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コラム

「男子ツアーの人気低迷」「日本プロのスポンサー不在」「レッスン技術の変化」… 男子ゴルフが抱える課題にPGA会長の回答は?

2024.10.10 小川 朗(日本ゴルフジャーナリスト協会会長)
国内シニアツアー 国内男子ツアー 小川朗 ゴルフ現場主義!

シニアのプロゴルフファー日本一を決する「第63回 日本プロゴルフシニア選手権 TSUBURAYA FIELDS HOLDINGS ULTRAMAN CUP」が10月3~6日に開催されました。この会場で日本の男子プロゴルフが抱える課題について明神正嗣PGA会長に聞きました。

日本プロのスポンサーがつかないまま早6年

 ゴルフ場のそこかしこに、お願いすれば気軽に写真撮影に応じてくれるウルトラマンがいました。シニアのプロゴルフファー日本一を決する「第63回 日本プロゴルフシニア選手権」(10月3~6日、茨城県・イーグルポイントゴルフクラブ)を円谷フィールズHDが特別協賛したことで実現したシーンです。昭和世代の明神正嗣PGA会長にとっても、ウルトラマンは心躍る存在。一緒に記念写真に収まったばかりの明神会長に、就任半年の心境と、今後起こりうる「ウルトラC」の可能性について聞きました。

ウルトラマンとキメポーズをとる明神正嗣PGA会長(中央) 写真:清流舎
ウルトラマンとキメポーズをとる明神正嗣PGA会長(中央) 写真:清流舎

※ ※ ※

 先日、夕刊紙の取材で会ったタレントのガダルカナル・タカさんが、こんなことを言っていました。

「北海道で行われた『倉本昌弘INVITATIONAL 第1回 EAGLE CUPシニアオープン チャリティトーナメント』に出たんですが、楽しかったですね~。18年ぶりに芹澤名人の弟である芹澤信雄プロと回りましたが、シニアは雰囲気がいい。バブルの頃に活躍していた往年のプロが、昔と同じフォームでプレーしていますから、みんな個性的で遠くから見ても『あ、あの人だ』ってすぐ分かる。ゴルフでわれわれを楽しませてくれた人たちがシニアになって、自分も楽しみながらいろんな人と触れ合える場所になっていました。こういうトーナメントをみんなが見に来てくれたら、今の男子プロのトーナメントの面白さにも、もう一回ちょっと気づいてくれて、男子プロのトーナメントも2つや3つは増えてくれるんじゃないかな、と思いました」

 問題は、タカさんが言うシニアツアーの魅力が、世間の人々にいま一つ伝わっていないこと。そうした問題をクリアする意味でも、トーナメントにウルトラマンを登場させるという試みは、インパクト十分な好企画だったと言えるでしょう。

 しかしそんな日本プロゴルフ協会(PGA)にとっても、切実な問題なのが1999年にPGAから独立したJGTO、日本ゴルフツアー機構の低迷ぶりです。

 8年にわたる青木功体制から諸星裕新体制へと引き継がれた男子ツアーは、スポンサー離れに歯止めがかからない状態です。その波は日本プロゴルフ協会にも及んでいます。PGAが主催する、日本プロゴルフ選手権のスポンサーがつかないまま、すでに6年が経過しているのです。

 この大会は日本最古のプロトーナメント。JGTOのツアー日程にも名を連ねている公式戦として位置づけられています。第1回大会が大阪の茨木カンツリー倶楽部で行われたのは1926年(大正15年)。実に98年前です。当時は「関西プロフェッショナル争奪戦」と呼ばれ、翌年から日本プロゴルフ選手権へと改称しています。

 第1回大会に出場したのはわずか6名で、優勝したのは伝説の名選手・宮本留吉でした。決勝で宮本と闘ったのは日本のプロ第1号である福井覚治です。日本のゴルフ史を語るうえで絶対に外せない伝統を誇る大会でさえ、スポンサー探しに四苦八苦するような状態になってしまっています。

 2010年から8年にわたりスポンサーを務めた日清食品が17年限りで撤退したことが、迷走の始まりでした。後釜が見つからないまますでに6年。

 PGAが主催する、日本で最古の歴史と伝統を有する公式戦が消滅ということにでもなれば、ゴルフ史においても大きな損失となってしまいます。「やめるわけにいかない以上、何とかスポンサーを見つけなければ。今、会長として最優先となる課題と言われれば、やはりこれになります」と、厳しい表情でつぶやきました。

弾道計測器のデータが「分からない」とは言っていられない

 他にも問題は山積みです。特に問われているのが、レッスンの技術です。弾道計測器やシミュレーターの進歩により、数値が可視化され、インストラクターに求められるスキルが劇的に変化しているからです。

 それは車1台分の値が付き、一般ゴルファーには高嶺の花だったトラックマンなどの弾道計測機を一般ゴルファーも使用できるようになったことが原因です。トラックマンやトップトレーサーを備えた練習場が増え、さらに廉価版も普及したことで、ゴルファーたちが練習場に弾道計測器を持ち込めるようになりました。

 例えば「MEVO+」は税込みで34万5000円もしますが、ボールの後方2.1メートルに置きスマホのアプリを起動すれば飛距離、ヘッドスピード、ボールスピード、スマッシュファクター、スピンなどが計測でき、自分のスイングを再生することもできます。ゴルファーたちの探求心は果てしなく、ボーナスをつぎ込んでまで弾道計測器を自分の上達に役立てるゴルファーも増えつつあります。

 ここで求められるのが、こうした弾道計測器を使いこなすことができるインストラクターです。PGAには10月5日現在で5861人もの会員がいます。そのうちトーナメントプレーヤーの数は1685人。ティーチングプロのみの資格を持つ「TCP」会員は3305人に上ります。両方の資格を持つ者も存在するこうしたレッスンプロたちが、弾道計測器への対応をゴルファーたちから求められて「分からない」とは言っていられない状況になっているのです。

 明神会長も「僕自身もレッスンをしていますので、その必要性は感じています」とうなずいて、さらにこう続けました。

「MEVOも、トラックマンも、GCクワッドもそうだし、いろんなものがたくさん出てきて、昔は見えなくて、感覚でやっていたものが見えてきた。それによって(教えていることが)正しいかどうか、本当かどうかっていうことが見えてきたんです」

 回転数や入射角、スイングプレーンやボールスピンの数値や角度が「見える化」されたことで、昔ながらの感覚的なレッスンが成立しなくなっているのです。「われわれの時代は、うまい人が言うことが正しかったんですよね。ベン・ホーガンさんが言うこと、ジャック・ニクラスさんが言うこと、日本では青木(功)さんやジャンボ(尾崎)さんが言うことが正しかったし、それを習ってきたのがわれわれですけど、今の子は違うんです」

PGAの教則本も変わらなければいけない
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