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「プロが同じ状況で球を動かしてたから…」 誤解しがちなトーナメントだけの救済ローカルルールにご用心

小関洋一

2023年3月3日

コラム

現場でもテレビやネットでも、トーナメント観戦をしていると、さまざまなシチュエーションで選手が救済を受けている場面を目にします。中にはそれをすべてジェネラルルールだと思ってしまっている人もいるかもしれません。しかし、実はトーナメントだけのローカルルールはいくつもあり、普段のラウンドやコンペでそのまま行ってしまうと、ルール違反となるケースもあります。

アプローチのライン上にある、グリーン周りスプリンクラーヘッドからの救済

 待ちに待った国内女子ツアーが開幕。今年も、同ツアーの競技の模様はほとんどが長時間ライブでネット配信されますから、プロのプレーや競技の進行をつぶさに観戦することができます。そのなかで、プロのトーナメントでは広く採用されるが、ルールブックにはない救済を目撃することがあるかもしれません。それはローカルルールによる救済で、ジェネラルルールではありません。誤解して覚えることがないよう、プロのトーナメントで採用される代表的なローカルルールを紹介しましょう。

競技委員に確認しながら救済のポイントを決める 写真:Getty Images
競技委員に確認しながら救済のポイントを決める 写真:Getty Images

「グリーン周りからアプローチパットでピンに寄せようと思ったのですが、ライン上にスプリンクラーヘッドがありました。同じようなケースで、プロが救済を受けるシーンを見たので、自分も」と考えた、あるいは実際にそうしたことがある人もいるかもしれません。

 しかし、その救済は実はローカルルール。プロのトーナメントやプロも出場できるオープン競技などで採用されている、ジェネラルルールにない救済です。

 このローカルルールについて、日本ゴルフ協会はその目的を次のように説明しています。

「球がパッティンググリーン以外にある場合、プレーヤーのプレーの線上にある動かせない障害物は、通常、罰なしの救済は認められません。しかし、パッティンググリーンのエプロンやフリンジ(周辺)が十分に刈られ、パッティングでのアプローチが一般的と考えられる場合、そのパッティンググリーンに近接する動かせない障害物は、そうしたストロークの障害となる可能性があります」

 つまり、グリーン周りからパッティングアプローチがごく当然の状況で、その障害になる動かせない障害物については、以下のようなローカルルールで救済を認めましょう、ということ。

「プレーヤーは動かせない障害物が次の場合、規則16.1(異常なコース状態からの救済)に基づいて救済を受けることができる。
・(動かせない障害物が)プレーの線上にある。そして、
・そのパッティンググリーンから2クラブレングス以内にある。
・球から2クラブレングス以内にある」

 つまり、動かせない障害物がグリーンから2クラブレングス以内で、かつプレーヤーのボールからも2クラブレングス以内にあり、プレーの線上に介在する場合、プレーヤーはその障害が避けられる「完全な救済のニヤレストポイント」を基点に、1クラブレングスで、ホールに近づかない救済エリアにドロップすることができる、とされています。

 ただし、日本女子プロゴルフ協会のローカルルールでは「ボールと動かせない障害物の両方がジェネラルエリアのフェアウェイの長さかそれ以下に刈った部分にある場合に限る」と救済が可能な範囲を限定しています。

 このローカルルールは一部のゴルフ場でも採用されていますが、一般的ではありません。倶楽部競技はもちろん、ルールにシビアなコンペなどでも、この状況になった場合は確認してください。

よく見るあの救済も実はローカルルール

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画像ギャラリー

1.後方線上の救済は「線の上」にドロップしなければならなくなった
2.救済後、風でボールが再び池に入ったら「無罰でリプレース」
3.間違ってインプレーでない球をリプレースしてパットした「2罰打→1罰打」
競技委員に確認しながら救済のポイントを決める 写真:Getty Images
注意深くプリファードライの処置を行う 写真:Getty Images
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