- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ギア・グッズ
- 実は腕力では飛ばない…最新解析で分かった「3つのフォース」の正体
近年、フォースプレートを使ったスイング解析により、飛距離アップには「ホリゾンタル」「トルク」「バーティカル」という3つのフォース(力)が重要な指標とされています。それぞれの役割や、飛ばしとの関係、データ活用時の注意点について解説します。
スイング中の「見えない力」を可視化する計測機器
いきなりですが、皆さんは「パワー」と「フォース」の違いを説明できるでしょうか。どちらも日本語では「力」と訳されることがありますが、意味は異なります。パワーは「何かを行う能力」を指し、フォースは「物理的な力」を意味します。
この違いを理解すると、近年のスイング解析で注目されている「3つのフォース」の考え方も分かりやすくなります。フォースプレートを用いた解析では、ゴルフスイング中に発生する「Horizontal(ホリゾンタル)」「Torque(トルク)」「Vertical(バーティカル)」という3つの力が重要な指標として扱われています。今回は、それぞれのフォースがどのような役割を果たしているのかを解説します。(文/クラブフィッター・石井建嗣)

これら3つのフォースを計測できる代表的な機器が「Swing Catalyst(スイングカタリスト)」です。
高分解能の圧力センサーを備えたマット型の計測器で、その上でスイングするだけで、足圧の変化や圧力中心(COP)の動き、地面反力のデータをリアルタイムで確認できます。
これまで感覚でしか捉えられなかった「地面をどのように使っているのか」が数値として可視化されるため、多くのツアープロやコーチがスイング分析に活用しています。
最初に生まれる「ホリゾンタル」
最初のフォースが「ホリゾンタル(Horizontal)」です。これは横方向に働く力を指します。
右利きのゴルファーであれば、切り返しで右足から左足へ体重を移動させる際に発生する水平成分の力です。
フォースプレートの解析では、一般的にホリゾンタル、トルク、バーティカルの順でピークを迎えることが効率的なスイングとされています。
ただし、左方向へ移動したエネルギーを受け止められなければ、体が必要以上に流れる「スライド」が起こりやすくなります。そのため、単純に強く踏み込めば良いというわけではなく、ブレーキをかける能力も重要になります。
回転力を生み出す「トルク」
2つ目が「トルク(Torque)」です。これは体を回転させる力を意味します。
イメージしやすい例として、ペットボトルのキャップを開ける動作があります。反対方向の力が同時に働くことで、大きな回転力が生まれます。
ゴルフスイングでも同様に、ダウンスイングでは左足のプレッシャーがつま先側からかかと方向へ移動し、同時に右足は回転動作を行います。この両足の動きが連動することで、効率よくトルクを生み出すことができます。
体幹や股関節を中心とした回転運動を支える重要なフォースであり、飛距離だけでなく再現性の高いスイングにも大きく関わっています。
飛距離に直結する「バーティカル」
最後が「バーティカル(Vertical)」です。日本では地面反力と呼ばれることが多いのですが、縦方向の成分を表します。
近年の研究では、飛距離の出る選手ほど、この縦方向の力を効率良く使っている傾向があることが知られています。
理想的には、ホリゾンタル、トルクに続いて最後にバーティカルがピークを迎えます。
左膝が沈み込んだ状態から伸び上がる過程で縦方向の力が大きくなり、一般的にはダウンスイングでシャフトが地面と平行付近(P5〜P6)にあるタイミングで最大値を迎えるのが理想とされています。
一方、多くのアマチュアは、このピークがインパクト時やインパクト後まで遅れてしまうケースが少なくありません。
女子プロやジュニア選手がインパクト直前にジャンプするような動きを見せることがありますが、あの動きも縦方向の力を効率良く使おうとした結果の一つと考えられています。上半身の筋力だけに頼らず、下半身を使ってクラブスピードを高めようとする合理的な動きなのです。
データだけではスイングは完成しない
フォースプレートの普及によって、これまで見えなかったスイング中の力を数値で分析できるようになりました。しかし、数値だけを追い求めることには注意も必要です。
プロを指導するコーチによると、選手によって伸ばすべきフォースは異なり、単純に不足している数値だけを高めようとすると、スイングバランスを崩したり、不調につながったりするケースもあるそうです。
計測技術の進歩によって客観的な分析は可能になりましたが、そのデータをどう解釈し、選手一人ひとりに合わせて指導するかは、コーチやインストラクターの経験と知見が欠かせません。
最新機器は強力な分析ツールですが、最終的に重要なのは、データと人の目の両方を生かしたスイングづくりといえるでしょう。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
- 1
- 2
最新の記事
pick up
ranking











