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「ゴルフを学校教育の場に!」の悲願はかなうのか? R&Aが世界規模で進めるジュニア育成プログラム日本でも始動 【小川朗 ゴルフ現場主義!】
ゴルフの総本山であるR&Aが地球規模で進めているジュニア育成プログラムの一環「コミュニティゴルフ」が栃木県鹿沼市で11月20日、始まりました。
R&A肝いりの「コミュニティゴルフ」が栃木県・鹿沼市で始動
自治体&地元ゴルフ場の強力なバックアップを得てゴルフが街に、学校に出ていく。画期的な試みが栃木県鹿沼市で11月20日、始まりました。日本ゴルフ協会(JGA)が主催する「コミュニティゴルフ」を試験的に検証していく事業。ゴルフの総本山であるR&Aが地球規模で進めているジュニア育成プログラムの一環で、日本ではこの日の体験説明会が初の実施となりました。
地元の小学生が気軽に参加し、基本的なスキルを「コミュニティ・ゴルフ・インストラクター(CGI)」から楽しく学び、コース内外で役立つライフスキルを学ぶイベントをJGAが主催。鹿沼市協力のもと、同市を拠点にゴルフ場を経営する鹿沼グループ(同市藤江町、福島範治社長)が運営していく形が整いました。
「いずれは鹿沼市内の小学校の授業ですとか、栃木県にもお願いをして県からの協力も受けながら、子供たちに公共の場でゴルフに触れる機会を作れればと思います」と語るのは、鹿沼グループの福島社長。その第1歩が、鹿沼72CCで踏み出された形です。この動きが全国に広がり実績が積み上がれば、ゴルフが学習指導要領に採用され、授業に組み込まれる可能性も見えてきます。

同コースで行われた説明会には、日本で唯一のナショナルチューター(CGIの育成担当)で体験会を指導する長嶋淳治JGAアスリート&コーチ育成推進マネジャーらスタッフ、松井正一市長を始めとする鹿沼市の関係者、同グループの福島社長以下社員、地元の自治会関係者らが参加。安全性に配慮されたプラスチック製のクラブを使って硬式テニスボールを一回り小さくしたボールをプレーしました。
「『ゴルフクラブを持って、硬い球でやるから危ないじゃないか』というような障壁をどんどん超えていく」と語る長嶋氏の盛り上げ方がスゴイ。ボールを転がしてターゲットを狙うパッティングの「ドミノ」、空中に飛ばして狙うチッピングの「ダーツ」、フルスイングで飛ばしを競う「ドライビング」をそれぞれ団体戦で行うと、これが大盛り上がり。大人たちが童心に帰り歓声を上げながらのプレーとなりました。
「ゴルフは『難しい』とか『技術的なレッスンが多い』というイメージが多いので、いきなり『ドミノ』を先にやりましたが『楽しかった』『意外と簡単だった』『初めてやったけど簡単だった』『チームでやって心拍数上がってワクワクして夢中になった』などの感想をいただけたのは良かった。R&Aが持っているコンセプトを(日本に合う形に)変えていってうまく地域の方々と連携すれば、街の中に溶け込むと思います」と、長嶋氏も1回目を無事に終え、手ごたえをつかんだ様子。
長嶋氏はさらにこう続けました。「ゴルフは世代を超えて、みんなが一緒にプレーできるのがいいところ。『おじいちゃんと孫が一緒にできるようなゲームだった』という意見もありました。今回はゴルフ場に皆さんが来ていますけど、練習場、さらにはゴルフをコミュニティの中に出すこともできる。体育館だったり、公民館の広場だったり、ショッピングセンターの間の空間だったり、そういう小さいスペースでゲームを設定して、30分程度のゲームは簡単にできます」。
ゴルフを身近にすることで様々な社会課題を解決する一助に
市内の様々なスペースでゴルフに触れる機会が作られ、指南役のCGIが子どもたちにゲーム感覚で楽しく指導してくれる。この先にあるのが、ジュニアゴルファーだけでなく、多くのノンゴルファーにもゴルフが身近になり広がっていく理想の姿。「経験した人がゴルフ場やゴルフ練習場に来る。練習場、コースとかクラブも柔軟に変わって、いろんな人が入ってこられるように変わっていくっていうのが、次の未来だと思います」(長嶋氏)。

ゴルフに市民が参加していく形は、鹿沼市にとっても歓迎すべきこと。発表時の記者会見(今年の日本オープン会場)で「鹿沼市内には12のゴルフ場があり、首都圏から約100キロメートルの地理的優位性もあって、年間60万人を超えるゴルファーに来ていただいている」と、地域の特性を強調していた松井市長自ら体験会に積極参加。アイアンをフルスイングして、ゲームをエンジョイしました。
「鹿沼の特性の一つであるゴルフを生かした街づくりを、こういう様々なレクリエーションも含めて市民の皆さんにやってもらうことで健康増進をはじめいろんな面でプラスになる。このコミュニティゴルフを普及させられるように市としても協力して、いろんな事業がやれればと思います」と、全面協力を約束しました。
ゴルフを利用しての健康増進。これも重要なテーマです。「ゴルフは有酸素運動、筋肉を使うことで脳に刺激を与えますから、健康寿命、そして子どもたちの運動不足とか、そういった様々な社会課題にゴルフが順応することによって貢献できます」(長嶋氏)。
これを受けて、JGAの「ゴルフと健康部会」委員でもある福島社長も「ゴルフは認知症予防に有効なデュアルタスク(同時に2つの作業をすること)を行うスポーツでもあります。歩きながら計算する。それがデュアルタスクで、記憶力が改善するという研究結果が出ています」と、高齢者の認知症予防にもゴルフが有効であることを強調しました。
ボリュームゾーンである団塊の世代が後期高齢者となった今年。医療、介護業界に深刻な打撃を受けるとされる「2025年問題」は日に日に深刻さを増しています。この年齢層には、リタイヤゴルファー候補生が多く含まれている現実もあります。この層が運転免許返納や経済的な理由でゴルフから離脱するという懸念は日に日に増しています。そうした「ゴルフ場への足」の問題や、年金生活などの経済的問題をクリアする夢も、このコミュニティゴルフは担うことになります。
鹿沼モデルの成功が、日本のゴルフの将来を握っているとも言えそうです。
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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