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- 「どうせ上級者用の理論でしょ」 諦める前に知っておきたい“地面反力”のメリット・デメリット
スイングマニアでなくても最近よく耳にする“地面反力”を利用した飛ばしのコンテンツ。世界のスイング理論に詳しいインドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチによると、 “地面反力”スイングを考える事には意外なメリット・デメリットがあると言います。
実は誰にでも起きている“地面反力”
ここ数年、急にクローズアップされた“地面反力”を利用したスイング方法。しかし、人間がスイングを行う際に必ず“地面反力”は発生しています。
昔から効率よく飛ばしている人ほど“地面反力”を活用していたのですが、現代の計測機器が充実したことによって可視化され注目されていると言うのが実際のところではないでしょうか。
「最新スイング理論」の言葉が好きな人にとって“地面反力”というキーワードはキャッチーだったかもしれませんし「一時のトレンドでしょ」の声も聞こえてきそうですが、それは少し早計です。
物理の法則は一定なのに、不思議とゴルフレッスンには「最新レッスン」のタイトルがつけられます。“地面反力”の場合は、取り入れるかどうかより「前の段階」に大きなメリットがあります。
難解な用語マウントで嫌気した人もいると思いますが、今回はなるべく難しい言葉を使わずお伝えしようと思います。
重さ(外力)に働くのが反力
例えばゴルファーが体重移動をすると、地面に向かって力を加える事になります(外力と言います)。地面からは釣り合うための跳ね返ってくる力(反力)が働きます。
つまり、ゴルファーが地面に加えた力の反対の力として「受け取る」のが“地面反力”です。
ゴルフスイングにおける“地面反力”のような「事実」は、スイング解析機器「スイングカタリスト」や「ギアーズ」など最新機器によるビッグデータによって近年確認されるようになりました。
この構造力学を効率的に取り入れるスイング方法なのですが、まず用語が難解。そもそも「もらう力」の自覚なんてないですし、“地面反力”の方向と大きさを想定して「自分で外力を作る」事なんて、ただの理論マウントにしか感じなかった方も沢山いるでしょう。
その前に、まず「第一段階」として自分の足裏に感じる「自重」に関心を持つ事をオススメします。スイング中の身体のバランスに気づくきっかけにもなりますし、ラウンド時にはコースの傾斜やグリーンを読む感覚も向上する「意外な恩恵」を感じるのではないでしょうか。
タイミングを工夫すれば“地面反力”を活用できる
ゴルファーの多くは「肩がどのくらい回れば良いのか?」や「手をどのくらい上げれば良いのか?」など形ばかりに意識が行きがち。プロゴルファーでさえ一人一人フォームが違うのに、決まった一つの形にこだわっても有益ではありません。
流れの中の「一枚の写真」に固執して難民化してしまっている人には、「目に見えない」けど「うまい人に共通している」全体の流れやタイミングの方が重要だと再確認してもらえるのではないでしょうか。
“地面反力”を活用するには、スイングのどのタイミングで体重移動をしたら良いのかを工夫する必要があります。例えばバックスイング中、ずっと「右へ乗せる」だけでは“地面反力”は活用できません。あくまで体重移動は動き出す「きっかけ」程度に使うのがベター。
アドレスから踏むくらいの体重移動でバックスイングするだけでもリズムやスイングの流れは改善できます。
ダウンスイングも同様に、トップにクラブが到着するかしないかくらいのタイミングで左への体重移動を「トンッ!」と行うと身体の動きと腕のスピードが上がりやすくなります。
フォーム(形)と同様に重要なこと
昔は可視化できなかった“地面反力”の最大の長所は、スムースに身体と腕を動かしクラブスピードが上がる事にあります。
また下半身の大きな動力を使う事で、小手先を使い過ぎたり、不必要なリキミを予防する効果もあります。形だけを見れば頭や軸がブレずに身体をクルッと回転させているように見えるはずですが、足の力と体重を使って(外力)うまく“地面反力”を発生させているのです。
「力を入れていない時ほど飛ぶ気がする」人や「何も意識していなかったのにナイスショットした」などのフィーリングは、“地面反力”のタイミングや身体を動かす順番が効率的だったからです。
“地面反力”を活用するにあたって、身体の動く順番やタイミングに興味を持つ事こそ大きな意味があると思います。
むやみにハンドファーストや大袈裟な動きをやろうとして、スランプになってしまった人には「一周回って」当たり前の事を実感するチャンスになると思います。
また、“地面反力”を意識する事で自分のスイングや良いショットの「中身」を見る感性が育ちます。他人から分からなかったとしても、スイング中にクラブの重さやシャフトの硬さ、足裏から伝わる自重など、動画で形ばかり気にしていた時には得られないものが感じられる気がします。
“地面反力”は、基本的な周辺整備が1番の近道なのです。
【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)
伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。
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