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- ほら始まった ゴルフ名物“マウント合戦”… 「どこそこでプレーした」「誰それと回った」自慢にウンザリ/木村和久『ゴルフ=レジャー宣言』
「ゴルフはスポーツか? それともレジャーか?」――600万人ともいわれるゴルファーのなかでは見解はさまざまだと思いますが、あなたはどう考えますか? ゴルフを筆頭に、平成~令和の日本を縦横無尽に遊び尽くしてきたコラムニストの木村和久氏が、浅いのか深いのかよく分からないこの問いを考察していきます。
マウンティングの主流はジャイアン型からスネ夫型へ
ゴルフをやる以上、避けて通れないのがマウントです。これは自分を優位に見せる行為で、ギアやウエア、社会的地位、経験値などを使い、相手をさりげなくディスることを指します。

ゴルフはそもそもがスコアを競うゲームです。だからスコアで勝てない相手に対し、“口撃”で勝とう、あるいは爪痕を残そうとしがちなのです。
それでは具体的にどういう行為がマウントなのか、個人的体験をもとに解説しましょう。
知り合いがイジってくる場合
例えば仲間うちのラウンドで、新しいドライバーをデビューさせるとします。普通、友達は「スゴイじゃん、どれぐらい飛ぶの?」「高かったでしょう」などと社交辞令を言ってきます。
その中でちょっと意地の悪い人が、私のキャディーバッグをのぞきこんで「本数多くない?違反じゃないの」というわけです。
新しいクラブを試打するので、1本多くなり15本になってしまうけど、仕方ないじゃないですか。もともと使っていたドライバーも入れておけば、叩いた時に安心だし。「別にいいじゃん、遊びだし」と言えば「特別だぞ」って、なんであなたに許しを請わなければならないの? プライベートラウンドなのに。お前は競技委員か。きっと新しいドライバーを購入したのが面白くないのでしょう。いい迷惑です。
ほかギアやウエア関係をネタにしてのマウントはよくあります。高反発クラブを打っていた時に、今日イチの当たりをしたら「そりゃ違反すれば飛ぶよね」とかね。好きな青いポロシャツを着ていた時は「いつも同じ服ばかり着ている」とか。
スティーブ・ジョブスには、毎回同じ服を着て発表会をやっているとイジらなかったくせに、相手が格下と思うと、すぐクチにする。マジほっといてください。
知り合いの場合、たいがいジャイアンタイプが何かを言ってきます。昔は「ニギリをしよう」「オリンピックやろう」とか「バックティーで打とう」「ニアピンしよう」「昼休みに酒を飲もう」(酔えば叩くから)と誘ってきました。今の感覚としてはマウントを通り越し、パワハラに近いかもしれません。
ただ令和になり、そういうジャイアンタイプが減り、ちくちく言うスネオタイプが増えましたかね。ジャイアンよりはマシですが、言われるほうはイラっとします。
初対面のラウンドの場合
コンペの組み合わせで一緒になると、たいがいの人はギアや小物などを褒めて、友好ムードを築きます。ところが、一部で叩いて面白くない人がいるもので、腕前で劣ると別な部分でマウントを取ってきます。
いきなり「冬はハワイでゴルフしないの?」ってね。「セントアンドリュースに行ったことある? ゴルフの聖地に1回は行ったほうがいいよ」とか、聞いてもないのに、さりげない自慢話でマウントを取ってくるのです。
マウントの類は年間ラウンド数からゴルフ会員権の購入価格まで、莫大なお金と長大な時間をかけないとできない話が多いです。スコアより資産&体験で勝負というわけです。
さらに自称セレブと思っている人は「この前プロアマに出て、○○プロとラウンドしたよ」とかね。どんな芸能人、スポーツ選手とラウンドしたかという自慢マウントもお約束です。
そういう戦いに参戦しても良いのですが、自分がレベルの低い男になってしまうので、ぐっと我慢して「スゴイですね~」と言っておきますか。
おごりマウント
ゴルフ場ではささやかなものをおごってマウントを取る方法があります。例えばコース内のお茶屋に行った時、自分のホルダーを茶店の人に見せて「飲み物全部、これにつけて、俺のおごりだから」という人がいます。
その時は缶コーヒーなどを頂き「ありがとうございます」って言いますよね。
一見いい人に見えますが、中にはマウントを取りたくて、わざとやっている人もいるのです。つまり相手が「ありがとうございます」と言って、頭を下げるのを見たくておごっているのです。
出費はひとりあたり300円未満。最小の投資で最大の効果をもたらします。マウントを取る側からしてみれば安いものでしょう。
ほかにランチタイム時に一品料理を頼むのも効果的です。「鳥のから揚げを分けて食べましょう」と1000円分ぐらいおごって、みんなが頭を下げる。マウント好きとしてはたまりません……て、私のことじゃないですよ。
マウントからワンマンショーへ
例えばお昼休みやコンペのパーティーで、長く会話をするタイミングがあるとしましょう。
そこでどのコースに行ったか的な話が始まると、マウントが自慢大会になり、それでも「スゴイですね~」と合いの手を入れると、ワンマンショーが始まってしまいます。
今までどこに行って誰と回って、どういうコースのメンバーになったかを延々しゃべり続けるのです。そのくせスコアは100をやっと切ったぐらい。腕前で負けるから、過去の栄光で勝とうとするんですね。
マウントをしてくるのは、昔ブイブイ言わせた人に多いです。今まできらびやかに生きてきたゴルフ人生、その体験で存在感を示したいのでしょう。そういう自慢話は、お金を払ってキャバクラで語ってください。自慢マウント大会が始まったら、相手にせず、トイレに行くフリでもして逃げましょう。
文/木村和久
1959年生まれ、宮城県出身。株式投資から大衆文化まで、さまざまなジャンルで“現代”を切り取るコラムニスト。有名ゴルフ媒体へも長く寄稿してきており、スイング理論やゴルフ場設計にも造詣が深い。近年はマンガ原作者としても活躍。
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