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- 炎上した申ジエの救済処置は“ズル”なのか? 線引きが難しい“合理・不合理”の判断
国内女子ツアー「アクサレディス」の最終日、申ジエ(しん・じえ)がとった救済処置が波紋を広げました。R&Aが判断の難しい場合の裁定をまとめた『ゴルフ規則オフィシャルガイド』にはどう書いてあるのでしょうか。
左打ちの採用が「明らかに不合理ではない」と判断された結果の救済
先週の国内女子ツアー競技「アクサレディス」の最終日、最終18番ホール。優勝した永峰咲希を1打差で追う申ジエがとった、第3打の救済処置が波紋を広げました。直後からネット上には、疑問を呈する――というよりは批判の声があふれ、大炎上。競技委員がルールに則って判断した結果の救済なのですが、その判断を疑う声も上がるなど、物議を醸しました。
筆者の考えは、申ジエについては「ルールを熟知し、適用できる救済を選択したスマート(賢い)なプレーヤー」であり、競技委員の判断を尊重し、今回の救済処置に疑問はありません。
しかし一方で、彼女に対し「ルールに反してはいないけど……」と“不快感”を抱くファンがいることも理解できます。

まずは、今回の「左打ち」の採用により発生した「障害」からの救済と救済後の「右打ち」ですが、R&A発行の『ゴルフ規則オフィシャルガイド』掲載の規則16.1a(3)/1「異常なストローク方法で障害物が障害となるときにも救済を受けることができる場合がある」で、次のように解説されています(一部略)。
〈その異常なストロークがその与えられた状況において明らかに不合理ではない場合。例えば、ジェネラルエリアで、右利きのプレーヤーの球がホールの左側の境界物の近くにあったので、そのプレーヤーはホールに向けてプレーするために左打ちのスイングを行わなければならなかった。
その左打ちのスイングを行うとき、動かせない障害物がそのプレーヤーのスタンスの障害となっていた。
この状況において、左打ちのスイングを用いることは明らかに不合理ではないので、そのプレーヤーはその動かせない障害物からの救済が認められる。
その左打ちのスイングについての救済処置が終わった後で、そのプレーヤーは次のストロークで通常の右打ちのスイングを用いることができる〉
あらためて今回は、通常の右打ちでは急なツマ先下がりのライで満足なスイングができない状況でした。そこで彼女は左打ちの採用を主張し、2人の競技委員が「明らかに不合理ではない」と判断し、救済が認められました。
日本ゴルフ協会(JGA)が作成し、YouTubeなどに公開するルール動画に「左打ちの採用が合理的な場合」と題したビデオがあり、同様の救済処置からの「右打ち」の例が示されています。
一方でJGAは「明らかに不合理な左打ちの採用」というタイトルの動画も作成。そこでは左打ちの採用は不合理であり、「不誠実」とされる例が示されています。
しかし、両者の間に明確な判断基準はなく、「合理・不合理」の判断はプレーヤー自身と競技委員の裁量に委ねられることになります。
ルールとは別にマナーや“勝負哲学”の観点からの批判も多く見られた
他方で、申ジエに対しては「時間を掛け過ぎ」とか「潔くない」といったマナーや“勝負哲学”の観点からの批判も多く見られます。
そこで、勝負の状況を変えて考えてみましょう。もしこれが、国やチームの威信をかけて戦う「ライダーカップ」のような対抗戦だったらどうでしょう。活用できる救済のルールがありながら、勝利のためにレフェリーへ強くアピールしない選手がいたら、味方からは「勝負に対して不誠実」と非難されることでしょう。そして、相手チームのファンからは「早く打て!」とブーイングが上がるはずです。
つまり、申ジエについての評価も、見る者の立場や価値観によって変わるということ。
あらためて筆者は、申ジエは「ルールを熟知したスマートなプロ」と評価しますが、同時にゴルフ競技には「潔さ」や「勝負美学」を求める人がおり、彼女のプレーに異議を唱える心理もまた、理解できます。
文・小関洋一
出版社、編集プロダクションを経て83年からフリーランスライターに。テレビ誌・トレンド誌などで主にスポーツに関する記事を執筆。テレビ、ラジオのスポーツ番組の構成も手掛ける。その後はゴルフ誌やネットメディアで内外の最新情報やゴルフ場レポート、ルール解説を執筆。JGAやKGA競技のオフィシャルライターも務める。東京ゴルフ倶楽部や日本ゴルフ協会の年史制作に携わっており、ゴルフ史に関する執筆機会も多い。
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