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- なぜゴルフ場のクラブハウスは必要以上に豪華なつくりが多いの? バブルの“負の遺産”は細かく見るとツギハギだらけ!?
チェックインとチェックアウト、ロッカールームでの着替えなど、クラブハウスで過ごす時間はそこまで長くはありません。しかし、多くのゴルフ場のクラブハウスは、非常に豪華なつくりをしています。
バブル時代のしわ寄せが現在のゴルフ場を圧迫
ゴルフ場にとって「顔」といえる存在はコースですが、クラブハウスもまた、ゴルファーたちの交流の場として重要な役割を果たしています。

しかし、クラブハウスはハーフターンの休憩をのぞけば、ロッカールームでの着替えやチェックイン・アウトくらいでしか使わないので、滞在時間としてはそこまで長くはありません。
にもかかわらず、まるで高級ホテルのような豪華なつくりをしているところも多いですが、なぜなのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。
「バブル経済の時期、ゴルフ場は『高額会員権』をこぞって販売していました。昭和の末期から全国各地でゴルフ場の建設ラッシュが相次ぎましたが、日本の国土は狭いため、ほかの土地利用が難しくなってしまう恐れがありました」
「そのため、関東近郊を中心として新規でコースを建設する計画は、相次いで凍結されました。ギリギリ規制がかかる直前で建設の許可を得たゴルフ場は、新たな競争相手がいなくなったことをチャンスと捉えました。『会員権は投資対象になり、価値が下がるものではない』と、会員権を高額で売り始めたのです」
「多くの人に自分たちのコースに魅力を感じ、会員権を買ってもらおうと様々なところで贅を尽くす一環として、どんどんクラブハウスは豪華になっていきました。当時はコースやクラブハウスが未完成でも、会員権を先に募集することが認められていたのです。出来上がる前から雰囲気を味わってもらおうと、イメージ図などが記載されたパンフレットを『桐箱』に入れてアピールするなどしていました」
ゴルフ場の建設や運営のために会員から集めるお金を「預託金」といいます。不況によってゴルフ場の資金が不足し、会員が退会しようとして預託金の返還を請求しても返せない「預託金償還問題」におちいったゴルフ場も多くありました。
そのため、現在ではゴルフ場が出来上がってから初めてメンバーを募れるようになっており、完成前に会員を募集することは禁止とされています。
豪華なクラブハウスを維持するのは難しい
近年、バブル期につくられた豪華なクラブハウスには、どのような問題が発生しているのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「建材やパーツなど細部にまでこだわってつくられたクラブハウスですが、バブルが崩壊して30年以上が経過しています。調度品などの目に見える部分はもちろん、館内に張り巡らされている配管や空調設備、水回りにも老朽化が目立ってきています」
「補修は繰り返し行われていますが、以前と比べればメンテナンスにかけられるお金は少なく、当時は調達できた建材や部品もそろわなくなってきています。周りの雰囲気とはそぐわないチープな素材で代用されるなどして、ツギハギだらけになることもあります」
「個人的には、構造やデザインはシンプルでも使い勝手が良くて、年月が経つとともに味が出てくるようなクラブハウスが望ましいと思います」
有名な建築家に設計を依頼したはいいものの、構造が複雑になってメンテナンスが大変だったり、クラブハウスばかりが目立って、コースとの相性がマッチしなかったゴルフ場もあるといいます。
クラブハウスでくつろいでいると贅沢な気分になるかもしれませんが、そのようなつくりは「バブル」という激動の時代を象徴するもの。同時に、ゴルフ場運営の難しさを物語っているともいえるでしょう。
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