8アンダーのコースレコードで猛追も本人は不満!? 貪欲な山下美夢有が年間女王へジワリ

　ベストスコアをもっと縮めたい。CAT Ladies最終日（21日、神奈川県・大箱根CC）、猛チャージで2位となった山下美夢有が、貪欲な気持ちを口にした。

　首位の岩井千怜に7打差の通算4アンダー13位タイから、山下は攻め続けた。パー5の1番で、いきなり残り38ヤードの第3打をカップにぶち込むイーグルで追撃ののろしを挙げると、3番のパー3もバーディーとしてジワリと上位をうかがった。

　そこから5ホールはパーが続いたが、9番、10番の連続バーディーで通算9アンダー。この時点で首位の岩井に3打差に迫っている。圧巻は12番からの3連続バーディーだ。5メートル、1.5メートル、9メートルを次々に沈めて通算12アンダー。首位の岩井に並んだ。「13番グリーンのボードで（山下が）トップに並んでるのを初めて見ました」という岩井に、確実に重圧をかけた猛攻だ。

　15番からはスコアカード通りのプレーを続けてホールアウト。クラブハウスリーダーとして後続を待つ。だが、本人はプレーオフになるとはあまり思っていなかった。

「15番くらいから、最低でももう1つは取っとかないとな、と思っていました。取れなくてもったいないなって」と、戦況を冷静に見定めていた。

　結局、13アンダーまでスコアを伸ばした岩井に1打及ばず2位に終わり、山下には満足感よりも悔しさが残った。

「8つ取れたんですけど、ショットが良かったんで、バーディーチャンスが外れることが多くて悔しかったです。コースレコードだと聞いてうれしかったんですけど、ベストスコアは4年くらい8アンダーなんです。だから、そこをクリアしたい」と、あくまでも貪欲だ。

　6番で4メートル、7番では3メートル。大詰めの17番でも下からのバーディーチャンスを外したことが悔しくて仕方ない。それほど、山下が自分に求めるレベルは高くなっている。
　　
　今季は19試合に出場して、2勝を含めてトップ10入りはこれが11回目。2勝目の宮里藍 サントリーレディスオープンから7試合はすべてトップ5入りと安定してきた。初めて出場した全英女子オープンで13位タイと健闘。

　全英も含めて自信を深めたかどうか尋ねると「まだまだパッティングが……」と、1イーグル、6バーディーのラウンド後とは思えない答えが返ってきた。「特に変えることはありません。しっかりタテ距離の練習をしたいです」と、ひたすら上を目指す21歳。現在のメルセデスランキングは、シーズン5勝の西郷真央に次ぐ2位だが、その差はジワジワ縮まってきている。

　9月半ばから10月初めには、日本女子プロゴルフ選手権、日本女子オープンとポイント配分の多い公式戦も続く。シーズン3勝目は逃したが、その動向はツアーでも常に注目の的になってきている。

2001年8月2日生まれ、大阪府出身。2019年にプロテスト合格し、20－21シーズンからツアー参戦。初優勝を果たしたKKT杯バンテリンレディスだけでなく、シーズン16回のトップ10を記録。賞金ランキング13位と、ルーキーにして大きな結果を出した。宮里藍 サントリーレディスオープンでツアー3勝目を挙げた。加賀電子所属。