レッスンプロが「不同意わいせつ」で逮捕 セクハラ回避のために守るべき女性ゴルファーとの距離感・言動とは?

今月21日に報道されたレッスンプロが「不同意わいせつの疑いで逮捕された」というショッキングなニュース。報道を見る限り、故意に女性の体を触る悪質なケースと考えられますが、女性ゴルファーとのラウンドでは、たとえ悪意はなくてもセクハラを疑われるケースは発生します。男性ゴルファーが気をつけるべき、女性ゴルファーとの距離感や言動とは?

1メートル弱の“快適ゾーン”に踏み込んだ際は一層注意が必要

 今月21日、兵庫県の日本プロゴルフ協会会員のプロゴルファーが「不同意わいせつの疑いで逮捕された」というショッキングな報道がありました。

ティーショットを待っている際も距離感に注意 写真:AC
ティーショットを待っている際も距離感に注意 写真:AC

 いくつかの報道を照らし合わせると、容疑者は自分がレッスンの仕事をしているのとは別の練習場で、アルバイトをしている女性に対して自身がインストラクターであることを明かして「スイングを見てあげる」と声をかけ、ゴルフクラブを構えた女性のおしりや胸をつかむ等のわいせつな行為に及んだとされています。

 コンプライアンスの強化が当たり前になった今の社会で、ゴルフレッスンを職業とするプロがこのような事件を起こしたことには強い衝撃を受けましたし、失望を禁じえません。この事件を通して、あらためて男性ゴルファーの“女性ゴルファーとの距離感”というものを考えてみたいと思います。

 かつて大手航空会社の国際線客室乗務員として勤務し、現在は人材教育会社(株)エミー代表取締役を務める渡辺満枝さんに今回の事件をどう受け止めているかお聞きしました。渡辺さんは、長年にわたりさまざまな企業の社員研修のほか、プロゴルファーへの接客指導なども行っています。

「被害者となった女性が、『今の相手の行動は(コンプライアンス的に)どうなのか?』と疑問に思ったり、強い嫌悪感や違和感を感じたりしたケースかと思います。その時点では訴えることまでは考えていなかったかもしれませんが、上司に相談して最終的に訴えたということは、それだけ確信のある行為であったと考えられます」

 ゴルフのレッスンにおいて、例えば「肩をここまで回してください」とか「腰を下げないようにしましょう」とか指導する場合、直接肩や腰に触れて教えるやり方には、大なり小なり抵抗を感じる女性ゴルファーがほとんどのように思います。プロたちはどのように考えているのでしょうか。

「多くのプロゴルファーに接してきましたが、生徒さんに何も言葉をかけず、いきなり体を触ることは、信頼関係ができている顧客に対しても決してしないとプロたちは自覚しています。まして、女性ゴルファーの胸やおしりを触ることはゴルフレッスンを逸脱しています」

「とはいえ、指導者が言葉で伝えたことを相手の方がうまく実践できない場合、また言葉で表現するより身体に触れたほうがより早く習得できると思うような時は体に触れることがあるかもしれません。ただその際は、どういう理由で、どの部分を触るかを言葉で表現することが不可欠です。先ほどの肩や腰の場合なら、『肩をしっかり回すため、肩に触りますが良いですか?』
『一度、私が腰を押さえて左右に流れないようにするので、腰を触りますが良いですか?』と理由などを伝え、必ず相手の返事を聞いてから触れることです」

 レッスンをする、しないに関わらず、一般の男性ゴルファーの皆さんも、女性ゴルファーと接する際に気をつけるべきでしょう。渡辺さんは次のように続けます。

「たとえ自分では『そんなつもりではなかった』と言っても、相手がセクハラと感じれば、それはセクハラ行為になるからです。一般の方であれば、人と話をするときは“快適ゾーン”を保って話をすることがマナー面でも推奨されています。“快適ゾーン”とは、お互いが手を上げて触れるか触れないかくらいの距離をいいます」

「ただ、ゴルフの場面では、初対面であってもティーイングエリアなどで打順を待つときやカートに乗り合わせたときなど、お互いが“快適ゾーン”より近い距離に居合わせる場面が少なくありません。そのような時は、なおさら相手にセクハラを疑われたり不愉快な行為になったりしないよう、軽はずみな言動を避ける感性が必要です」

 お互いが手を上げて触れるか触れないかというと、1メートル弱でしょうか。思ったより遠いと感じますか? 近いと感じますか? それが女性ゴルファーとの適切な“距離感”なのです。

清潔感のない身だしなみと立ち入った質問は絶対NG

 そのほかに、男性ゴルファーは忘れがちだけれども、女性ゴルファーと接する際は気をつけたほうがいいことをあらためて渡辺さんにお聞きしました。

「プロにも一般ゴルファーにもいえることですが、女性に接する時は第一印象、つまり見た目が大事です。表情、身だしなみ、立ち居振る舞い、言葉遣いなどが第一印象の良し悪しを大きく左右しますので気をつけたいものです」

「また、特に初対面のラウンド時などは、プライベートな質問は避けたほうが良いでしょう。『結婚していますか』『どこに住んでいるのですか』『ラインを交換して』などの発言はNGワードです。ともするとセクハラととらえられがちなため良好な関係を築くことができず、『二度とご一緒したくありません』と思われることもありますので、注意してください」

 女性ゴルファーとの接し方、距離の取り方は難しいかもしれませんが、相手を尊重することと軽率な言動を控えることを心がければ、自然に楽しい空間が生まれるのではないでしょうか。“快適ゾーン”を意識して“距離感”を磨いていきたいものです。

【図解】覚えていて損はない!? 接待や上司とのラウンドで役に立つ「カートの上座・下座」

画像ギャラリー

キャディー付きの場合は助手席が一番上座で後席真ん中が末席、セルフプレーの場合は運転席が末席で後席が上座
プレーの技量が影響しないスタートホールまでやインターバルの移動は一番若い方が運転すると良いでしょう
ゴルフ場でよく見かける4人乗りタイプ(G30Es) 写真:ヤマハ発動機
海外ではメジャーな2人乗りタイプ(YDRA1) 写真:ヤマハ発動機
ゴルフカートは左ハンドル
リモコン式のカートはリモコンか本体のボタンで発進・停止を行う
マナーを守って使えばメリットの多いサブバッグですが、カートのカゴに掛けて破損させるなどの事故も
カートのカゴは重いものに耐えられる造りではないと心得よう
カート道路は急カーブなどがあるため無理な運転をすると横転などの事故につながる 写真:AC
パートナーにはとにかく楽しくゴルフをプレーしてほしいものです 写真:AC
ティーショットを待っている際も距離感に注意 写真:AC
怒られてしまう可能性がある立ち位置はココ!飛球線後方に立つのはマナー違反です
ショットをしようとしているゴルファーの邪魔にならない理想的な立ち位置はここ
ラインを踏む可能性があると思う時は「ここを踏んでも大丈夫ですか?」と同伴競技者に確認しよう

最新記事