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ウルトラマンと怪獣がゴルフ場を練り歩くシュールな光景なぜ実現? PGAと円谷フィールズの蜜月関係【小川朗 ゴルフ現場主義!】
「TSUBURAYA FIELDS HOLDINGS ULTRAMAN CUP 第64回日本プロゴルフ選手権」でウルトラマン8人と怪獣12頭がゴルフ場を歩き回るシュールな光景が今年も繰り広げられました。世にも珍しいコラボレーションはなぜ実現したのでしょうか。
スポンサードはあと10年続くという話も
ウルトラマン8人と怪獣12頭が人混みを歩き回っているゴルフ場は、世界広しといえどもここぐらいでしょう。ウルトラマンと牛久大仏のツーショットが撮影できるのもこの週だけ。コース内で写真撮影をお願いすれば、スーパーヒーローも怪獣も、たいていのポーズにも応じてくれます。
そんな特典付きのゴルフトーナメントの最終日が9月28日、茨城県稲敷郡のイーグルポイントゴルフクラブで行われました。
大会名称はちょっと長い。「TSUBURAYA FIELDS HOLDINGS ULTRAMAN CUP 第64回日本プロゴルフ選手権」。シニアツアーでは最も古い、64回の歴史をもつシニアのプロゴルファー日本一決定戦を主催するのは日本プロゴルフ協会(以下、PGA)で、大会の特別協賛に昨年からついたのが円谷フィールズホールディングス(以下、円谷フィールズHD)。ウルトラマンシリーズを制作してきた円谷プロがグループ企業とあって、ヒーローも怪獣たちも汗水たらしてファンサービスにあたっているというわけです。
同社の関係者にトーナメントを特別協賛の立場でサポートするメリットについて聞いてみると、こんな答えが返ってきました。
「バルタン星人を見て『ああ、懐かしい』と思っていただき、もう一回作品を見ていただけると、われわれとしてもまたうれしいなと思います」。その一方で、こうも言いました。「この大会をわれわれの作品を通して知っていただき、シニアプロの皆さんの活躍とかを盛り上げる。大会自体も盛り上がって、いろんな方たちに知っていただくことを一番の目的にしています」。
コースに入り、まず目に飛び込んでくるのが体長4.5メートルもある巨大なウルトラマンフィギュア。大人も子供も、ここでまず足を止めて早速記念撮影です。ここで気付いたことですが、アングルによっては、世界最大の青銅製仏像である牛久阿弥陀大仏(全長120メートル)とのツーショットも実現します。

さらに歩を進めると、スポンサーボードの前でピグモンと三面怪人ダダをゆる~くした「ピグちゃん」と「ダダちゃん」がお出迎え。子供たちは大喜びでパパママやおじいちゃんおばあちゃんに撮影してもらいます。
そこからゴルフ場の練習場へと向かうと、スナッグゴルフ教室も行われています。子供たちはここでゴルフの入口へと立つことができるのです。最終日はPGA関係者の指導のもと、ゴルフを初めて体験していました。
会場内では、8体のウルトラマンと12体の怪獣たちが、円谷プロのスタッフとともに待ち受けています。大人にとっては、子供の頃ブラウン管の前でくぎ付けにさせられた「円谷ワールド」を再び思い出す機会となります。うれしいのは、こちらのポーズに怪獣たちが合わせてくれること。インスタ映えする写真が出来上がり、大人たちは早速自分のSNSにアップしていました。
童心に帰って怪獣たちとフレームに収まる大人たちとは対照的に、子供にとってリアルすぎる怪獣は恐怖の対象。視界に入ったとたんに顔をゆがめて脱兎のように逃げ出す子、大人の後ろに隠れて固まっている子など、様々な反応を見せていました。
大会の主催者であるPGAの明神正嗣会長も同社との末永い関係を望んでいます。「プロアマの表彰式の最後に(円谷フィールズHDの)山本(英俊)CEOが、あと10年やってくれるって言ってくれましたし」。
「完全に決まったことではない」と語る関係者もいますが、PGAと円谷フィールズHDの蜜月関係が、これから10年は続く可能性は高そうです。
優勝したイエーツが「スペシウム光線ポーズ」
試合の方も、最終日の最終18番を1ストロークビハインドで迎えたサイモン・イエーツ(スコットランド)が、111ヤードの第2打をピン奥80センチに落とし、バックスピンでカップに放り込む大逆転イーグル。前週の日本シニアオープンを制し、メジャー競技2週連続Vを狙っていたタマヌーン・スリロット(タイ)の夢を打ち砕き、通算14アンダーで劇的な優勝を飾りました。

イエーツは「1000回トライしてもあんなショットはできない。それが最終ホールの、あんなに大事なところで出るなんて」と興奮冷めやらぬ様子。カメラマンからウルトラマンの「スペシウム光線ポーズ」など、無茶ぶりを含めたありとあらゆるポーズを要求されても、ご機嫌で応じていました。
大逆転の余韻が残る18番グリーン。その奥で同社の専務取締役アミューズメント機器事業セグメント統括オフィサーである吉田永氏を直撃すると、「とりあえず来年はウルトラマン(シリーズ)が7月に60周年を迎えるので、それに向けていろいろ考えていきます。もっと盛り上げたい」と、前向きな答えが返ってきました。
数々の「この大会だけしか見られない」光景が随所に展開される「ウルトラマンカップ」。大人から子供まで、全世代が楽しめるゴルフトーナメントの姿がここにあります。
会場では9月6日に開始されたジュニアの団体戦「PGAジュニアリーグ」のクラウドファンディングの告知も行われていました。13歳以下の子どもたちを対象に、個人スポーツであるゴルフを、チームメイトとの団体競技として体験するのが同リーグ。2024年時点で北海道から九州まで12ディビジョン・15ブロックまで広がりを見せています。
PGAジュニアリーグは仲間と楽しみ、切磋琢磨しながら、ゴルフを通じて子どもたちの「人」としての成長を促すことを目的に掲げています。寄付金は参加選手(および保護者)の参加費、ゴルフ場使用料・宿泊交通費、ディレクター・監督の支援活動費、情報発信費などに使われる予定です。
ジュニア層の拡大、シニアツアーの人気回復に向けてのヒントも、この大会にはぎっしり詰まっていました。まだまだ伸びしろがあるだけに、この大会を広く知ってもらうための事前のPRが、大会3年目となる来年のウルトラマンシリーズ60周年記念大会に課せられた最重要テーマとなりそうです。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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