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- 事前調査で遺跡や古墳が出てきたのが原因!? ドッグレッグホールにはゴルフ場の“裏事情”が満載ってホント?
コースの中にはドッグレッグホールと呼ばれる左右に大きく曲がったレイアウトがあり、苦手意識を持っている人もいると思います。では、ドッグレッグはどういった経緯で作られているのでしょうか。
仕方なくドッグレッグになってしまったケースもある
ゴルフ場はホールごとに距離やハザード、アップダウンなどに違いがあり、それを攻略する楽しさも醍醐味(だいごみ)といえます。ホール形状の中にはドッグレッグと呼ばれるものもありますが、苦手意識を持っている人もいるのではないでしょうか。
ドッグレッグはどういった経緯で作られるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。
「ドッグレッグは、上空から見た時の形状が途中で折れ曲がっていて、犬の後ろ足のようであることからそう名付けられています。そして、ティーイングエリアから見て左に曲がっている場合は『左ドッグ』、対して右に曲がっている場合は『右ドッグ』と呼ばれています」
「先が見通せないようなドッグレッグは、プレーヤーを飽きさせない工夫であり、コースマネジメント上のアクセントでもあります。例えば、安全策でホールの形状通りに打っていくことも戦略の一つですし、自信があればカーブの林方面を攻めてショートカットするというマネジメントもあるでしょう」
「このようなドッグレッグをうまく配置できているかで、そのゴルフ場の良し悪しが判断されるケースも少なくありません。しかしなかには、ゴルフ場の事情でドッグレッグを作らざるを得ない場合もまれに存在します。ゴルフ場の敷地は全て買い取った私有地とは限らず、一部は隣接する地権者に賃料を支払って借り受けていることもあります」
「借地を利用するには、その土地を所有している人と交渉を重ねる必要がありますが、建設の許可が下りないこともあります。この場合、仕方なくゴルフ場の私有地と隣の土地との境界線に沿ってコースを作り、結果としてドッグレッグにするのを余儀なくされたところも見受けられます」
ゴルフ場によって、敷地全体のうち借地が占めている割合はさまざまですが、平均では10〜20%程度と言われています。しかし、郊外や山間部は広大な農地や牧場地を転用できるのに対し、市街地から近いところは地割が細分化されているため、後者の方が割合は高くなる傾向にあるようです。
事前調査で歴史的な遺跡が見つかることもある
また飯島氏は「コース設計を変更しなければならないケースは他にもある」と話します。
「ゴルフ場を建設する際には、手を加える土地がどんな状態であるか事前調査を実施します。その時に予想外の歴史的な遺跡が見つかることがあるのです」
「縄文時代の住居跡や長い年月のうちに埋められてしまった古墳などはその一例で、中でも考古学的に価値が高いと判断されたものは解体せずに現状保存となります。しかし、開発する土地の形に合わせてコースやクラブハウスの位置などは決まっていることも多いので、そのような状況になったら急きょホールレイアウトの調整が入ります」
「むしろ、最初に設計された通りにそのままの形でゴルフ場が作られることの方が珍しいと思います。ただ、設計家も不測の事態に備えてレイアウトのパターンは前もっていくつも考えているため、想定外に遺跡が発掘されたとしても、建設が延期になるのはあまりないでしょう」
実際に、ゴルフ場建設により周辺の土地を調査したところ、遺跡が発掘された事例は数多く挙がっています。例えば、千葉県の「東急セブンハンドレッドクラブ」近くでは旧石器時代のナイフ型石器や縄文土器など発見され、埼玉県の「おおむらさきゴルフ倶楽部」では平安時代の住居や木炭を作る炭窯の跡などが見つかっています。
ゴルフ場は、敷地が広い分だけその範囲内で何が起こるかわからず、時にはコース設計の大幅な変更を求められる場合もあるようです。普段からゴルフ場のレイアウトに興味を持って見てみると「どうしてここがドッグレッグになっているの?」というような疑問が出てきて面白いかもしれません。
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