三浦桃香 独占インタビュー「ツアープレーヤー時代、私が紫外線アレルギーを公表しなかった理由」

国内女子ツアーから離れた1998年生まれの“黄金世代”の三浦桃香。紫外線による「光アレルギー」が理由だが、今もこの症状と向き合い続けている。現在はティーチングプロの資格取得に挑戦し、レギュラーのゴルフ番組出演や各種イベントへの参加など精力的に活動している。彼女の今を追った。

「今は自分の体についてちゃんと言えるようになった」

 三浦桃香の2021年は多忙だった。

 ティーチングプロの資格取得に向けての勉強のほか、各種イベントにも参加し、さらにゴルフ番組のレギュラーは現在3本(CSスカイA「三浦桃香のまるっと女子ゴルフ」、とちぎテレビ「Good Luck!(グッドラック)」、BS日フジ「バーディーラッシュ」)とメディア出演にも積極的だ。

終始明るい表情でインタビューに答えてくれた三浦桃香

 国内女子ツアーに出ていたころから人気プロだったことを考えると、今も仕事のオファーが絶えないことも頷ける。

「試合に出ているときは、正直、メディアや人前に出るのが得意じゃなかったんです。理由は自分のゴルフに頭がいっぱいだったので。成績を残さなきゃいけないのに体調がついていかない……。それが悔しくて、しゃべることを控えていたことが多かったんです。今は自分の体のことについて『こうなんです』とちゃんと言えるようになったので、自分の素を出してメディアの仕事も取り組めるようになりました。だから今は楽しく仕事ができています」

 久しぶりに話した三浦の印象は、とにかく明るい。そしてよくしゃべる。充実した日々を送っていると感じられたが、これまで苦労してきたことさえも忘れてしまいそうな雰囲気さえ漂っていた。

「体の調子が悪いのはメンタルの影響と思っていた」

 三浦はアマチュアの頃から、スポーツ紙に大きく取り上げられる注目選手だった。高校1年のときに出場した「マンシングウェア東海クラシック」、「サマンサタバサガールズコレクション・レディーストーナメント」に出場し、ベストアマチュア賞を受賞。

 見た目のかわいらしさとは裏腹にドライバーショットは最大280ヤードを飛ばすという剛腕ぶりに、多くのファンがいることでも有名だ。

 2017年のファイナルQTを突破して単年登録でプロ入りし、18年からツアーに本格参戦した。シード獲得はできなかったが、再びQTから19年もツアー出場の権利を得ており、初優勝に向けた戦いを続けていた。

 同年3度目のプロテストを受験したが、紫外線による「光アレルギー」で発疹による体調不良で棄権。20年に再起を図るべく調整を続けていたが、今年3月にツアーから撤退することを決めた。

 三浦は20年4月にBS-TBSで放送された「裸のアスリート2」で、ツアーから離れると告白している。

 当時の出来事をこう述懐する。

「ツアーが続いているときに(アレルギーの)病院に行っても、精密な検査ができなかったので、本当の症状が分かりませんでした。自分の中では必ず症状が良くなると思っていたんです。こういう治療がいいよと言われたものを試して、じゃあ実際に外に出てみると、それでも効果が出ない。その繰り返しでした」

 三浦が体に異変を感じていたのは、すでに高校の頃からだったという。

「高校は7月末から8月末まで夏休みなので、その時だけ一日中、ゴルフができるんですね。試合もたくさんありますし、楽しみでした。でも毎年夏場だけ、なぜか体調が悪くなるんです。『私はきっと試合が苦手なんだな』って思っていたんです。つまりメンタルからくる不調なんだとずっと信じていました。疲れているだけとか、試合やプレッシャーが苦手な人だと思いこんでいましたから」

 プロ1年目。出場を楽しみにしていた「サマンサタバサガールズコレクション」では、完全に試合を欠場せざるを得ないほど、皮膚の症状が悪化した。

「病院でも今週休めばいいよって言われたので、薬をいただいて終わったんです。薬を飲むと収まるんです。あ、治ったよかった。じゃあ次の週は出られると思ったら、また翌週には炎症が出る。その繰り返して、そこから体がついてこなくなってきました」

