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- “飛ばないボール”の効果は“ほぼゼロ”!? “たまたま新基準適合”のプロV1xでPGAツアー1位の大ブレイク
PGAツアーで今季2勝をマークしてポイントランキングの首位を走るキャメロン・ヤングがブレイクするきっかけとなったのは「Pro V1xダブルドット」という特別仕様のボール。調べてみると、これがR&AとUSGAが2030年から導入する“飛ばないボール”の基準に適合していたことが分かりました。
「Pro V1xダブルドット」を使い始めてから3勝したC・ヤング
PGAツアーで今季2勝をマークしてポイントランキングの首位を走り、今週の「全米プロ」でも優勝候補の一角と目されるキャメロン・ヤング(米国)。彼が昨夏から使用し、優勝した今年3月の「ザ・プレーヤーズ選手権」では最終ラウンドの18番ホールで375ヤードの超ビッグドライブを放ったタイトリストの「Pro V1xダブルドット」(全米ゴルフ協会の適合球リストには「(pointed bar) ●● Pro V1x (pointed bar)」と記載)が、実はR&Aと全米ゴルフ協会(USGA)が2030年1月1日から一律で導入する予定の新基準に適合する、いわゆる“飛ばないボール”だったという驚きの情報が飛び込んできました。
この情報をいち早く詳細に伝えたのは、米ゴルフメディア「ゴルフウイーク」のアダム・シュパック記者。同記者によれば、ヤングは24年にスピン量の少ないボールを求めてタイトリスト社のテストセンターを訪問。その要望に応えて昨夏に出来上がったプロトタイプを試打したところ、求めていた低い打ち出し角でドライバーやロングアイアンでは低スピン。しかしショートアイアンやウェッジのスピン性能は変わらないことに満足ヤングは、さっそく8月の「ウインダム選手権」で実戦投入すると、いきなりその試合でツアー初優勝。そして今季の快進撃につながったのでした。

彼にとっては“打ち出の小槌”となったこのボールが新基準に適合する“飛ばないボール”であることが分かったのは、PGAツアーが独自に行っているテストの結果でした。先週の「トゥルーイスト選手権」会期中の選手ミーティングにおいて、少なくとも1人の選手にこの情報が共有されたといいます。
つまり、そもそもタイトリスト社が30年から始まる新基準をにらんで開発したボールではなく、スピン量を抑える設計を極めたところ、たまたま新基準を満たしたもの。いわば「ひょうたんから駒」のようです。
なお、この情報に対して、タイトリスト社やPGAツアー、R&A、USGAなどからのコメントはまだありません。
新適合基準の有効性と公平性にあらためて疑問や反対の声
これだけなら「たまたまだけど、よかったね」で済んだのかもしれませんが……。
ヤングに大きな恩恵をもたらした“飛ばないボール”の出現で、選手の間からは新適合基準の有効性と公平性にあらためて疑問や反対の声が挙がり始めたのです。
R&AとUSGAはもともと、新適合基準のいわゆるエリートゴルファーのドライバーの飛距離は13~15ヤード短縮されると説明していました。しかし、飛距離面でもヤングは今季平均312.0ヤードを記録し、ドライビングディスタンス27位につけています。ちなみに昨季平均は313.2ヤードで飛距離減はわずか1ヤード余。昨季の順位は17位でしたから、27位の今季は相対的に落ちているといえなくもないですが……。
ドライビングディスタンス314.1ヤードで17位のアダム・スコットは、ゴルフチャンネルの記事で「新基準に適合するボールをテストしたところ、飛距離は約2ヤード短くなった」と明かしたうえで「R&AとUSGAが飛距離を縮めようと導入する方法では、彼らが望む結果は得られないと思う」とコメントしています。彼はタイトリスト契約選手ですから、ヤングと同じボールを試したのでしょう。
そして、全英オープンチャンピオンのブライアン・ハーマンは「選手全員が20ヤードずつ飛距離が短くなるような策であれば誰もが賛成するだろう。しかし、この規制はそうではない」と公平性に疑問を呈しています。
それでもR&AとUSGAは予定どおりこの“飛ばないボール”を30年から一律導入するのでしょうか。ヤングが375ヤードドライブして話題になったボールが、その適合球だったことに一番衝撃を受けているのはR&AとUSGAかもしれません。
文・小関洋一
出版社、編集プロダクションを経て83年からフリーランスライターに。テレビ誌・トレンド誌などで主にスポーツに関する記事を執筆。テレビ、ラジオのスポーツ番組の構成も手掛ける。その後はゴルフ誌やネットメディアで内外の最新情報やゴルフ場レポート、ルール解説を執筆。JGAやKGA競技のオフィシャルライターも務める。東京ゴルフ倶楽部や日本ゴルフ協会の年史制作に携わっており、ゴルフ史に関する執筆機会も多い。
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