- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- コラム
- 【独自】「(学連は)見放されたということですね」 日本ゴルフ協会が「日本学生」の主催を返上【小川朗 ゴルフ現場主義!】
【独自】「(学連は)見放されたということですね」 日本ゴルフ協会が「日本学生」の主催を返上【小川朗 ゴルフ現場主義!】
関東学連の社会人理事と監督・学生理事の対立問題が原因となり、日本ゴルフ協会が重大な決断を下しました。JGAが66年間続けてきた日本学生ゴルフ選手権の主催(女子は36年間)を、日本学生ゴルフ連盟に返上することを通達していたことが明らかになりました。
「ここ数年に渡る混乱について改善が見られないこと」
当コラムで明らかにしてきた関東学連の社会人理事と監督・学生理事の対立問題が原因となり、日本ゴルフ協会(JGA)が重大な決断を下しました。JGAが66年間続けてきた日本学生ゴルフ選手権の主催(女子は36年間)を、日本学生ゴルフ連盟(以下、日本学連)に返上することを通達していたことが明らかになりました。同選手権の権威が失墜するだけでなく、JGAから毎年受けていた200万円の支援金も同時に失うことが濃厚。その原因を作った関東学生ゴルフ連盟の北口博会長(立教大OB)、勝又正浩(慶応大OB)副会長ら社会人理事の責任を問う声も一気に高まっています。
※ ※ ※
大学ゴルフ部のある監督は、この通達書に目を通すと「JGAからも見放されたということですね」と驚きの色を隠せませんでした。
事の重大さはゴルフ界にいる者なら誰でも理解できる内容だったからです。大学ゴルフ界最高峰の大会である〈日本学生ゴルフ選手権競技及び日本女子学生ゴルフ選手権競技に関する件〉と題されたその文書には、JGAがこの2大会の「主催を下記の理由により貴連盟(日本学連)に返上することになりましたことをお知らせいたします」とありました。

4項目に及ぶ「下記の理由」の最上位に挙げられていたのが「ここ数年に渡る貴連盟(日本学連)内における混乱について改善が見られないこと」。
混乱とは、このコラムでも再三取り上げてきた関東学生ゴルフ連盟の社会人理事により続発している学生理事へのパワハラに端を発したゴタゴタを指します。2023年度の日本学連委員長(A氏=学生理事)が北口博会長代行から受けたパワハラを内部通報窓口に通報したものの、その後も納得のいく説明を得られないまま。
A委員長の後を継いだ24年度の日本学連委員長(C氏=学生理事)は昨年の6月、日本学連の白井義雄会長と連名で、(関東学連の社会人理事である)北口博会長代行に対し、対話と対応を促す書類を送付。しかし音沙汰はなく、対話は実現していません。
業を煮やした学生たちは7月、学生の意見が反映されない実態の改善をJGAの山中博史専務執行役に直訴。C委員長も事態の改善がなされない場合、関東学連に配分されている日本学生・女子学生選手権の出場枠を削減する案を作成。「法的に問題がないか部活の部長である法科大学院の先生にチェックしていただいた上で、白井会長と山中さんに添削をしていただいた後、25年9月3日の臨時総会を開催して出した」(C委員長)。
しかし、この後、関東学連の社会人理事はこの出場枠削減案を「日本学連に撤回させる」と言いながらできないまま越年。年内に改善する期限を守らなかったため、この案が履行されることとなりました。ところが5月になり、社会人理事は東京地裁にこの出場削減案を撤回する仮処分を申請。これが認められ、いったん決まった削減案が白紙に戻される事態となったのです。
キャディーをしてコツコツ貯めたアルバイト代が無駄に
この結果、一旦は日本学生に出場できる喜びもつかの間、出場できなくなったことを知った学生(関東以外の学連所属)の中には当然のことながらショックを受け、落胆する選手もいました。学連の迷走に振り回された学生の親の中には、監督に猛抗議する者もいたというから穏やかではありません。
「航空券、ホテル、レンタカーも早割ですから、直前のキャンセルは料金が発生します。キャディーをしてコツコツ貯めたアルバイト代を充てていた学生にとって、大きな出費となり二重のショックです。それを見ていた親御さんのやりきれない思いは相当なもの。頭を下げて、なんとか納得はしていただきましたが」(出場枠を返上させられた生徒が所属している大学ゴルフ部監督の話)
こうした大混乱の実態は、当然JGAにも届いていました。日本学生選手権の表彰式でプレゼンターを務めたJGAの熊谷信太郎常務理事も、席上、怒りをにじませてこう語っていました。「いったん出られると聞いてから、また出られなくなってしまった学生もいたわけですから」。
混乱を起こした張本人である関東学連の幹部は、日本学連の幹部にもなっています。それだけに日本学生選手権の表彰式に出席して関係者に対し事情説明くらいは行うべきでした。それすらしなかったことで異例の事態が発生します。前出の熊谷氏が表彰式のスピーチで「今回は大会の出場枠をめぐって、開催直前まで対立と混乱を招いてしまったことは誠に遺憾であります」と、関東の社会人理事をはじめとする関係者を痛烈に批判したのです。
熊谷氏が指摘した「対立と混乱」。これが一向に収まらない実情を鑑み、ついにJGAが「最後通牒」を突き付けた格好です。しかしながら、日本学生ゴルフ選手権は1935年に始まり、59年の13回大会から66回に渡りJGAが主催し、サポートしてきた歴史があります。日本女子学生選手権も26回大会が行われた89年からJGA主催の大会としてその歴史を刻んできました。
JGAが拠出してきた200万円の支援金もカットへ
学生ナンバーワンを決する歴史ある大会であるだけでなく、JGAが主催する大会として内外から特別な大会として認識されてきましたが、JGAが離脱したことによって、権威もガタ落ちとなります。ダメージはそれだけではなく、毎年受けていた200万円の支援金も打ち切りとなる可能性が大なのです。
白井会長も10月31日、常陸宮杯最終日の時点でそれを覚悟しており「これまではそれ(200万円)があったから収支トントンで来ていたけど、これからは(一般社団法人への)法人化を進めていかないと」と、今後の対策に頭を悩ませている様子でした。
JGAの山中専務執行役も「私たちが回答したのは、あくまで日本学生の主催から降りるということだけ。ただ支援金についても、われわれとしては『今の状況だとちょっと厳しいよね』という話にはなっています。白井さんはわれわれと話している中で、それを感じてらっしゃるんだと思いますね」と、支援金のカットについて検討段階に入っていることを否定しませんでした。
JGAとの関係悪化を物語る今回の主催返上騒動。金銭面を含めた支援体制を失うこと自体、日本学連にとって大きなダメージとなることは間違いありません。その原因を作った関東学連の北口会長や勝又副会長ら、社会人理事は責任追及を免れないでしょう。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
最新の記事
pick up
ranking











