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- ボールが沈んでいたらどう打つ?“メジャー・ハンター”チョン・インジの全米女子プロでの1打
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、KPMG全米女子プロゴルフ選手権を制したチョン・インジのプレーです。
チョン・インジがメジャーに強い理由
海外女子メジャーの第3戦KPMG全米女子プロゴルフ選手権が開催されました。
優勝したのは、韓国のチョン・インジ選手です。初日に9バーディ、1ボギーの64(8アンダー)をマークして5打差の首位に立つと、2日目69、3日目75、最終日75で通算5アンダー。初日から首位を守る完全優勝で18年以来のツアー4勝目、そしてメジャー3勝目を挙げました。
私がチョン・インジ選手を初めて見たのは2015年。当時、20歳の大学生だった彼女が、日本の女子ツアーに初めて出場して優勝を飾った公式戦のワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップです。
彼女のショットを見て、「男子プロのような高い球を打つ選手」「ピンを上から狙える選手」という印象を持ちました。この球筋は、難しいセッティングになるほど生きてきます。彼女はこの年、日本女子オープンも制し、米女子メジャーの全米女子オープンでも勝利。
16年には同じくメジャーのエビアン選手権でも勝っていますし、韓国ツアーでもナショナルオープンの優勝経験があります。厳しいセッティングのメジャー大会で結果を残している彼女は「メジャー・ハンター」と呼ばれていますが、ビッグトーナメントで強さを発揮する理由のひとつは、弾道の高さにあると考えられます。
さて、今大会のチョン・インジ選手のプレーで印象に残ったのは、最終日最終ホールの2打目です。ティーショットをフェアウェイの右サイドに着弾させると、ボールはフェアウェイのセンター方向へ転がっていきました。ボールが向かう先には、いくつもディボット跡があり、私は「ディボットに入らないでくれ」と祈りながらボールの行方を見守っていました。
結果的に、2つのディボット跡の間に止まり、最悪の状況は避けられました。しかし、ボールはやや芝に沈んだ状態。フェアウェイをキープしましたが、良いライとは言えません。
私がライに注視したのは、グリーン形状とピンポジションに理由があります。池にせり出した18番のグリーンは、左奥に長い形状。最終日のピン位置は奥目でした。また、グリーンは奥に向かって傾斜しているため、セカンドショットは右サイドからドロー回転のボールで転がすのがベターです。
ドロー回転をかけるには、インサイドの低い位置からヘッドを入れなければいけません。しかし、チョン・インジ選手の2打目はボールが沈んでいるライ。アウトサイド・イン軌道で上からヘッドを入れなければならず、グリーン右サイドを使いづらい状態だったのです。
2位との差は1打。2打目をミスすれば、プレーオフになる可能性もありました。このシチュエーションの中、彼女はしっかりボールにコンタクトしてパーオンに成功。グリーン奥から2パットでパーをセーブし、4年ぶりのメジャー優勝を飾りました。
ライが悪い時はヘッドを上から入れてコンタクト
「フェアウェイをキープしたのに悪いライ」という不運は、誰にでも起こりうることです。ディボット跡に入っていたり、ボールが沈んでいるライからいつも通りに打とうとすると、思わぬミスを招くことがあります。
前述の通り、ライが悪い時はヘッドを上から入れてボールにしっかりコンタクトしなければいけません。この時の注意点は、ボールを右足寄りにセットしたり、手元を飛球線側にずらしたハンドファーストで構えないこと。打ち込みやすいアドレスだと思うかもしれませんが、これではインサイド軌道がキツくなり、上からヘッドを入れづらくなるのです。
おすすめは、フェースをターゲットに向けたまま、スタンスを少しだけ左に向けてハンドファーストで構えること。このアドレスでいつも通りに振れば、ダウンブローで球をとらえやすくなります。悪ライからでもクリーンにインパクトできるはずです。
チョン・インジ
1994年生まれ、韓国出身。17歳でプロ転向し、13年に韓国女子オープンでプロ初勝利。15年は日本ツアーのワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ、日本女子オープン、米女子ツアーの全米女子オープンに勝利。16年からは米女子ツアーに本格参戦し、エビアン選手権で同ツアー2勝目。今季のKPMG全米女子プロゴルフ選手権でメジャー3勝目を挙げた。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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