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- 過去には「計68罰打」の事例も! トーナメントで勘違いが多発する「プリファードライ」の処置を米ツアーが変更
PGAツアーが採用するローカルルールに今季、複数の大きな変更があり、コースコンディションが悪い時に利用可能になる「プリファードライ(Preferred Lies)」にも大きな変更がありました。
プリファードライの救済エリアが1クラブレングスからスコアカードの長さに縮小
PGAツアーが採用するローカルルールに今季、複数の大きな変更があったことは本サイトでも紹介してきましたが、米メディアによれば、コースコンディションが悪い時に利用可能になる「プリファードライ(Preferred Lies)」のローカルルールにも大きな変更があったようです。
PGAツアーをはじめ世界中のプロツアー競技では、大雨長や雨などの悪天候や猛暑によるコースコンディションの不良が広範囲に及ぶ場合、よりフェアなプレー環境の提供とコースの保護のため、「プリファードライ」のローカルルールが採用されています。
その救済処置ですが、R&Aと全米ゴルフ協会が認める「ローカルルールひな形E-3」では次のように例示されています。
「プレーヤーの球の一部がジェネラルエリアのフェアウェイの長さかそれ以下に刈られた部分に触れている場合、そのプレーヤーは元の球か別の球を次の救済エリアにプレースし、その救済エリアからプレーすることで1度だけ罰なしの救済を受けることができる」
「1度だけ」というのは、ボールを拭いて(もしくは別のボールを)救済エリア内にプレース――つまりボールを地面に置いて手を離した瞬間、そのボールはインプレー。その後はライの状況が悪くても(他の救済を受けられる状況でない限り)、再度「プリファードライ」の救済を受けることはできない、ということです。

さて、「ローカルルールひな形E-3」の続きですが、PGAツアーは昨年までこの処置の救済エリアを元のボールの箇所を基点に1クラブレングス(ただし、基点よりホールに近づかない、ジェネラルエリア上)としていました。
ところが、この「救済エリアのサイズ」が今年から大きく縮小され、PGAツアーの公式スコアカードの長さ、約11インチ(約28センチ)になったのです。
SNSで人気のPGAツアー選手、マイケル・キムがXに投稿したツアーからの通達には「救済エリアは1クラブレングスからスコアカードの長さに縮小されました。この長さはスコアカードに貼られるグリーンのステッカーで示されます」
「この救済エリアは他の競技団体でも採用されており、ボールの元の箇所からより近いため、よりフェアな競技結果をもたらすでしょう」と説明されています。
「他の競技団体」のひとつがDPワールドツアーで、同ツアーでプレー経験のあるマイケル・キムは、1クラブレングスの救済エリアではショット、とりわけホールに近いチップショットにおいてはホールに対するアングルが大きく変わるのでアンフェアだったと、この変更を歓迎しています。
しかし、昨年までの救済エリアに慣れ親しんだ選手が、ついうっかり誤って箇所にプレースする心配が……。それに対し、PGAツアーの通達には「ボールを誤って救済エリア外にプレースした場合、ストローク前であれば、無罰で修正することができます」と書かれています。
勘違いで「プリファードライ」の救済エリアにプレースし続け合計68罰打!
ここで思い出されるのが2016年の伊藤園レディス。その第1ラウンドで、当時米LPGAツアー選手だった上原彩子が誤った救済処置をとり続け、計68罰打を課されたこと。
当時、国内女子ツアーでは前述「ローカルルールひな形E-3」の「プリファードライ」ではなく「同E-2」、一般に「リフト&クリーン」と呼ばれる救済処置が採用されていました。この伊藤園レディスも、「芝が短く刈ってある区域では球を拾い上げてふき、リプレースできる」というローカルルールだったのですが、上原はこれを勘違い。米ツアーで採用される「プリファードライ」の処置を15ホールで、計19回も行ってしまったのです。
彼女は翌日、第2ラウンドのスタート前に誤りに気づいて自己申告。結果、19回の処置違反に各2罰打=38打。そして、15ホールでスコアを過少申告したことになるため各2罰打=30打。合計68打の罰打を課せられました。
これにより、彼女の第1ラウンドのスコアは141(69オーバー)。当時のツアー史上最多を32ストロークも上回るツアーワースト記録になりました。
予選落ちは確定的な状況でしたが、それでも上原は「私のプレーを見に来て、応援してくれる人がいるから」と競技を棄権することなく、気丈にプレー。第2ラウンドは5バーディー、1ボギーの「68」という素晴らしいスコアをマーク。通算209ストロークの65オーバーでカットとなったのでした。
文・小関洋一
出版社、編集プロダクションを経て83年からフリーランスライターに。テレビ誌・トレンド誌などで主にスポーツに関する記事を執筆。テレビ、ラジオのスポーツ番組の構成も手掛ける。その後はゴルフ誌やネットメディアで内外の最新情報やゴルフ場レポート、ルール解説を執筆。JGAやKGA競技のオフィシャルライターも務める。東京ゴルフ倶楽部や日本ゴルフ協会の年史制作に携わっており、ゴルフ史に関する執筆機会も多い。
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