クラブの長さだけじゃない難易度を決めるポイント
ゴルフを始めたての人は、ゴルフクラブの種類の多さに驚くかもしれません。ルール上、ゴルフクラブは14本までバッグに入れてプレーすることができ、番手の大きい順に「ドライバー」「フェアウェイウッド」「ユーティリティー」「アイアン」「ウェッジ」「パター」の6種類を組み合わせます。

また、ゴルフクラブには打ちこなすのに難易度が高いクラブと低いクラブが存在します。初心者ゴルファーは、まず難易度の低いクラブを打てるようにすることが先決ですが、そもそも難易度の高いクラブと低いクラブの違いはどこにあるのでしょうか。
一般的に、番手の大きいクラブ(アイアンなどに刻印された数字が小さいクラブ)は難易度が高いとされています。これは、番手の大きいクラブほど、クラブの長さが長くなるからです。つまりはボールと体の距離が遠くなるので、クラブヘッドの芯でボールに当てにくくなるわけです。また、番手の大きいクラブはロフト角(フェースが上を向く角度)が小さくなるので、ボールが上がりにくくなるということもあります。
一方、レッスンプロ兼クラブフィッターの関浩太郎氏は、クラブの長さやロフト角以外にも難易度に関係するポイントがあると話します。今回は初心者がまず最初に練習することが多いアイアンを例にとって教えてもらいました。
「まず、低重心のアイアンは難易度が低いクラブと言えます。初中級者の方は、横からの払い打ちや、しゃくり打ちになっていることが大半なので、ダウンブロー(クラブヘッドが最下点に達する前やまだ下降を続けている途中でボールを打つ)でボールを打てる人は少ないです。つまり、フェースの下面にボールが当たることが多いということです。低重心のアイアンは、平たくいえば芯の位置が下のほうにあるということなので、ダウンブローができない初中級者でも、芯をとらえやすくなっています」
では、上級者向けのアイアンは、どのような構造になっているのでしょうか。
「逆に上級者はダウンブローでスイングができるので、フェース面の上方にボールが当たります。そのため、重心位置は高めに設定されています。ダウンブローのできない初中級者が、このようなクラブを使用すると、トップやバックスピンがかかりづらいなどの弊害が出てきます」
つまんで薄ければ「やさしいアイアン」
アイアンの重心位置は、どのような方法で確認することができるのでしょうか。
「重心位置はヘッドをはずして単体で測定しないと正確には分かりません。ただ、お店で誰でもかんたんに、おおよその重心の位置を把握できる方法があります。それは、人差し指と親指でフェース面をつまんでみることです。フェース面が薄ければ薄いほど、低重心のアイアンです。基本的にヘッドの総重量はほとんど同じなので、フェース面が薄いということは、余った部分が下のほうに集約されているということになります」
このように、アイアンの難易度は、番手の大きさ以外にも重心位置で変化します。そのため、ダウンブローが苦手な初中級者は低重心のアイアンを使用するのが無難といえそうです。フェース面をつまんでみることで、重心位置はある程度把握することができますが、ヘッド内部が空洞の「中空アイアン」などヘッドの厚みがあっても低重心に出来ている場合もあります。不安な場合は販売店のスタッフに確認してみると良いでしょう。