ラウンド中に「チクッ！」 ゴルフ場で虫に刺された時どうしてる？ 現役皮膚科が適切な対処法を解説

　広大な自然に囲まれた中でプレーできることがゴルフの魅力の一つでもありますが、その反面、ゴルフ場では虫に刺されるリスクもあります。自分の身を守るためにも、虫に刺されたときの正しい対処法を学んでおきましょう。

　ゴルフ場に生息する虫の中でも、毒を持っているハチには特に注意が必要です。ハチはむやみに刺激さえしなければ刺してくることは少ないものの、外敵から巣を守るために、威嚇して襲ってくる場合があります。

　皮膚科医である高橋謙氏（高は正しくははしごだか）は、ハチに関して「とにかく近寄らないことが大切です。スズメバチであれば黒色のものに攻撃してくるので、白系のウエアを着るようにしましょう」と注意を促しています。

　万が一、ハチに刺されてしまった場合の対処法については「まずは刺された箇所を目視して、毒針らしきものがあれば取り除き、ポイズンリムーバーと呼ばれる吸引器具を使って毒液を抜いてください。この器具は軽量で小型なので持ち運びにも便利でオススメですが、携帯していない人も多いでしょう。その際は水で洗い流したり、ステロイド軟こうを塗ったりするのが効果的です」と話します。

　さらに、虫に刺された後に体調が悪化するケースも考えられます。「下痢や嘔吐（おうと）、冷や汗や息苦しいといった症状はもちろん、体の所々に痒（かゆ）みを伴う発疹が出た場合もプレーを中止して医療機関へ行ってください」と高橋氏が言うように、深刻な事態に陥ってしまう前に、症状がひどい場合は必ず専門医の診察を受けましょう。

　暑い季節になると、屋外をブンブンと飛び回る厄介者の「蚊」が大量に発生しますが、蚊が活動するのは夏だけではありません。

　高橋氏は「今年の夏は35度以上になる日が長く続きましたが、蚊は35度以上の気温であれば活動量が低下します。つまり、秋に向かっていくこれからの時期のほうが活動量が多くなるでしょう。蚊は11月でも生息し、気温が10度あれば活動できる生き物なのです」と警告しています。

　ほぼ1日中屋外にいるラウンドでは、蚊に刺される可能性もゼロではありません。高橋氏は蚊に刺された場合の注意点として「とにかく“かかない”ことが一番大切です」と言い、以下のように話を続けます。

「刺された箇所をかいてしまうと、新たな刺激となって炎症が広がり、さらにかゆみを増す悪循環になる場合も。また、皮膚が傷ついてそこから細菌が侵入して化膿（かのう）したり、色素沈着を起こしたりするケースもあります」

「刺されてしまった際の対処法としては、保冷材や冷水などで刺された箇所を冷やすことが効果的です。ステロイド外用剤などを使えば、かゆみや炎症を抑えられるでしょう。ゴルフ場には蚊だけでなくアブやブヨ、毛虫なども存在しますが、そういった虫に刺された場合の対処法も、蚊に刺された時と同様の対応で大丈夫です」

　さらに高橋氏は「虫に刺された場合は、入浴や飲酒をなるべく控えるようにしてください」と注意を促します。

　ラウンドが終わった後は「ゆっくり湯船につかって疲れを取り、お風呂上がりにビールを1杯…」なんて考えているゴルファーもいるかもしれません。しかし、熱い湯船に入ったりアルコールを摂取すると「体内の血管を広げることになり、症状が悪化する恐れがあります」と高橋氏が述べているように、ラウンド終わりの至福のひと時をグッと我慢して、症状の改善に努めたほうが自分のためにもなると言えそうです。

　ゴルフは屋外でプレーするスポーツのため、常に虫刺されのリスクが潜んでいます。長袖や長ズボンを着用するなど肌の露出を抑えるといった対策に加え、虫に刺されてしまった際の対処法をあらかじめ理解し、自分の身を守る準備をしたうえでラウンドに臨みましょう。