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「タイガーは面白くないが、フィルは楽しい」と言い放ったNBAレジェンド、バークレーの真意
自らの発言や醜聞を次々に暴露され、表舞台から姿を消しているゴルフ界のスーパースター、フィル・ミケルソン。彼に対してバスケ界のレジェンド、チャールズ・バークレーが放った言葉が米国で話題となっている。
50億円の借金話も!暴露され続けるミケルソン
今年2月にゴルフ界を震撼させたフィル・ミケルソンの驚きの発言も、この5月になってゴルフ界を仰天させた彼の4000万ドル(約51億6000万円)超のギャンブルによる借金の話も、情報源となったのは米国人のゴルフライター、アダム・シプナック氏だ。
シプナック氏はミケルソンの半生記的な本を出版する目的で、昨年11月に彼と1対1のインタビューを行なったそうで、著書の出版予定日は今年5月17日だ。
しかし、シプナック氏は、昨秋のインタビューの際のミケルソンの発言を、著書の出版予定日より3カ月も早い今年2月に、抜粋の形で突然ゴルフ界に公表した。
PGAツアーのことを「欲深い人々」、グレッグ・ノーマンの新ツアーを資金面で支えるサウジアラビアの人々のことを「恐ろしい人々」などと表したミケルソンの発言とその際の言葉遣いは、社会的にも倫理的にも大いに問題視され、彼は瞬く間にほぼすべてのスポンサー契約を解除され、自ら戦線離脱して姿を潜めるという大騒動へ発展した。
そして、出版予定日が間近に迫っている今月、シプナック氏は再び著書からの一部抜粋という形で、ミケルソンが2010年から14年までの4年間に、ギャンブルによる4000万ドルの借金を作った話を明かした。
さらにシプナック氏は、バスケットボール界のレジェンドであるチャールズ・バークレーが語ったタイガー・ウッズとフィル・ミケルソンに対する印象や感想の言葉を公表。
もちろん、これに関しては、仰天のニュースではなく、いわば「単なる感想」にすぎないのだが、言葉の主が米国のスーパースターであり、彼の表現がとてもユニークだったことも手伝って、米国ではちょっとした話題になった。
ゴルファーにとって「つまらない」は賞賛
「タイガーと一緒にいても面白くない。だが、フィルと一緒なら楽しい時間を過ごせることは間違いない」
バークレーのこの言葉を、文字通りそのまま受け取って、ウッズのことを「つまらないやつだ」と言い放ったなんて勘違いは、どうかなさらないでいただきたい。
長年、ウッズと親しく交流してきたバークレーは、ウッズの人間性を熟知しており、スーパースターとしての性(さが)や定め、苦労や喜びも、ともに共有してきた仲だ。
口から発する一言、披露する表情や動作1つ1つの重みをどちらも痛感しており、だからこそ、ウッズが常に慎重にならざるを得ないことをバークレーは誰よりも理解している。
「タイガーの言葉選びは堅いし、つまらない。間違ったことを言ってはならないと警戒し、いつも衆人環視の下にあることを感じながら行動している」とバークレーが語ったのは、常に理想的で模範的であることを求められるスーパースターの定めや務めを、きちんと実践しているウッズへの大いなるリスペクトの表明なのだと私は思う。
米国のゴルファーたちは、しっかりフェアウェイをとらえ、着実なゴルフをしているプレーヤーに対しては、面と向かって「いやあ、アナタってホント、つまらないゴルフをしてますね」と、笑顔で声をかける。
その意味は「退屈で面白くない」ではなく、「素晴らしい安定性ですね」という賞賛だ。バークレーが語った「タイガーは面白くない」とは、まさにそれと同じ独特の比喩だったのだと思う。
その奇想天外な発想や行動に人は魅せられる
逆に、バークレーが語った「フィルは楽しい」という感想は、言葉通り、ファンや周囲を盛り上げるミケルソンのエンターテイン能力や奇想天外な発想や行動をそのまま指していたのだろう。
バークレーとミケルソンが急速に親しくなったのは、20年のTVマッチ「ザ・マッチ」でペアを組んだときからだった。
ミケルソンは、ウッズとほぼ同じ時代に、ウッズと並んで「ビッグ2」と呼ばれたが、優勝回数や勝ち方、雰囲気やイメージ等々、何につけウッズと対照的に見られてきた。だからこそ、彼は常に理想的な王者の姿を維持してきたウッズとは対照的に、奔放な言動を惜しげもなく見せてきた。
「フィルと一緒なら楽しい」とは、そんなミケルソンのユーモアやウィットに富んだ思考や人間性をよく知るバークレーが、やはり敬意を込めて発した褒め言葉だ。
そして今、孤立無援の状況にあるミケルソンに対し、友人として贈ることができる、せめてものエールのつもりで口にしたフレーズだったのだろう。
「フィルと一緒なら楽しい」――その通り、ミケルソンは一緒にいると、とても楽しい選手で、私自身にも忘れがたき記憶や思い出は多々ある。
プロ転向して間もなかった1990年代序盤。ミケルソンにはバンカーショットでボールを背中側へ打ち出す特技があると聞いた私は、「見たい! やって見せて!!」と、ダメ元でお願いした。すると、ミケルソンは「いいよ、OK!」と即答し、練習用バンカーに入ると見事にボールを後方へ飛ばし、誇らしげな笑顔を見せた。
メジャーに勝てそうで勝てないことが何度も続き、米メディアから「いつになったらメジャーに勝てる?」と問われることに嫌気がさしたミケルソンは取材拒否を宣言。それなのに外国人メディアの私の1対1の取材だけは、どうしてだか受けてくれた。
だが、米メディアの目を避け、取材用の2つの椅子を自ら抱えると、コースの一角の物置き小屋のような場所へぐんぐん入っていき、「よし、ここなら大丈夫!」と言ったときは、さすがに苦笑させられた。
お金の魔力から解放されたミケルソンを見たい
米空軍のパイロットだった父親の影響で、ミケルソン自身も小型ジェットの操縦免許を取得。悲願のマスターズ制覇を果たした際は、グリーンジャケット姿でプライベートジェットのタラップを昇ったり降りたり。まるでランドセルを買ってもらって、居ても立ってもいられない子どものようだった。
気持ちに正直で素直。お茶目で一途なミケルソンは、だからこそ、大勢のファンから愛されてきた。一緒にいたら、いや、眺めているだけでも、本当に楽しい選手だった。
そんなミケルソンが変わっていったきっかけは、振り返れば、ビジネスやギャンブルへの傾倒だったように思う。
09年には全米チェーンの大衆レストラン「ワッフルハウス」に大金を投じて大トラブルへ陥り、10年にはハンバーガーショップ「ファイブ・ガイズ」5店舗を所有。同じころからラスベガスのギャンブル王、ビリー・ウォルター氏らとの交流を開始。
それらが高じて、みるみる借金が膨れ上がり、気が付けば、ミケルソンは別人のように変貌していた。
ノーマン率いる新ツアー「リブ・ゴルフ・インビテーショナルシリーズ」へミケルソンが完全に移籍するのかどうかはまだ分からないが、仮にそうなったとしても、長年の主戦場だったPGAツアーからミケルソンを引き離したものは、ノーマンでも新ツアーでもなく、ミケルソンの思考回路を変えてしまったお金の魔力であろう。
そうだとしたら、いつかミケルソンが、そんなお金のマジカルパワーから解放されたとき、彼は再び「一緒にいると楽しい人」に戻ってくれるのかもしれない。
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