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- 3日目の不甲斐なさがモチベーションに! キャメロン・スミスが持ち前の爆発力でメジャー初制覇
今年で150回目を迎えた世界最古のトーナメントである全英オープン。首位と4打差の3位タイでスタートしたキャメロン・スミスがなんと8バーディー、ノーボギーの64をマーク。通算20アンダーまでスコアを伸ばし、見事メジャー初勝利を飾った。
追う立場のほうが本領を発揮する
最終18番パー4で1メートルにも満たないバーディーパットを沈めた後、右手の拳を握りしめ、軽いガッツポーズを見せたキャメロン・スミス。この時点ではまだ優勝が確定していなかったものの、メジャー初優勝の権利を得た瞬間にしてはあまりにもクールな表現だった。しかし、その内面は間違いなく熱く燃えていた。
2日目を終えたとき、スミスは2位に2打差をつけて単独首位に立っていた。その時点である程度の手応えを感じていたのかもしれない。しかし、聖地・セントアンドリュースを舞台にした世界最古のトーナメントはそれほど甘くはない。3日目に73を叩き、逆に首位から4打差をつけられてしまう。
13番パー4ではダブルボギーを叩くなど、納得のいかないゴルフに「かなりイライラしている」と振り返ったが、「今日のラウンドが自分にとって最終日のモチベーションになるのは間違いない」と、ファイティングポーズは崩さなかった。
最終日はまさにその言葉どおりのゴルフを見せる。前半に2つのバーディーを奪い、首位にいたローリー・マキロイとの差を3打に縮めたスミス。しかし、本番はここからだった。インに入り10番パー4で1.5メートルのバーディーパットを沈めると、11番パー3では5メートル、12番パー4では3.5メートル、13番パー4では5.5メートルのバーディーパットを沈めていく。この時点でマキロイに追いつくと、14番パー5では2オンに成功。2パットで5連続バーディを完成させると、ついに単独首位に躍り出た。
「バックナインを迎えた時点で、自分が追う立場だったことがよかった。仮に自分がリードする立場だったら、また違う結果になったかもしれない」と振り返るスミス。
今季、PGAツアーでの平均バーディ数が4.76で1位であることが示すように、アグレッシブなゴルフを身上とする。彼のキャディーを務めるサム・ピンフォールドによれば、「3、4打ビハインドで戦ったほうがいいゴルフをするし、集中力が高まり、より攻撃的なゴルフになる」という。
実際、第5のメジャーと呼ばれる、今年のザ・プレーヤーズ選手権では最終日を6位タイからスタートしたが、10番から4連続バーディーを奪い、見事、逆転優勝を果たしている。
勝負の流れを止めなかった17番のパーセーブ
もちろん、単に攻めるだけがスミスのゴルフではない。これまでスミスは今回の全英オープンを含め、PGAツアーで6勝を飾っているが、そのすべてが1打差での逃げ切り優勝か、プレーオフを制しての勝利であり、接戦を勝ち抜く慎重さも持ち合わせているのだ。
今大会でもそれが垣間見られた。17番パー4での3打目だ。ボールとグリーンの間には大きなバンカーがある状況だったが、スミスが選択したのはパターだった。もちろん、まともに打てばバンカーにつかまる。スミスはバンカー右淵の傾斜を利用しながらボールを転がすと、グリーン右上3メートルにつける。それをしっかりと沈めてパーセーブに成功。このピンチを乗り越えたことが最終18番でのバーディーにつながり、1打差で逃げ切ることができた。
「13番のセカンドでこの大会最高のショットを放ったときに、勝てると思った。ただ、残りのホールでは左サイドからの風が強く吹いていたので気を抜くことはできず、最後まで自分のゴルフをやり遂げたことを誇りに思る」とスミス。
通算20アンダーは大会最多アンダーパーに並ぶ記録であり、セントアンドリュースでの全英オープンに限れば、00年にタイガー・ウッズがマークした19アンダーを上回る新記録となった。
「全英オープンで優勝したことは、間違いなく自分のゴルフ人生の中でハイライトになるだろう。しかも、セントアンドリュースで勝ったなんて信じられない」と喜びを語ったスミス。フェデックスカップポイントランキングも2位に上昇。まだ28歳と若いだけに、さらなる活躍が期待できそうだ。
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