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- 「もっとゴミを拾おうかな(笑)」シード当確の菅沼菜々、初優勝へ大谷翔平にならい徳を積む!?
「資生堂レディスオープン」最終日、68をマークして通算10アンダーまでスコアを伸ばした菅沼菜々が10位タイでフィニッシュ。ある事情のため、ひと足早く今季前半戦を終えたが、計画どおりシード権獲得をほぼ決め、3週間のオフに突入する。
「広場恐怖症」のため、北海道、沖縄の試合は欠場せざるを得ない
国内女子ツアーは今週の「ニッポンハムレディスクラシック」で前半戦を終了。第1回リランキングが行われる。その後1週間のオープンウイークを挟み、7月21日からの「大東建託・いい部屋ネットレディス」から後半戦が開始される。
ところが、その2試合を菅沼菜々は欠場するという。持病である「広場恐怖症」(注)のため、飛行機や新幹線、船、バスなどの公的交通機関を利用することができないからだ。やむを得ず、北海道、沖縄のトーナメントは欠場するしかない。
「薬を飲むことでさっと改善する方もいますが、私の場合は……」と、苦しい胸の内を明かす。ドーピング問題もあるので、効果を期待できる薬も簡単に服用できない事情もある。もちろん、それをツアーで活躍できない理由にすることはできないし、する気もない。
となれば、出場できる試合でどれだけ結果を残せるか。そう思い、「資生堂レディスオープン」を迎えるまでにコツコツとポイントを稼いできた。菅沼にとっては前半戦の“最終戦”となる今大会では上位に入り、シード権を確定させておきたかったのだ。
この日の菅沼は出だしの1番パー4でボギーを叩いたものの、6バーディ、2ボギーの68で回り、通算10アンダーまでスコアを伸ばす。成績も10位タイと、まさに執念でトップテンに滑り込んだが、今ひとつ表情は冴えない。最終18番パー4でパーパットを打ち切れず、ボギーとしたからだ。
「4日間で今日のグリーンが一番遅かったですね。カップの直前でボールが止まる寸止めが何度もありました」と振り返る。
速いグリーンは得意だが、遅いグリーンに対応し切れないことが課題でもある。それを克服できなかったのが悔しかった。
それでも、今季はここまで17試合に出場し、トップ10入りは全選手の中で2番目に多い8回もある。気になるシード権もメルセデスランキング9位となり、ほぼ当確したといっていい。悲願であるツアー初優勝こそ飾っていないものの、後半戦には実現する可能性は大きい。
「勝つためには実力以外にも運が左右すると思います。その意味でももう少しゴミを拾おうかな」と笑う。
惜しいところまでいきながら、あと一歩勝利に届かないことが何度かあったが、運を呼び込むためにもメジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルスで活躍する大谷翔平にならい、徳を積もうというわけだ。
試合を欠場するのは本意ではないが、考え方を変えれば、3週間のオフは前半戦の疲れを取り後半戦に向けて体力アップを図ることにも利用できる。
「課題である重いグリーンに対応する練習も集中してできますし、パーオン率を上げる練習もしたいですね」と菅沼。
ハンデを乗り越えるメンタルの強さが今以上に備われば、自然と優勝争いのチャンスも増えてくるはずだ。
(注)広場恐怖症とは?
医学事典「MSDマニュアル家庭版」(ウェブ版)によると、広場恐怖症は不安症の一種で、うち約30~50%は パニック症も併発する。12カ月の期間で調べると、女性の約2%、男性の約1%で認められる。
〈広場恐怖症とは、強い不安に襲われたときにすぐに逃げられない、または助けが得られそうにない状況や場所にいることに恐怖や不安を抱く状態です。多くの場合、そのような状況や場所を避けたり、多大な苦痛を感じながら耐えたりします。〉(同サイトより)
菅沼 菜々(すがぬま・なな)
2000年2月10日生まれ、東京都出身。18年プロテスト合格。20-21年シーズンは賞金ランキング47位で初の賞金シードを獲得。22年シーズンは出場17試合でトップ10入り8試合(2位)、平均ストローク71.0186で7位と安定感抜群。初優勝が最も期待される選手の1人。あいおいニッセイ同和損保所属。
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