- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- コラム
- 「雨降る→泣く→お父さんキレる」“ギャルファー”金田久美子の初優勝は最悪な気持ちで最終日を迎えた
女子プロゴルファーの金田久美子こと“キンクミ”。派手なファッションから“ギャルファー”と呼ばれますが、その外見からは想像もできないほどゴルフにストイックです。そんな彼女の連載「キンクミの#熟女じゃねぇし!」。幼少期やツアーの話、プライベートまで様々なテーマで本音を語ります!(構成:キム・ミョンウ)
「これをやっておかないと明日は戦えない」
今までのゴルフ人生の中で、初優勝した2011年のフジサンケイレディスクラシックは思い出の試合の一つです。これまでの努力と苦労が報われた試合で、とてもうれしかったですが、優勝した瞬間よりも実は大会2日目が今でも一番忘れられないんです。
当時の私には、50ヤードの距離を正確に打てるのかが勝負の分かれ目でした。というのも、その距離がめちゃくちゃ苦手だったんです。実際、いくつかのホールでピンまで残り50ヤードが残ることが多く、そこを完璧にしておけば勝てるかもというのが頭にありました。
初日は70で、2日目は75。とにかく2日目の結果に納得がいかなくて、ものすごい雨が降る中で、夕方の5時頃まで泣きながらずっと練習していました。本当に50ヤードの距離がうまく打てなくて、あっちこっちに飛んでいく。そんな悔しさもあって泣かずにはいられなかったというか……。
それで泣いていたらお父さんがブチ切れて「お前、そんなふて腐れるなら練習やるな。泣くくらいなら練習やめろ!」っていうので、ケンカになったんです。でも、これをやっておかないと明日は戦えないと思って、意地で練習し続けていました。
「昨日の練習が良かっただろ?」と言う父にドヤ顔で応えた
プロ入りして壁にぶち当たってきたので、もうなりふり構わずやろうって思っていて、自分の中ではもう真剣でした。ただ、雨は降るし、泣くし、お父さんはキレるし、最悪な気持ちでその日を終えて最終日を迎えました。首位はアンちゃん(アン・ソンジュ)で、私とは5打差もありました。こんなに差があるし、アンちゃんもめっちゃ強いし、誰も私が優勝するなんて思わないですよね。
そしたら不思議と50ヤードの距離がピンの近くにバンバンつくんです。流れというのもあったと思うのですが、7バーディ、1ボギーの66。通算5アンダーで逆転優勝したのですが、この日、お父さんはめちゃ喜んでいたけど、一言こう言うんです。「ほら、昨日の練習が良かっただろ?」って。私もドヤ顔(笑)。試合でおもしろいようにピンにつくから、「あ、私はこれがやりたかったんだ。成果出たじゃん!」って、手応えが感じられた試合だったんです。だからこそ、これからも一生、忘れない記憶になると思います。
でも、もう初優勝から11年が経ちました。2勝目がなかなか遠いですけど、今年は優勝への可能性を感じられる試合もあったので、今ならできるかもしれないという自信もつき始めています。ここ数試合は納得いかない成績が続いていますが、意地でも巻き返しますよ。
金田 久美子(かねだ・くみこ)
1989年生まれ、愛知県名古屋市出身。3歳からゴルフを始め、8歳の時には世界ジュニア選手権で優勝。タイガー・ウッズに並ぶ記録で“天才少女”として注目を浴びる。アマチュアとして出場した2002年のリゾートトラストレディスで、12歳9カ月での最年少予選通過記録を樹立。08年のプロテスト初挑戦は1打足りずに不合格も、同年のファイナルQTをトップ通過してツアー出場権を得る。プロ3年目のフジサンケイレディスクラシックで初優勝。愛称は“キンクミ”。その風貌から“ギャルファー”の異名を取った。スタンレー電気所属。
最新の記事
pick up
ranking