 とにかくツアー会場に行くのも辛い毎日。十分な練習ができないので、成績も出ない。悪循環に陥るだけだった。それでも、それを周囲に言うことはなかったという。

「なんでマスクをしているの?」の言葉

 それはなぜなのかと正直、疑問に思った。もっと周囲に体のことをしっかり伝えていれば、もう少しゆっくりゴルフと向き合えたかもしれないからだ。

「そこは周囲に支えられての自分だと思っていたので、(紫外線アレルギーのことを)言えなかったというのはあります。

去年からコロナ禍でマスクをすることに違和感はなくなりましたが、『なんでマスクしているの』ってファンからも言われたりもしました。症状のことを言わないので、理解しがたかったと思います。

そこまでメンタル強くなかったですし、『私、紫外線アレルギーなんです』って公にすることは周囲に迷惑かけるので難しかったです」
 
そして、19年に挑戦した3度目のプロテスト会場で、三浦は決断をする。ここでもまた皮膚が炎症した。あまりのひどさにもうゴルフを続けられないことを悟ったという。

「元々、花粉症で3~4月くらいから花粉症で、さらに夏に入ってから紫外線アレルギーの炎症がどんどんひどくなっていました。9~10月くらいが一番しんどかったと思います。治療しないと一生跡が残るほどって言われて……。実は皮膚の状態が1カ月も元に戻らなかったんです。そうなるとゴルフする以前の問題で、それだったらもう思いきってやめようって決めました。自分の口からちゃんと伝えようと思ったのが、今年の3月だったということです」

「今は違う場所で自分の良さを出せている」

 もちろんすぐに気持ちを切り替えられるほど、簡単ではなかったが、新たな目標を決めて進むことで気持ちを落ち着かせていった。

「いくら頑張っても体はついてこないのが分かったので割り切りました。今年は本当に大丈夫です。今は自分がやりたいことと健康的に過ごすようにしています。どれだけ紫外線を浴びたらダメなのかも分かってきたので、これ以上、無理はしたくないなって思っています。体があってのスポーツや仕事なので、とにかく今は体を大事にしています」

CLUB DESCENTE会員限定で行なった初心者女性ゴルファーへのゴルフ相談会イベントに参加した三浦桃香 写真:ULLR MAG.(ウルマグ)

 彼女なりに新たな分野を開拓し、自分のポジションを確立するために今を全力で楽しんでいる。「5年前に描いていた人生とは違うけれど、今は違う場所で自分の良さを出せているのはすごくいいなと思っています」と自信も見せる。

 最後にふと何かを考えていたのか突然、こう切り出した。

「でも、本当に健康が一番です。今はご飯がすごくおいしいんです(笑)」

 どっと笑いが起こる。一瞬にして重い空気が明るくなった。人は美味しいものを食べているときが一番幸せなのかもしれない。

 それにしても屈託のない笑顔を見せるその陰で、弱冠22歳の女の子が、ここまで想像を絶する苦悩を経験してきたことには頭が下がる思いだ。そこは“弱い自分は見せない”という三浦のプロ根性だろうか。

 もちろんツアーから離れた今もその精神は失われていない。彼女が持つ芯の強さは、どの分野でもきっと輝いていくに違いない。

■三浦桃香(みうら・ももか)
1999年2月12日生まれ、宮崎県出身。可憐なビジュアルからは連想できない“飛ばし屋”として、ツアー屈指の人気を誇った“黄金世代”の一人。9歳から本格的にクラブを握る。ジュニア時代から九州中学校選手権など数々の大会で優勝。 高校1年で「マンシングウェア東海クラシック」、「サマンサタバサガールズコレクション・レディーストーナメント」に出場し、ベストアマチュア賞を受賞。 2017年のファイナルQTで34位となり、2018年シーズン前半戦の出場権を獲得。同年の「サイバーエージェントレディス」では7位タイなどツアーフル参戦。シード獲得は逃したが同年のファイナルQTで6位に入り、2019年前半戦の出場権を獲得。しかし、紫外線アレルギーの悪化でゴルフを続けることができず、プロテストも断念し、今年にツアーから撤退することを発表した。現在はティーチングプロ資格取得やゴルフ番組出演など、活動の幅を広げている。

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