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ゴルファーから“1R100円”新たな協力金案!? 敷居高すぎ“来場者1日1人未満”… ゴルフの歴史守るミュージアム移転へ資金捻出
貴重な資料の宝庫でありながら、ほとんど利用されることもなく、存在すら知らないゴルファーも多い「ゴルフミュージアム」。今後はゴルフ殿堂としての役割が期待されるだけに移転が急務となっていますが、それには先立つものが……。
日がな一日資料調べをしていても来館者に会うことはない
平均入館者数、1日1人弱。ゴルファーにすら注目されず、存在感がまるでなかった「ゴルフミュージアム」に、ようやく光が当たりそうです。「日本プロゴルフ殿堂」が発展解消する形で、2025年4月1日から公益財団法人日本ゴルフ協会(JGA)の「日本ゴルフ殿堂」へと継承され、そこで同ミュージアムに「殿堂博物館」としての要素がプラスされるからです。

現ゴルフミュージアムは日本を代表する名門・廣野ゴルフ倶楽部(兵庫県三木市)の敷地内に所在しています。コースから見てクラブハウスの左側、瀟洒な2階建ての館内には、世界的にも貴重な展示品が約2000点も展示。書庫には各ゴルフ場の周年誌や日本のゴルフ草創期に創刊された雑誌『ゴルフドム』などの資料が所蔵されています。筆者はゴルフ誌で「ゴルフ場を造った男たち」と題した連載をしていた頃、資料集めでこのミュージアムを定期的に訪れていた時期があり、そのありがたみを痛切に感じた一人です。
展示品の中にはスコットランドのマッセルバラやセントアンドリュースで200年以上も前に使われていた「ロングスプーン」や、伝説のグランドスラマー、ジーン・サラゼンのクラブ、1階の片隅には宮本留吉のゴルフ工房も再現されています。
ゴルフボールの起源から発達の過程が一目で分かる展示や、廣野GCや川奈ホテル富士コースを設計したC.H.アリソンの流れを汲む井上誠一や上田治が描いたゴルフコース設計図なども展示されています。
ゴルフジャーナリストの草分け・伊藤長蔵が発刊した日本のゴルフ雑誌第1号である『阪神ゴルフ』の創刊号(1922年4月25日号)も展示されています。日本のゴルフ場第1号・神戸GCの創始者A.H.グルームが愛用していたクラブ、赤星四郎・六郎兄弟などの愛用品も展示され、日英皇太子によるゴルフ対決のコーナーもあります。むしろゴルフを知らない人にこそ、ぜひ訪れていただきたい施設です。
しかし、日がな一日ここにこもって資料調べをしていても、来館者にお会いすることは一度もありませんでした。私が頻繁に訪れていた2020年、1年間の総入場者数は、わずか339人にとどまっていましたから、それも不思議はありません。
閑古鳥が鳴いている最大の原因は神戸の中心地から離れていること。広野ゴルフ場前駅から徒歩ですぐの距離とはいえ、名門ゴルフ場の敷地内にあるため、敷居の高さも感じずにはいられません。積極的に宣伝告知がなされておらず事前予約が必要ことも、入館へのハードルを高めていました。せめて一般の方々が気軽に見られる、都市部への移転が求められるところです。
日本人の年間6000万ラウンドから50円ずつで30億円、100円ずつで60億円
しかし、それには先立つものが必要になります。ゴルフミュージアムに吸収される日本プロゴルフ殿堂は公益社団法人 日本プロゴルフ協会(PGA)、一般社団法人 日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)、一般社団法人 日本ゴルフツアー機構(JGTO)の3団体が、偉業を達成した選手たちを顕彰する目的で2010年に設立。12年から23年まで、50人のプロゴルファーを顕彰してきました。

今後はプロゴルフの範ちゅうにとどまらず、アマチュアプレーヤーや指導者、コース設計家、ゴルフ用品関係者、メディア、協会や団体のリーダーなど、広く日本ゴルフ界に貢献した人々や団体に顕彰の対象を拡大。すでに顕彰されたプロゴルファーは新しい殿堂にそのまま引き継がれ、来年の3月に最初の顕彰が行われます。
3月12日に都内で行われた会見には、日本プロゴルフ殿堂の松井功理事長、JGA(日本ゴルフ協会)側から池谷正成会長、山中博史専務執行役/チーフエグゼクティブ、戸張捷広報参与が出席。ここで池谷会長が「将来的にはJGAゴルフミュージアムも併せて取り組んでいきたい」と発言しました。殿堂と呼ぶにふさわしい博物館の設立を明らかにしたわけです。
JGAの池谷会長も「建物がきちんとできた段階で、殿堂とミュージアムが一緒にできるのがいいというのは共通意見ですが、それには資金が非常にかかる。そのため、いま資金集めを大きい法人を対象にいろいろとお願いをしています。ビルをどこかに持っている会社とか」と、苦しい台所事情を明かしています。

そこで資金の調達先について日本ゴルフ殿堂本部の統括コーディネーターでもある戸張氏を直撃すると、こんな答えが返ってきました。
「(日本には)ゴルファーが大体700万人くらいいて、1年間で6000万ラウンドしています。ラウンドあたり50円をいただければ30億円。100円だったら60億円。16億円はミュージアムに回すとしても、日本オープンも自前でできる」。公益財団法人である日本ゴルフ協会にとって、ゴルフミュージアムの移設に伴う費用とその後の運営費の捻出が悩みの種。そこから生まれたのが、ゴルファーから50~100円の支援金を募るアイデアだったわけです。
JGAには加盟コースが全国に1469カ所あります(2025年2月28日現在=JGA調べ)が、日本のゴルフ場総数は2115カ所(2024年12月現在=NGK調べ)に上ります。残りの646のゴルフ場からの徴収についても、JGA側は検討しています。
日本ゴルフ殿堂本部の本部長/エグゼグティブディレクターも務める山中氏は「加盟であろうと非加盟であろうと、パブリックだろうとメンバーであろうと、徴収することになった場合は当然ゴルフ場にお願いしなければいけません。利用税と一緒ですよね。ゴルフ場が徴収したものを直接払っていただくのか、どこかを介して払っていただくのか。その場合には、いま加盟クラブに払っていただいている26万円(18ホールのゴルフ場の場合)はいらなくなる形にして(徴収した際の)手数料として何%かをお返しするというような、みんながWin-Winの関係になるようにしたい」と言葉に力を込めました。
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