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- 韓国はなぜインドアゴルフ場だらけなのか? 真っ赤に密集するソウル・江南(カンナム)で謎の答えを現地取材
日本でもトップシェアを誇るゴルフシミュレーター「GOLFZON」(ゴルフゾン)が韓国企業であることなど、同国でインドアゴルフが盛んであることを知っている人は少なくないだろう。なぜそこまで発達したのか、韓国・ソウルで現地取材を行った。
韓国でインドアゴルフ場の市場規模は「2500億円」!?
韓国でゴルフ事業は今も大きく成長を続ける分野の一つだ。「ユウォンゴルフ財団」が発表した「韓国ゴルフ産業白書」によると、2022年のゴルフ市場規模は約20兆6690億ウォン(約2兆3680億円)にものぼるという。
その中で「フィールドゴルフ」(通常のゴルフ場でのラウンド)が5兆1200億ウォン(約5860億円)で1位、「スクリーンゴルフ」(インドアゴルフ・シミュレーションゴルフ)が2兆1865億ウォン(2500億円)で2位。つまり、ゴルフ場とシミュレーションゴルフの2分野が、韓国ゴルファーがもっともお金を使う場所ということだ。
それにしても、インドアでプレーするゴルファーがこれほど多いことに驚かざるを得ない。コロナ禍でインドアゴルフの分野は停滞しているように思えたのだが、決してそうではなかったようだ。実際、ソウル市内には至るところにインドアゴルフ場がある。
知人の韓国ゴルフ記者が「韓国にはコンビニの数ほどスクリーンゴルフ場がある」と教えてくれたが、あながち誇大な表現でもない。試しに「NAVER(ネイバー)マップ」という地図アプリを使いソウルの江南(カンナム)エリアを「スクリーンゴルフ」で検索すると、ものすごい数がヒットした。ちなみに江南は東京における港区に近い土地柄とされ、芸能人や企業経営者など富裕層が多く住む。
中でも最も多かったのは本国で急成長を遂げている有力企業の一つ「GOLFZON(ゴルフゾン)」のスクリーンゴルフ。日本のゴルファーにも馴染みのある韓国企業であり、現在は米国、中国、ベトナム、日本に法人が設立されている。
今では韓国内のシェア75%がゴルフゾンで、「Gツアー」というシミュレーションゴルフのプロツアーやゴルフ専門番組まで持っている。チェーン展開する「GOLFZON PARK(ゴルフゾンパーク)」はソウル以外にも、昨年12月に北海道・札幌市内にもオープンし、海外展開も積極的だ。ちなみに直近の売上高は約1000億円と聞いた。これを日本企業と比較すると、スポーツ業界ではデサント、外食産業では日本ケンタッキーフライドチキン、松屋フーズなどと同等という。
「安くて天候に左右されない」「スクリーン同好会も多い」
とはいえ、なぜこんなにも韓国でインドアゴルフが盛況なのか。
江南にあるシミュレーションゴルフのスタッフに話を聞いたところ、「通常のゴルフ場でのプレー費用が高いんだと思います。韓国のゴルフ場は平均で3万円はします。スクリーンゴルフは1500~2000円くらいで楽しめるところが多く、財布にも優しい。街中にたくさんあるので、みんなと気軽にお酒を飲みながらもできるのもいいですよね」と話す。韓国でシミュレーションゴルフは会食や飲み会の2次会に使われることが多いという。
もう一つ、韓国の冬は北海道並みに寒いことが挙げられる。冬場にクローズするゴルフ場がほとんどで、日本に比べて冬場プレーできるゴルフ場が極端に少ない。
「天気に左右されないですし、冬場は特にスクリーンゴルフ場にゴルファーが集まります。最近では若い世代と親睦を深めようと『スクリーン同好会』のようなものも多くできていて、独身男女の出会いのイベントなども多く催されているんですよ」(同前)
今月にはシミュレーションゴルフの韓国プロツアーで通算12勝している31歳のキム・ホンテクという選手が、リアルのレギュラーツアーで優勝したというニュースが大々的に報じられていた。こうした話題がメディアに流れることもインドアゴルフを身近に感じられる部分かもしれない。
いずれにしても韓国では街中の室内で気軽にゴルフを親しむ文化が定着しているのは確かで、今後もゴルフ人口は増えていくと見られている。
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