セキ・ユウティン 日本ツアー2戦を欠場しての米ツアー参戦は「パリ五輪のため」　強い思いの理由とは？

　昨季の国内女子ツアーで初優勝した中国のセキ・ユウティン。彼女は米女子ツアーの「ホンダLPGAタイランド」に主催者出場している。2日目終了時点で、通算3アンダーとまずまずの結果に「残りの2日間でもっとバーディーをとって上位にいきたい」と意気込む。

　実は来週シンガポールで開催される「HSBC女子世界選手権」にも推薦出場が決まっている。そうなると気になるのは国内ツアーのスケジュール。本来であれば3月開幕の「ダイキンオーキッドレディス」から出場できるが欠場。翌週の「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤ」も欠場して、3戦目の「Tポイント×ENEOS」が日本ツアー初戦となる。

　その理由について聞くと、「来年、パリでオリンピックが開催されるので、出たいと思っています。今、私は中国で3番手なので、少しでも世界ランキングのポイントを稼いでおきたいので、出られるチャンスがあるならと思って米ツアー出場を決めました」と話す。

　五輪のゴルフ競技は2016年リオ五輪から116年ぶりに復帰し、21年東京五輪で稲見萌寧が銀メダルを獲得したのは記憶に新しい。24年パリ五輪でもゴルフ競技が開催されるが、「出たい思いが強い」とセキは話す。

　出場資格は世界ランキングを基にした五輪ランキングから上位15名と、各国最大2名までの合計60名が出場できる。中国選手の世界ランキングは、１番手が13位のリン・シユー、2番手が127位の森田遥（日本生まれだが中国籍）、3番手が147位のセキ・ユウティンだ。現状ではランキングを上げての出場の可能性は十分に残していると言える。

「気持ちでは日本ツアー開幕戦に出て多くのファンの前でプレーしたいですが、世界ランキングのポイントを考えると、今回の米ツアーで上位フィニッシュしたいと思っています」

　五輪に出たい思いが強いのはフランスでの開催ということも関係している。

「フランスはまだ行ったことがないので、行ってみたいんです。すごくロマンチックなところ。世界的なスポーツの祭典でもある五輪にも参加できるなんて、そんなチャンスもなかなかないですし、さらに観光もできますから」と、モチベーションは高い。

　明確な目標を持っての今回の米ツアー出場だが、もちろん主戦場は日本ツアー。昨年は初優勝したことから、さらに勝利への自信が高まっているという。

「今年のオフはトレーニングもたくさんして、スイングのヘッドスピードを上げることに重点を置きました。特にアイアンやユーティリティーの飛距離は10ヤードも伸びました。7番アイアンでキャリーで155ヤードになりました。攻め方もかなり変わりました。この初戦では距離感に慣れているところで、徐々に良くなる自信はあります」

　今季は日本ツアーフル参戦となる重要な1年。その前哨戦となる米ツアー2連戦では「状態を確かめながらも、しっかりと結果を残していきたい」と、笑顔を見せた。

1998年3月5日生まれ、福井県出身の中国人プロゴルファー。2016年に中国の女子ツアーで賞金女王に輝き、翌年から日本ツアーに参戦。19年のステップ・アップ・ツアー「日医工女子オープン」で、日本での初優勝を飾る。22年「ゴルフ5レディス」で悲願のレギュラーツアー初優勝。ミツウロコグループホールディングス所属。