこれも距離感がうまく合わない。悩んでいたところ、これまで縁がなかったミズノの担当者から、ちょうどその間の感覚で振れるカーボンシャフトと、中空ヘッドのクラブを勧められた。
早速、プロアマで使ってみると「ちょっとしなりを感じて打感も柔らかく、球も上がるので楽だと感じました」と、早速、本戦に投入する運びとなった。
元々は、練習ラウンドで何度も試打を重ねないと新しいクラブを使うことがない慎重なタイプ。「こんなの初めて」と笑う英断がうまくハマった。
プロ入り以来、ずっとブリヂストンと契約を結んでいたが、今季からはどこのメーカーとも契約しないフリーとなった。だからこそできた急なクラブ変更がいい流れを作っている。
2020-21年のシーズンは、トップ5入りが9回。1998年度生まれの”黄金世代“次の優勝者、と言われながら、惜敗することが続いた。
先週のKKT杯バンテリンレディスでは、同じ”黄金世代“の植竹希望が激闘を制して初優勝。先を越されてしまった。
「普段から結構話す仲なのですごいうれしいですし、私はまだ優勝争いできるほどショットの調子があまりよくないので、早くショットが復調して後についていきたいなと思いました」と、素直に祝福。焦りよりも前向きな気持ちでとらえている。
オフに多くの人と出会い、話す中で視野を広く持つことの大切さも理解した。「気合を入れていく」というのが空回りなってしまって合わないこともわかった今、初優勝に向けてどう戦っていくのか。コンディション次第で大きく表情を変える川奈を舞台に、試練に立ち向かう。
高橋 彩華(たかはし・さやか)
1998年7月24日生まれ、新潟県出身。昨季は前半戦から幾度となく優勝争いに絡んだが、あと一歩届かない惜しい試合が続いた。最強世代と呼ばれる「1998年度生まれ」としてプレッシャーがかかるが、今シーズンでの初優勝が待たれる選手の一人。東芝所属。