「オープンスタンスでドロー打ち」 勝みなみの練習に“球をつかまえる”ヒントがあった!

多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、「日本女子オープンゴルフ選手権」で優勝した勝みなみ。

「オープンスタンスでドローを打つ」練習にざわつくギャラリー

 9月29日から10月2日に千葉県の紫カントリークラブすみれコースで「日本女子オープンゴルフ選手権」が開催されました。優勝したのは、首位と3打差の3位タイで最終日をスタートした勝みなみ選手です。前半だけで5つのバーディーを奪って首位の申ジエ選手を猛追し、通算3アンダーでフィニッシュ。樋口久子さん、畑岡奈紗選手に続き、大会史上3人目の連覇を達成しました。

 勝選手といえば、“ゴルフの巧さ”が特徴です。同大会終了時点の今シーズンのスタッツを見てみると、平均パット数(パーオンホール)1位(1.7505)、平均バーディー数2位(3.7586)、サンドセーブ率5位(51.4286)、ドライビングディスタンス6位(251.77)、パーセーブ率8位(87.5479)など、あらゆる項目でトップ10入りをしています。ゴルフの総合力が試される「日本女子オープンゴルフ選手権」でも、実力を発揮して今季2勝目、ツアー通算7勝目を挙げました。

ハードなセッティングだった日本女子オープンを見事に連覇した勝みなみ 写真:GettyImages
ハードなセッティングだった日本女子オープンを見事に連覇した勝みなみ 写真:GettyImages

 そんな勝選手ですが、この大会の練習日に興味深い練習をしていました。レンジの中央付近の打席にいた勝選手は、ボールの向こう側にアライメントスティックを置き、ヘッド軌道を確認しながらスイングしていました。驚いたのは、アライメントスティックが指していた方向とスタンスの向きです。

 アライメントスティックを正面のネットの右端あたり、30度くらい右に向けてセットし、スタンスは20度くらいオープンに構えてドローボールを打っていたのです。「オープンスタンスでドローを打つ」といえば、ジャンボ尾崎さんを思い出す人もいるのではないでしょうか。この勝選手の練習に気づいたギャラリーの方々も、「なんだ、あの練習は?」とざわめいていたのが印象的でした。

 勝選手の持ち球は、やや右に打ち出して緩やかに左に戻すドローボール。ドローを打つには、インサイドアウト軌道でヘッドを動かさなければいけません。カット軌道や上からヘッドが入る動きはミスに直結します。勝選手は、アライメントスティックを大胆に右に向けることで、「右に振り抜く」ことの意識付けをしていたわけです。また、オープンスタンスにすることでローテーションの度合いが強くなり、“飛ばし”の要素をプラスすることができます。

 とはいえ、スタンス向きと振っていく方向にこれだけ差があれば、ミスショットも出やすくなります。この練習場での勝選手は、ヒールヒットして低いフックを打ったり、手を離すシーンも何度かありました。ただ、それでもスタンス向きと振り抜く方向の角度を調整することなく、徹底してこの練習をやり続けていたのが印象的でした。

アマチュアが大げさに右に振るときの注意点とは?

 ボールをつかまえるのが苦手な方は、勝選手のようにスティックやクラブを大胆に右に向けてセットし、大げさに右に振る意識を持ってみてはいかがでしょうか。

 この時、フェースが右を向いているのと球がつかまらないので、フェース面は左に向けることがポイントです。また、オープンスタンスでドローを打とうとするとリスクが高くなるので、スタンスも右に向けて右に振る練習すると、球をつかまえる感覚がつかみやすくなるはずです。

勝みなみ(かつ・みなみ)

1998年生まれ、鹿児島県出身。2014年に史上最年少15歳293日でアマチュア優勝。14年「日本ジュニア」、15年「日本女子アマ」、15年「日本女子オープン ローアマ」に続き、2020-21シーズンの「日本女子オープン」でタイトル4冠達成。宮里藍、諸見里しのぶに続く快挙を成し遂げた。今シーズンは、「楽天スーパーレディース」で通算6勝目。連覇を達成した「日本女子オープン」で通算勝利数を7に伸ばした。明治安田生命所属。

【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)

1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。

【写真】勝みなみ、鶴岡果恋らが出演するCMの撮影風景
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