- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ゴルフの豆知識
- 冬のコーライ芝は燃えます、マジで! タバコの不始末だけじゃない「ゴルフ場火災」の原因には何があるの?
ゴルフ場は芝や木々が密集しており、冬場は空気が乾燥しているため、火災のリスクが急激に高まります。ゴルフ場内で火事やボヤを見かけたら、どう対応すべきなのでしょうか。
自分で消そうとは思わずマスター室などに連絡を
冬は空気が乾燥し、火災のリスクが高まる季節です。ゴルフ場は可燃性が特に高いといわれる芝や木々が密集しており、火事が起きると被害が拡大する恐れがあります。
では、ゴルフ場内で火災が発生したら、どのように対処すればいいのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。
「もしも火事やボヤを見かけたら、迷わずカートに付いているナビからキャディーマスター室に連絡し、できるだけ早くスタッフに来てもらうようにしましょう」
「どこのカートから呼び出しがあったかはマスター室側も分かるはずですが、詳細な情報をいち早く伝えるために、何番ホールのどのあたりから火や煙が上がっているのかを冷静に伝えることが大切です」
「スタッフが到着するまでに何とかしようと、気が焦って自分で消火したくなる人もいるかもしれません。しかし、火の手が大きくなるとヤケドをしたり、起伏に足を取られて転倒してしまう恐れもあります。安全を十分に確保できる場所でじっと待つ方が、被害の拡大を抑えるためには有効です」
日本のゴルフ場は、フェアウェイやティーイングエリアにはコーライ芝、ラフには野芝と日本芝が使用されるのが一般的ですが、これらは冬を迎えると見た目が黄色くなって成長がストップする“暖地型”の芝に属します。
実際、多くのゴルフ場では11月頃にはフェアウェイやラフは刈り止めをし、翌年の2月頃まで芝刈りの作業を実施しません。その間、生育に必要な水分も減るので葉や根の中は非常に乾燥し、何かきっかけがあったらすぐに火が広がってしまう可能性があるとされています。
クラブとの摩擦熱で引火するケースもある
では、ゴルフ場内で火災につながる原因には、どういったことが挙げられるのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。
「ゴルファーが吸った後のタバコの不始末が、最も大きな原因として考えられるでしょう。過去にはタバコの吸い殻に残った火が強風であおられてコース内に燃え広がり、数ホールを焼いてしまったという事例もあります」
「コース内やカートに設置されている目土入れを灰皿代わりにすることもしばしば問題になっています。砂の中に突っ込んだとしても、完全に火が消えるとは限りません。そもそもマナー違反であり、喫煙が認められていない場所に火気を持ち込むのは厳禁です。ちゃんとした灰皿が用意されていて、喫煙が認められている場所のみで吸うようにしましょう」
「ただ、中にはゴルフ場側のミスや予想だにしないきっかけで火事に発展してしまう場合も。たとえばコース管理に使われる機械には芝刈り機以外にも、水や肥料を散布するものやグリーンのコンディションを整えるものがあります。こうした機械が動いている最中に整備不良など何らかのトラブルで火花が出て、芝に引火することもあります」
「信じがたい話ですがクラブを振ったところ、その摩擦熱で芝に火が付いたというケースも何件か報告されています。それだけ、冬のコーライ芝や野芝は水分量が少なくなっているので、ゴルフ場で火災が発生する原因はタバコだけではないのです」
実際に、2010年には宮城県内のゴルフ場でとあるゴルファーがラフから5番アイアンでショットをした際、近くにあった枯れ草を巻き込んでおよそ900平方メートルを焼く火災につながったそうです。
男性が使っていたのはチタン製のアイアンでしたが、チタンはステンレスよりも硬くて摩擦時に火花が出やすく、ちょうどスイングした位置にあった小石と擦れ合い“火打ち石”の原理で火が出たとされています。
飯島氏は「ゴルフコースが火事に見舞われるのは是が非でも避けたいが、山で“野焼き”をする目的からも分かるように、春になったら燃えた場所の芽吹きが非常に良くなるのは皮肉である」と話します。
日常生活においても火事には気を付ける必要がありますが、ゴルフ場は“枯れた芝や落ち葉”という、特に燃えやすいものが一面に広がっています。自分の不注意で火種を作って周りに迷惑をかけないよう、細心の注意を払ってラウンドしましょう。
- 1
- 2
最新の記事
pick up
ranking