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- え! ゴルファーが涼むためじゃないの!? 夏にゴルフ場で見かける「巨大送風機」はなんのためにある?
夏のゴルフ場ではグリーンのそばに巨大な送風機のようなものが置かれていることがありますが、どのような目的で使われているのでしょうか。
巨大送風機は芝の管理にとても必要な存在
夏にゴルフ場を回っていると、グリーンのそばで巨大な送風機のような機械を目にすることがあります。この機械はあくまでもゴルファーの熱中症対策ではなく、ゴルフ場に欠かせないものの管理のために設けられています。
では、一体何のためにある機械なのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)に聞きました。
「ゴルフ場の芝はイネ科の植物であり、園芸用や観賞用の芝とは異なる『スポーツターフ』としてメンテナンスをしなければなりません。植物の生育のためには光合成や『NPK(窒素、リン酸、カリウムの総称)』はもちろん、風通しも良くしておかないと病気にかかったり根腐れを起こしたりと影響を及ぼすことがあります。大きな送風機のような機械は、風の通りをよくするために設置しています。
実は、このような機械が重要視されるようになったのは近年の話です。1980年代から90年代にかけてのゴルフ場建設ラッシュのころは、グリーン周りの木もまだ大きくなく、人為的な配慮をしなくても自然と風がコース全体を回っていました。それから数十年経過して木々が成長したことによって、日照が不足したり、通風が悪化したりといったことが起こるようになりました」
「本来であれば木を何本か伐採するのが最も効果的だと思われますが、切り倒して運び出すにも時間や費用が掛かりますし、ゴルフ場の敷地外の木である可能性もあるため、そのような場合は代わりに送風機を置いて人工的に風を作り出すようにしています」
ゴルフ場の芝も立派な生き物ですので、毎日手入れをしないとすぐに弱ってしまいます。送風機は、簡単に芝の光合成や呼吸に必要な空気の入れ替えをしてくれる非常に便利な設備だといえます。
芝の表面温度を4度、気温を5度減少させる力がある
では、このような送風機は主にどのような時期によく稼働するのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「ゴルフ場によって、お茶畑にあるような高いポールの先端にプロペラが付いたタイプからキャスターが装着されていて移動できるタイプまで色々な種類が存在しますが、芝の顔色を見ながら適宜使用します。また、雨が降った後に芝を濡れたままにしておくと湿度が高くなって根が腐ってしまう恐れもあるため、乾燥目的でも必要になってきます」
「基本的に高温多湿でジメジメした空気が滞留しやすい夏によく使われますが、グリーンの表面に霜が降りるのも防げるので冬にも使用されることがあります。以前は、グリーン全体に専用のシートを被せていましたが、出し入れがとても大変なので現在は送風機で代用しているコースも多いです」
「また、計画段階から風の抜けまでもが計算に入っているゴルフ場においては、太陽の陰になる北側の斜面にコースを造らなかったり、全てのホールに等分に日光や風が入るような形状にしたりすることで、送風機を使わずとも芝の健康状態をキープできる構造になっています」
「送風機は、建設機械のレンタル業者などから借りる方法もあれば、通年使用するところでは購入する手もあります。そのため、倉庫に多くの送風機を保管しているゴルフ場も少なくありません」
「実際の効果としては梅雨から夏にかけて使用した場合、芝の表面温度は風を送り込まなかった時と比べておよそ4度、気温に関しては5度も減少させる力を持っています」
夏のコース管理はとても大変です。スタッフがさまざまな工夫をしたり、知恵をしぼったりして、芝がいつまでも青々としていられるように努力をしています。我々ゴルファーも目土をしたり、ボールマークを直したりして最大限の協力をしたいですね。
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