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“103万円の壁引き上げ”のしわ寄せでゴルフ場利用税廃止の目は消滅!? 撤廃派と堅持派は雪解けもゴルファーの気持ちはどこに?
「年収103万円の壁」問題が、日本ゴルフ界の長年続いた対立関係解消に一役買いました。昨年12月20日に決定した与党の税制改正大綱で、年収103万円の壁となっている控除額が25年から123万円へと引き上げることが明記されました。地方財政を直撃すると騒がれたこの話題が、ゴルフ場利用税問題を収束に向かわせる「追い風」になったというのです。
「(利用税を)堅持しなかったら市町村は大変なことになります」
一方で「ゴルフ場利用税」の味をしめてしまった地方自治体の抵抗も激しさを増しました。(一社)日本ゴルフ場経営者協会のデータによれば、昭和32(1957)年に116だったゴルフ場数は平成4(1992)年には2028まで増加。(その後、2002年には2460まで増加)。この年、延べ利用者数1億200万人が支払った利用税は1035億円に達していました。

ゴルファーから徴収された利用税はゴルフ場のある都道府県に集められ、全体の3割が都道府県、7割が市区町村へと交付されます。しかも、これが目的税ではなく普通税であるため、地方自治体にとっては使い勝手のいいことこの上ないというのが本当のところなのです。
平成27(2015)年度決算のデータでは、地方税のうち交付金が占める割合が最も多いのは、4200万円のゴルフ場利用税が入る京都府笠置町で、26.5%でした。6500万円の利用税収入がある同府南山城村が21%など、依存度の高い自治体はいくつもありました。
当時「ゴルフ場利用税堅持のための全国市町村連盟」の代表世話人・静岡県小山町の込山正秀町長は、筆者のインタビューに「(利用税を)堅持しなかったら市町村は大変なことになります。中でも全体の75%は本当に弱小市町村ですから、利用税がなければやっていけない」と力説していました。代替財源が用意されない限り、もはや既得権となっているゴルフ場利用税を手放す気などさらさらないのが、地方の首長たちの本音でした。秋から冬にかけて地元から永田町に出てきては、陳情を積極的に展開。総務省や議員のバックアップを受けたロビー活動の熱量は、撤廃派を凌駕していました。
そうした中、ゴルフ場は2002年の2460から300以上も減ってしまいました。ゴルフ場が減り、ゴルフ人口が減り、ゴルフ場利用税も減っていく負のスパイラル。1000億円を超えていたゴルフ場利用税の税収が4割近くまで減り、ゴルフ場の周辺では雇用も固定資産税も失われていきました。回り回って、結局困るのは地方自治体という事態になっていたのです。
少子高齢化や税制改正による税収減に危機感
そうした現実に気づいた自治体は、ゴルフ場と共存共栄の道を探り始めます。たとえば千葉県市原市。人口は約27万人ですが、日本一多い33カ所のゴルフコースに、年間約176万人ものゴルファーが来場しています。このゴルファーたちが支払ったゴルフ場利用税の7割が市原市に地方交付税として入り、その額は実に6億8350万円に上ります。「いちはらをゴルフの聖地に」を合言葉に掲げ、高校生の職場体験に市内のゴルフ場を選んだり、小学生のスナッグゴルフ体験に千葉県女子プロ会からゴルファーを派遣したりと、様々な取り組みを行っています。
廣野ゴルフ倶楽部など名門を含め25コースと市原市に次いで多いゴルフ場数を擁する兵庫県三木市の市役所には「ゴルフのまち推進課」まで設けられ、市民参加のゴルフ大会を大々的に行うなど、こちらも「聖地化」を目指しています。
その流れに拍車をかけたのが、ゴルフ議連のバックアップ。その裏事情を山中専務執行役がこう明かします。
「昨年の日本プロゴルフ選手権(7月4~7日、富士カントリー可児クラブ)に赤池(誠章)事務局長とゴルフ議連の衛藤征士郎会長(当時)が行って、可児市の冨田市長に『三木市や市原など、共存共栄に取り組んでるところもあるので、お互い共存共栄でやっていきませんか』と提案しました。冨田市長も『それであれば私たちもぜひ、一緒にお話をさせていただきます』と応じて、相互の交流が始まったんです」
画期的な歩み寄りの裏には、双方が現実路線に舵を切るという選択がありました。少子高齢化や税制改正による税収減が現実味を帯びてくる中、ゴルフ場利用税に依存する部分はさらに増してくるのは間違いないからです。
「まして103万円の壁が引き上げられて、そのしわ寄せがくるという話も、ある国会議員の方からお聞きしました。であれば、お互い協力しながらゴルフの普及・振興を目指していく方が得策。税収も増えます、という話ですよね」(山中専務執行役)
対立が解消されゴルフ場運営者と地方自治体の協力体制の強化が進むことで、ゴルフ業界全体の活性化が期待されます。また、地方経済の発展にも寄与する可能性があります。
現在は市町村に使い勝手のいい普通税となっている利用税を、ゴルフ関連に使われる目的税へと変える。ゴルフ業界にはその目標に向けての第一歩という考え方も、共存共栄路線の行く末にはチラついています。
ただ、これはあくまで地方自治体と業界の話。一般ゴルファーにとってはどうなのか、という部分が置き去りにされることは、くれぐれもないように願いたいものです。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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