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- 速報試打! テーラーメイド新作「Qi10」ドライバー3モデルの特徴は?
2024年1月10日、テーラーメイドから新たに「Qi10」(キュー・アイ・テン)シリーズが発表されました。ドライバーには「Qi10 MAX」「Qi10」「Qi10 LS」の3モデルがラインナップされています。新製品の発表会場でいち早く試打したゴルフライター鶴原弘高氏が、3モデルのファースト・インプレッションをお届けします。
今年のテーラーメイドは全面的に“やさしさ”推し!
二世代続いた「ステルス」の名がなくなり、テーラーメイドの新作は「Qi10」シリーズと名付けられています。「Qi10」とは、「THE QUEST FOR 10,000 INERTIA」の頭文字から取ったもので、慣性モーメント値10,000g/cm2(平方センチ)を探求したシリーズであることが示されています。10,000は「10K」とも表記されるため、新シリーズのキャッチコピーには“ぶっ飛び系10Kを体感せよ”なんていう文言が使われています。
慣性モーメント値10,000g/cm2というのは、ヘッドの左右方向と上下方向の慣性モーメント値を合計した数値です。この数値が高ければ高いほど、インパクト時にヘッドがボールに当たり負けしづらく、オフセンターヒットしたときの弾道がバラけづらくなる効果が得られます。一般的に曲がらない球をやさしく打つことができるのが、高慣性モーメント設計のドライバーです。
「Qi10」シリーズにはドライバーが3モデル用意されていて、慣性モーメント値10,000g/cm2を達成しているのは、最もヘッドの投影面積が大きい「Qi10 MAX ドライバー」というモデルになります。このモデルが今シリーズのフラッグシップと位置づけられていて、最もアマチュアゴルファーが使いやすいモデルにもなっています。つまり、今年のテーラーメイドは曲がらない“やさしさ”を全面的に推していて、そのうえで独自の“カーボンウッド”の設計コンセプトにより、スピードを落とさない“飛び”まで両立しているとアピールしています。
振りやすくて球をつかまえやすい「Qi10 MAX ドライバー」
「Qi10 MAX ドライバー」のヘッドは、従来モデルの「ステルス2 ドライバー」よりも約8mmもヘッドが後方側にストレッチバックしています。一目見ただけで高慣性モーメント設計だと分かるぐらいに投影面積が大きく、構えたときから安心感が得られます。また、今作から新たにドライバーにもフェースのトップラインを見極めやすいレーザーアライメント・ラインが採用されていて、ターゲットに対してフェース面を合わせやすいのもポイント。ヘッドがこれだけ大きくなっても、テーラーメイドらしい構えやすさが担保されているところは好印象です。
打ってみると、ヘッド自体の重さは少し感じますが、スムーズにフィニッシュまでクラブを振り抜けます。高慣性モーメントを追求したドライバーのなかには、ダウンスイングでヘッドの後方側が垂れるような重ったるさを感じるクラブもあるのですが、この「Qi10 MAX ドライバー」の場合は問題なさそう。テーラーメイドが言うように、飛びに直結する振りやすさとスピード感は従来どおりに保たれています。
球のつかまり感も良好で、プッシュのミスが出やすいこともなく、そのうえで高慣性モーメント設計らしく、当たり負けしない寛容性の高さも存分に感じられました。スピン量は多めに入るタイプですが、球がつかまってドロー回転になると、おのずとスピン量は適正から低スピンの範囲に収まってくれます。スピン量に関しては、ゴルファーのスイングタイプや持ち球、組み合わせるシャフトやヘッドスピードとの相性が出てきそうです。
低スピン弾道と操作性が踏襲されている「Qi10 LS」
「Qi10 LS ドライバー」は、「ステルス2 プラス ドライバー」の後継モデルです。今作からは低スピンの特性を示す「LS」というモデル名に変わっています。ソール前方にスライド式ウエートを備えていて、スピン量と球の上がりやすさを調整できるところも前作同様です。
「Qi10」シリーズでは、クラウン部分のカーボン占有率が97%にまで拡大されたこともあり、フェース側のチタンとの継ぎ目がなくなって、見た目がかなりクリーンになっています。とくに「Qi10 LS ドライバー」では小ぶりのヘッドシェイプとも相まって、前作以上にヘッドの輪郭がすっきりして見えてシャープに感じます。
打ってみると、前作どおりの低スピンと強弾道! ヘッドの重心が浅いおかげで、ヘッドスピードとボールスピードを上げやすいのが大きな魅力です。ただし、ヘッドを動かしやすい反面、ミスしたときの曲がり幅も大きくなります。正直に言って、ヘッド性能は前作「ステルス2 プラス ドライバー」からあまり変わっていないように感じましたが、ヘッドの見た目の美しさや構えやすさ、フィーリングの良さには魅了されました。
“最後の名作”に雰囲気が似ている「Qi10 ドライバー」
「Qi10 MAX ドライバー」と「Qi10 LS ドライバー」の間に位置するのが、スタンダードモデルの「Qi10 ドライバー」です。個性の強い他の2モデルの陰に隠れ、今シリーズでは目立たない存在になっていますが、意外とアスリートタイプのゴルファーが扱いやすそうなモデルです。
ヘッドの投影面積は前作「ステルス2 ドライバー」よりも5mmほど大きく、ヘッド全体の形状は人気が高かった2021年モデル「SIM2 MAX ドライバー」を彷彿させます。実際にボールを打ってみても、ヘッドの挙動や弾道まで「SIM2 MAX ドライバー」に似ているように著者には感じられました。「Qi10 LS ドライバー」よりも球が上がりやすく、操作性と寛容性のバランスがいいモデルといえます。
テーラーメイドにおけるチタンフェース最後の名作ドライバーからスイッチできなかった人は、今シリーズの「Qi10 ドライバー」でカーボンフェースのデビューを飾ってもいいかも知れません。
試打・文/鶴原弘高
つるはら・ひろたか/1974年生まれ。大阪出身。ゴルフ専門の編集者兼ライター。仕事のジャンルは、新製品の試打レポート、ゴルフコース紹介、トレンド情報発信など幅広く、なかでもゴルフクラブ関連の取材が多い。現在はゴルフ動画の出演者としても活躍中。ギア好きゴルファーの会員制コミュニティサイト『3up CLUB』(https://3up.club/)では、配信される動画のキャスター兼編集長を務めている。Instagram:@tsuruhara_hirotaka
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