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- レクシー・トンプソンの“苦肉のアプローチ”がピタッと球を止めたいときのヒントに!?
多くの男女ツアープロのコーチを務め、ゴルフ中継で解説も務めている石井忍が、国内外ツアーで気になった選手やシーンをピックアップ。独自の視点で分析する。今回注目したのは、米女子ツアー「ペリカン女子選手権」で2位に入ったレクシー・トンプソンのアプローチです。
両ヒザの力を抜きカクンと曲げる独特なダウンスイング
米国女子ツアーの「ペリカン女子選手権」が開催されました。優勝したのは、2打差5位から最終日をスタートしたネリー・コルダ選手。7バーディー、1ボギーの64をマークし、通算14アンダーで大会連覇を達成。ツアー通算8勝目を飾りました。また、この勝利でコルダ選手は、今年1月以来の世界ランキング1位に返り咲いています。
1打差で2位に入ったのは、昨年大会でプレーオフの末、コルダ選手に敗れたレクシー・トンプソン選手です。トンプソン選手といえば、米女子ツアーの平均飛距離で毎年、上位に入る飛ばし屋です。今シーズンも、同大会終了時点で平均飛距離は272.88ヤードで7位。また、ショットの精度も高く、パーオン率は76.69%で4位に入っています。
そんなトンプソン選手が苦手にしているのがアプローチです。比較的、簡単そうなライからのノーマルなアプローチでミスをすることがあるため、20~30ヤードくらい距離がある状況でも、グリーン外からパターで寄せるアプローチ「テキサスウェッジ」を使うことがあります。
「テキサスウェッジ」を使わないときは、ウェッジでのアプローチを選択するわけですが、そのスイングが独特。ダウンスイングで両ヒザの力を抜き、カクンと曲げてインパクトを迎えます。
一瞬、無重力状態になるようなヒザの使い方をするのは、インパクト時の手元の高さに理由があります。
「手元の高さ」と「ヘッドの高さ」はシーソーのような関係性で、手元が上がるとヘッドが下がり、手元が下がるとヘッドが上がります。
トンプソン選手は、インパクトでタテ方向にコックを入れて手元を下げるため、ヘッドが持ち上がる状態になるのです。そのままのヘッドの軌道、高さでは、ボールの下にヘッドが届かないので、ヒザを曲げてヘッドの高さを調整しているというわけです。
ボール初速が上がらずスピンが効いた球筋になる
また、クラブの構造上、フェースをスクエアにセットした状態で手元を下げていくと、クラブのトウ側が上がってフェースは左方向を向くことになります。そのため、トンプソン選手はアプローチの際、フェースを開いて方向を調整しているのも特徴です。
フェースを開きながらインパクトすれば、ボール初速が上がらず、スピンが効いた球筋になります。また、彼女は両ヒザの力を抜いてインパクトしているため、ボールに足の力も加わらず、さらに飛ばない球になります。
この打ち方は、汎用性が高いアプローチではありませんが、ランを使いたくない状況では有効です。また、バンカーショットで距離を出したくないとき、スピンをかけたいときにも応用できます。
意図的にこの球を打つコツは、シャフトが地面と垂直になるようにバックスイングすること。すると、ダウンスイングではクラブが寝ながら降り、フェースが開く方向に動きやすくなるため、スピンが入った飛ばない弾道が打ちやすくなります。この打ち方を覚えてアプローチの引き出しを増やしておくと、ショートゲームでスコアが崩れにくくなるはずです。
レクシー・トンプソン
1995年生まれ、フロリダ州出身。2010年に史上最年少の15歳126日でプロ転向。翌11年は、16歳7か月で「ナビスターLPGAクラシック」を制覇。最年少優勝記録を更新した。16年は日本ツアー「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で優勝を挙げている。
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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