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- 涙の初優勝! 高橋彩華の考えを変えた武井壮からの言葉とは?
フジサンケイレディスで悲願の初優勝を遂げ、黄金世代11人目の優勝経験者となった高橋彩華。これまでの上位に顔を出していたが勝ちきれなかった高橋だったが、初日からトップを譲ることなく完全優勝を果たした。
「頭からの指令がうまく体に伝わった」
勝てない時間がどれほど辛かったのか。フジサンケイレディスで優勝を決めた瞬間から公式会見が終わるまで、高橋彩華の瞳から何度もあふれ出た涙は、それをハッキリと表していた。
優勝争いには何度も顔を出すが、最終日に自滅する形で勝てない。経験を積めば積むほど、重圧はどんどん大きくなっていく。
『○度目の2位』とメディアで見出しが躍り、SNSなどでも勝てなかった話題が取り上げられる。周囲が思っている以上に本人にとっては気になったはずだ。
初日に8アンダーで単独首位に立ち、1打のリードで2日目を終えた後、公式会見で最終日について高橋ははっきりと自分を分析した。
「緊張は絶対すると思うので、それとどう向き合うか。勝てなくてもその位置にいるのがすごいんだよ、と言われたので」と言った時、目元が緩んだように見えた。
この日は口にしなかったが“ある人”とは雑誌の対談で会った陸上・十種競技の元日本王者でタレントの武井壮氏だと、優勝後に打ち明けている。それで気持ちがずいぶん楽になったことは伝わってきた。
自分との向き合い方をさらに具体的に言った。「自分自身にビビッて、出ないオバケを怖がっていたけれど……」
絶妙な言い回しで、形にならない重圧を言葉にできていた。
だが迎えた最終日、スタートホールでの高橋の緊張はマックスだった。名前をコールされ、ギャラリーに挨拶をしてから、ティーアップする位置を何度も探し、確認する。
いつも以上に時間をかけて打ったティーショットは右のバンカー。ボギー発進だ。2番もボギーで、このままずるずる崩れていっておかしくない流れになった。
ギャラリーからもれる「ああっ」というため息。それ以上に本人の心の中は苦しかった。「『あ、また勝てないのかな』と思ったんですけど、3番ホールを逃げないでピンに打てたので立て直せました。自分に『逃げてんじゃねぇ』と言ってイメージ通り打てたのがよかったですね」と、3番、4番で連続バーディー。
これまでも「逃げるな」と自分に言い聞かせていたがうまくいかなかった。今回は、頭からの指令が、体にうまく伝わった。手でクラブを上げてしまうようなクセを今オフに修正、背中の大きな筋肉で上げるような練習を繰り返したことも奏功した。
“出ないオバケ“との付き合い方も上手になった。「1番、2番ではいっぱいも出てた。何度も出かけましたけど、頑張って封じ込めました」と胸を張る。オバケを作っていた自分自身を、コントロールして優勝をつかみ取った。
完全優勝だったのも大きかった。「そういえば、昨日と今日は同じくらい緊張していました」と、連日重圧と戦い、克服したことも打ち明けた。
1998年度生まれの黄金世代の1人であることは、苦しさと刺激の両方をもたらしていた。「みんな上手で、みんなに私が置いていかれるって思っていて。でも、みんなが刺激になりました」。同世代11人目の優勝は、苦しんだぶん、喜びも大きかった。
両親、仲間たちに囲まれて何度もうれし涙を流した“サヤ姉”は、2勝目に向けて早くも歩き出している。
高橋 彩華(たかはし・さやか)
1998年7月24日生まれ、新潟県出身。昨季は前半戦から幾度となく優勝争いに絡んだが、あと一歩届かない惜しい試合が続いた。最強世代と呼ばれる「1998年度生まれ」としてプレッシャーがかかる中、フジサンケイレディスで悲願の初優勝を遂げた。東芝所属。
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