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“103万円の壁引き上げ”のしわ寄せでゴルフ場利用税廃止の目は消滅!? 撤廃派と堅持派は雪解けもゴルファーの気持ちはどこに?
「年収103万円の壁」問題が、日本ゴルフ界の長年続いた対立関係解消に一役買いました。昨年12月20日に決定した与党の税制改正大綱で、年収103万円の壁となっている控除額が25年から123万円へと引き上げることが明記されました。地方財政を直撃すると騒がれたこの話題が、ゴルフ場利用税問題を収束に向かわせる「追い風」になったというのです。
ゴルフ場利用税“撤廃派”と“堅持派”が同じテーブルに
「年収103万円の壁」問題が、日本ゴルフ界の長年続いた対立関係解消に一役買いました。昨年12月20日に決定した与党の税制改正大綱で、年収103万円の壁となっている控除額が25年から123万円へと引き上げることが明記されました。地方財政を直撃すると騒がれたこの話題が、ゴルフ場利用税問題を収束に向かわせる「追い風」になったというのです。

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1月22日の正午。永田町の自民党本部1階の101号室では、「ゴルフ振興議員連盟」の総会が行われていました。ゴルフ場利用税を巡る激しい応酬を知る者にとって、そこに並んでいた顔ぶれは驚かされるものだったに違いありません。
ゴルフ場利用税(以下、利用税)を巡って長年対立を続けてきたJGA(日本ゴルフ協会)をはじめとする“撤廃派”と、「ゴルフ場利用税堅持のための全国市町村連盟代表世話人」である岐阜県可児市の冨田茂輝市長ら“堅持派”が同じテーブルに着いて昼食を取りながら談笑していたからです。
過去には年末の税制調査会(税調)で両派が利用税の「撤廃」と「堅持」のプラカードを掲げ、入場する議員たちにお互いに主張を訴える光景もありました。「平成30年頃までは勉強会も行われていましたが、それ以降は記憶にありません」(可児市の関係者)という「冷戦状態」は解消されたわけです。
地方自治体は可児市の他、北海道北広島市長、静岡県袋井市長、埼玉県美里町長。オンラインで兵庫県三木市長、神奈川県箱根町長も参加していました。この他、各省庁からは内閣府、総務省、経産省、観光庁、スポーツ庁の関係者も出席。席上、「地方公共団体とゴルフ関連団体との連携について」をテーマに掲げられた提案書がJGAの山中博史専務執行役から冨田市長に手渡され、共存共栄の時代へと進んでいく認識が共有されました。
消費税が導入時に遊戯施設でゴルフ場利用税だけが残った
ここでいったん、利用税問題の経緯についておさらいしておきましょう。
起点は、昭和29(1954)年でした。この年に創設された「娯楽施設利用税」の対象施設として、ゴルフ、パチンコ、射的、麻雀、ビリヤード、ボウリングなどの施設に地方税として課税されるようになりました。
問題は平成元(1989)年に消費税が導入された際、この「娯楽施設利用税」はなくなったのですが、ゴルフに対してだけは「ゴルフ場利用税」に名を変えて存続されたこと。ゴルファーだけが消費税とゴルフ場利用税をダブルで負担させられることになったのです。
税額はゴルフ場の利用料金やホール数、付帯設備などに寄って算出された等級によって決められています。上限は名門といわれるゴルフ場の1200円で、下限は埼玉県が300円だったり北海道が400円だったり。明細書に消費税と利用税という2種類の税金が同居していることに気づいたゴルファーからの「消費税に利用税の追い銭かい?」という不満の声は、根強く聞かれるところです。
これはゴルファーのみならず、ゴルフ場にとっても歓迎できない制度でした。人手と経費をかけて徴収しても、見返りは前年に申告納入した税額の一部が交付される「ゴルフ場利用税特別徴収義務者交付金」があるものの、その額は山梨が1.2%、和歌山が1.5%、埼玉が2%、三重が2.1%など、けして多くはありません。そうした様々な背景もあって、平成10(1998)年から日本ゴルフ関連団体協議会(以下ゴ連協=すでに解散)が利用税の撤廃を求める署名運動を展開。5年間で延べ840万人近い署名を集めました。
運動の甲斐あって平成14(2002)年の税調では18歳未満、70歳以上、障害者は身分証明書の提示などの手続きで非課税とすることが決定。撤廃に向けて大きく前進したかに見えましたが、もっと深刻な問題がでてきます。チキンレースとまで揶揄されたプレーフィーの低価格競争です。
“ハゲタカファンド”に買収されたゴルフ場が、地域によってはネット予約で1ラウンド3000円を切るプレー代を提示。低料金で頑張る単体のゴルフ場は、価格競争の波に飲み込まれていきます。そうした状況下、ネット上で「外税の金額を見たお客様がどうとるか」と悩みつつ、経営者たちは料金内に潜らせてしまいます。低料金のゴルフ場ほど、明細を見るとゴルフ場利用税の存在が際立ってしまうためですが、そうした状況下、さらなる苦境に立たされるゴルフ場が続出しました。
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