なぜ強い!? 馬場咲希のローアマ獲得を坂詰和久コーチが解説「気をつけたのはドライバーのスイングリズム」

国内メジャーである日本女子オープンに初めて出場した今年の全米女子アマチャンピオン・馬場咲希。通算5オーバーの11位タイでフィニッシュだったが、プロのトーナメントではベストフィニッシュを飾ると同時に、ローアマを獲得した。どのように馬場が4日間を戦ったのか、キャディーを務めた坂詰和久コーチに聞いてみた。

フェアウェイキープ率が25%から75%に

 17歳の馬場咲希が初めて挑んだ日本女子オープンの結果は、73、73、74、73の通算5オーバーだった。本人にしてみれば、1日でもいいからアンダーパーをマークしたかっただけに悔いは残るが、ローアマを獲得したことは素直に喜んだ。

 実際、プロでさえ今回のコースセッティングにはかなり悩まされた。6839ヤードというツアー史上最長の長さに加え、ラフを伸ばし、グリーンを硬く仕上げた。4日間を戦ってアンダーパーをマークしたのは優勝した勝みなみと2位の申ジエしかいかなったことでも難易度の高さが分かるだろう。

 その状況での5オーバーにまずまずの手応えを感じていたのが、馬場のコーチであり、今大会でキャディーを務めた坂詰和久氏だ。

「パターは良くなかった」といいながらローアマを獲得した馬場咲希 写真:Getty Images
「パターは良くなかった」といいながらローアマを獲得した馬場咲希 写真:Getty Images

「5オーバーといっても、短いパットを結構外しての数字なので、もうちょっといけたかなという印象はあります。ただ、このような厳しいコースセッティングでラウンドすることは少ないだけに、いい経験になったと思います」と振り返る。

 馬場のプレーを外から見る限りは、ラフに埋まったボールでもうまく出していた。しかし、深いラフからボールを打つ経験がなかったため、坂詰氏にどのように打てばいいのか相談していたという。

「フェースを開くのか、開かないのか、ちょっと右に飛んでいくから気をつけてとか、そういう感じでしたね」。大きなミスがなかったことを考えると、適応力は高いのかもしれない。

 ラフに入れたくなければ刻むことも選択肢としてあったが、右ドッグレッグホールの14番パー4以外はすべて武器であるドライバーを手にした馬場。ただし、マックスで振ることはほとんどなく、方向性重視のスイングだったという。

 その甲斐あってフェアウェイキープ率が75%とまずまずの数字を残した。予選落ちを喫した2週前の住友生命Vitalityレディス東海クラシックでのフェアウェイキープ率が25%だったことを考えれば、かなり復調したといえる。

ジュニアの試合で染みついた強気のパットがネックとなった

 今回、馬場がショットの際に気をつけていたのはリズム感だけだった。

「細かい技術的な部分を指摘することはなかったですね。2週前の大会で予選落ちしたときはかなりスイングが崩れていましたが、それは単に連戦で体が疲れていたことに問題があったからです。体調さえ整えば、いつものスイングに戻ると思っていました。ただ、スイングリズムが速くなっていたので、それだけは修正するようにいいました」と坂詰氏。

 馬場の場合、打ち急ぐとバックスイングが速くなる傾向があるという。それに合わせて、ダウンスイングのスピードも速くなるため、ミート率に影響が出る。

 住友生命Vitalityレディス東海クラシックは、全米女子アマゴルフ選手権での優勝後に出場した初めての国内トーナメントだった。ギャラリーからも飛距離を期待されていただけに、その期待に応えようと馬場も無理に飛距離を出そうとしていた。その結果、余計にスイングとリズム感がおかしくなっていたという。

「今年の4月ぐらいはスイングリズムがゆったりとしており、そのときはかなり飛んでいましたからね」と坂詰氏が証言するように、リズムさえよければ飛距離も出るし、方向性も安定してくる。日本女子オープンではそのリズムが速くならないように気をつけたことで、ドライバーショットやアイアンショットも安定したというわけだ。

 ショットに関してはいろいろと収穫はあったが、今回、馬場が反省した中にパッティングがあった。プロと比べて決めたいパットを沈めることができなかったというのだ。これについて坂詰氏は次のように説明する。

「ジュニアの試合ではここまでグリーンが繊細ではないため、みんな、ラインを消すつもりでガンガン打ってくるんです。それが染みついていると、どうしても強く打ってしまうんですよね」

 自分ではタッチを合わせたつもりでも、カップをかなりオーバーすることが少なくなかった。距離感とラインの読み方が今後に向けての課題となる」

 それでも、「今の時期は毎試合勉強なので、結果にこだわらなくていいですし。焦る必要もありません。結果的にローアマを取れただけでも万々歳ですよ」と坂詰氏としては、合格点を与えた馬場の4日間だった。

馬場 咲希(ばば・さき)

2005年4月25日生まれ、東京都出身。父親の影響で5歳からゴルフを始める。東京都ジュニアゴルフ選手権(18年)、関東ジュニアゴルフ選手権(19年)、東京都女子アマチュアゴルフ選手権(21年)などで優勝。175センチの長身で、270ヤードのドライバー飛距離が武器。今年は全米女子オープンに予選会を経て出場し、決勝ラウンドに進んで49位。8月の全米女子アマでは、日本勢として85年の服部道子以来、37年ぶりとなる快挙を成し遂げた。

【写真】大注目の馬場咲希、日本女子OPでの戦いを振り返る

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馬場咲希、2日目のプレー 写真:清流舎
馬場咲希、2日目のプレー 写真:清流舎
馬場咲希、2日目のプレー 写真:清流舎
首位までわずか4打差15位タイの馬場咲希。ムービングサタデーに全米女子アマでも見せた爆発力を見せてほしい 写真:Getty Images
初日スタート前には全米女子アマチュア制覇を記念した銀皿が贈られた 写真:清流舎
事前練習を行う馬場咲希 写真:清流舎
事前練習を行う馬場咲希 写真:清流舎
事前練習を行う馬場咲希 写真:清流舎
事前練習を行う馬場咲希 写真:清流舎
「パターは良くなかった」といいながらローアマを獲得した馬場咲希 写真:Getty Images

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