- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- コラム
- PGAツアーでマークせずボールを拾い上げた映像が「ルール違反だ!」と炎上 なぜ罰打にならなかったのか?
全米オープンで惜しくも2位に終わったサム・バーンズが、その前週の大会で「ルール違反」とSNS上で炎上した。しかし実際には規則どおりの処置だった。映像の切り取りが生む誤解について考える。
バーンズは誤って動かしたボールを正しくリプレースしただけ
先週の「全米オープン」。優勝したウインダム・クラークに1打差の2位と惜敗したサム・バーンズですが、彼はその前週の「RBCカナディアンオープン」でグリーン上のボールをマークせずに拾い上げて置き直したところをテレビカメラに捉えられたことから、SNS上で「ルール違反!」と指弾される災難に遇いました。
騒ぎが起きたのは「RBCカナディアンオープン」の第3ラウンド、16番グリーン上のこと。バーンズのパーパットのボールはカップのわずか左を通り抜け、20センチほど先で止まりました。
次のショートパットを沈めようとボールのすぐ後ろにパターをセットしたところで、彼はすぐにアドレスを解きます。そして、同伴プレーヤーのベン・ジェームズにひと言ふた言話しかけてから、マークをせずにボールを拾い上げ、置き直したのです。それから、あらためてマークを行って、再度ボールを拾い上げ、リプレースしました。

この一連の動作がTV中継でオンエアされると、アドレスを解いた後、マークをせずにボールを拾い上げたことが「違反では?」と疑いを集め、瞬く間に動画がSNS上で拡散する騒ぎとなりました。
この騒動に、TV中継にはPGAツアーのルール担当者が加わり、競技終了後にバーンズに事情聴取を行うことが表明されました。
しかし、その事情聴取の結果は……。実はバーンズは、ボールのすぐ後ろにパターをセットしたときに誤ってボールに触れたのか、自身の動きにより、ボールをわずかに動かしたというのです。この場合、規則13.1dでプレーヤーは無罰で、ボールは元の位置にリプレースしなければなりません。そして、その際にはマークをする必要はありません。
つまり、バーンズは自ら誤って動かしたボールを正しくリプレースしていたのです。ところが、TV中継を見ていたファンは事情が分からず、誤解して騒ぎになったということでした。
ただし、もしもボールを動かしたのがバーンズではなく、風など「自然の力」だった場合は、バーンズは最初のパッティング後にボールを拾い上げてリプレースしていませんから、規則9.3「自然の力が動かした球」の規定により、動いたボールはあるがまま、動いた先からプレーを続けなければなりません。にもかかわらず、バーンズは拾い上げて元の位置に戻したのですから、「誤所からのプレー」となり2罰打が課せられます。
3年前のマスターズではモリカワが一部切り取り動画により炎上
バーンズと同じように、事態を誤解したファンがSNS上で騒ぎを起こした例として2023年のマスターズがあります。このとき非難の対象になったのはコリン・モリカワでした。
第1ラウンドの6番パー3のグリーン上でのこと。モリカワはピン手前約11メートルからのロングパットを放つ際、一度とったアドレスを解くと、バーンズと同じように同伴プレーヤーにひと言ふた言。それからボールの後方にしゃがんだところでテレビ中継のカメラがスイッチされました。そして、次に映されたのは、しゃがんだ彼の足元に置かれたマークとその先10センチほど前方にあるボールでした。
モリカワはそのボールをマークせずに拾い上げ、わずかに位置を変えてリプレース。その後、10センチほど後方にあるマーカーをボールのすぐ後ろに置き直したのでした。
この映像だけ見ると、しゃがみこんだモリカワはボールをマークの10センチほども前にプレースしたかのように思えます。そのため、SNS上は「モリカワがズルした」と炎上することになったのでした。
しかし、騒ぎを知ったモリカワはその夜、自身のSNSに「その前の場面からのビデオがあるから見て。僕がアドレスしたとき、自然の力でボールが動いたんだ。それで僕はコイン(マーク)を適当に横に置いてから、ボールを元の位置にリプレース。それから、コインを元の正しい位置に置き直したんだ」と動画とともに投稿。騒ぎはすぐに収まったのです。
プレーの切り取り動画による誤解とSNS上での炎上。騒ぎに加担することのないよう気を付けましょう。
文・小関洋一
出版社、編集プロダクションを経て83年からフリーランスライターに。テレビ誌・トレンド誌などで主にスポーツに関する記事を執筆。テレビ、ラジオのスポーツ番組の構成も手掛ける。その後はゴルフ誌やネットメディアで内外の最新情報やゴルフ場レポート、ルール解説を執筆。JGAやKGA競技のオフィシャルライターも務める。東京ゴルフ倶楽部や日本ゴルフ協会の年史制作に携わっており、ゴルフ史に関する執筆機会も多い。
最新の記事
pick up
ranking











