大会初日には難関の17番でホールインワンを達成
「ゴルフは若いんです」
36歳の藤田さいきがそう言って笑ったのは、フジサンケイレディス(22~24日、静岡・川奈ホテルGC富士C)2日目だ。

大会初日に17番でツアー最多タイとなる6度目のホールインワンを記録。首位の高橋彩華には4打差ながら、4アンダー2位タイにつけて優勝争いができる位置にいた。
「(前回の優勝から)11年も経つと、そんなに強い思いとかないですけど、若い子を見て『優勝したい』という単純な思いでやれてるんです」と言った後のことだった。
高橋に2打差で迎えた最終日、最終組の1つ前でプレーした藤田は、笑顔を何度も弾けさせた。スタートホールにやってきた時から、関係者に笑顔であいさつし、ギャラリーにも満面の笑み。プレーに入るときは当然、真剣そのものだが、最後まで優勝争いを楽しんだ。
雨で気温が下がることが予想される最終日に向けて「寒いと若い子より体が動かなくなるんで」と、警戒感を強めたが、実際のプレーは飛距離も十分。体も十分に動いて4バーディー、2ボギーと終盤まで優勝争いに加わった。
最後は17番でボギーを叩き、2打差2位に終わったが、会見では開口一番「すごいい感じだったんだけどなぁ。残念」と悔しがる。
「途中からハイになって優勝の気持ちがあふれ出た。オーバーすることが増えて、1クラブ(番手を)下げても奥に行ってしまった」と、振り返った。
「ゴルフは若い」という言葉を実証して見せた最終日。15番でも「まさか奥まで行くと思わなかった」という第2打がグリーンオーバー。難しいライからの第3打を打ち、5メートルを沈めてパーセーブ。最後まで高橋に食い下がった。
最初から最後まで落ち着いて見えたが、一方で「ハイ」な優勝争いを誰よりも楽しんだ。「すごい楽しかった。また優勝できたらいいな」。11年ぶりの優勝が見られるのも、そう遠くないにちがいない。
藤田 さいき(ふじた・さいき)
1985年11月22日生まれ、栃木県出身。2010年メジャー大会の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」を制するなどツアー通算5勝。2020-21シーズンは8試合でトップ10入りするなど賞金ランキング28位、3季ぶりにシード復帰を果たした。チェリーゴルフ所属。