ウェッジは“マン振り”すると飛ばない!? 西郷真央はトップの深さで球筋をコントロール

多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは「アムンディ エビアン選手権」で、日本人最上位の3位タイでフィニッシュした西郷真央です。

思い切り振り抜いたアイアンショット

 女子メジャー第4戦「アムンディ エビアン選手権」がフランスで開催されました。優勝したのはカナダのブルック・ヘンダーソン選手。通算17アンダーでツアー通算12勝目、メジャー2勝目を飾りました。

アイアンショットのキレには定評がある西郷真央(写真はブリヂストンレディスオープン) 写真:Getty Images
アイアンショットのキレには定評がある西郷真央(写真はブリヂストンレディスオープン) 写真:Getty Images

 ヘンダーソン選手と2打差、日本人最上位となる3位タイでフィニッシュしたのは、西郷真央選手でした。最終組の7組前、首位と9打差でスタートした最終日。西郷選手は前半で4つのバーディーを奪って首位を猛追します。10番ではセカンドショットを左に曲げ、ロストボールのトラブルに見舞われましたが、ここをボギーでしのぎます。

 続く11番、12番で連続バーディーを奪い、13番をボギーとしますが、14番、15番でも連続バーディー。西郷選手は、この時点で自分が優勝争いに絡んでいることを認識したといいます。

 そんな状況で迎えた17番。今回は、このホールでの西郷選手の2打目について触れたいと思います。

17番は右ドッグレッグのパー4。331ヤードと距離は長くありませんが、コースが狭く、2打目地点からかなり打ち上げていきます。またグリーンが小さく、攻略にはショットの精度が必要です。

 ティーショットに成功した西郷選手の2打目。アイアンを手にした彼女は、深いトップを作り、アイアンショットとしては異質と思えるほど、思い切りヘッドを振り抜きました。

 小さいグリーンを狙うなら、一つ番手を上げてコンパクトに振った方が正確性は上がるはずですよね。西郷選手はなぜ、そこまで振らなければいけない番手を選択したのでしょうか。

 その理由は、グリーンまで打ち上げており、高い球が必要だったから。深いトップを作るほど、ダウンスイングでヘッドの加速度がアップし、手首をリリースしながらインパクトしやすくなります。つまり、ロフトが寝た状態で球をとらえられるため、打ち出しを上げやすくなるわけです。

 西郷選手は狙い通りに高い球でグリーンをキャッチし、2パットでパーをセーブ。最終ホールではバーディーを決め、クラブハウスリーダーでホールアウトしました。結果、メジャー初制覇には届きませんでしたが、海外でも大いに存在感をアピールした試合でした。

ウェッジはコンパクトなトップで弾道を抑えられる

 さて、西郷選手のプレーから学べるのは、トップの大きさで打ち出しの高さをコントロールできるということです。今回は深いトップで高い球を打つシーンを紹介しましたが、反対に、コンパクトなトップを作れば弾道を抑えることができます。

 例えばウェッジショットの場合、距離をしっかり打ちたいからといってトップを深くすると、球が上がりすぎて逆に飛ばなくなってしまいます。

 コンパクトなトップのほうがハンドファーストでインパクトでき、前に進む球を打つことができるのです。ウェッジで飛ばしたい時は、トップをコンパクトにすること。これを知っていると、ウェッジフルショットの距離感が合いやすくなりますよ。

西郷 真央(さいごう・まお)

2001年生まれ、千葉県出身。ルーキーイヤーの20-21シーズンはパーオン率3位、トータルドライビング1位、ボールストライキング1位などの活躍で、シーズン21回のトップ10入り。未勝利ながら賞金ランキング4位でシーズンを終えた。今季は開幕戦でのツアー初優勝を含め、すでに5勝をマークしている。島津製作所所属。

石井 忍(いしい・しのぶ)

1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。

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