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- クラブバスの調達や運転手の確保… 高まる「電車ゴルフ」のニーズも手放しで喜べないゴルフ場の事情
車を持たない人の増加や宅配料金の値上げを背景に、「電車で行くゴルフ」が注目されています。一方で、ゴルフ場側はクラブバスの運行や人材確保など、新たな課題への対応を迫られているそうです。
電車ゴルフのニーズが都市部を中心に高まる
日本のゴルフ場は、電車の駅よりも高速道路のインターチェンジからアクセスしやすい場所に造られているケースが多く、車で行くのが一般的でした。少し前までは、ゴルフへ行くとなれば、自家用車で仲間をピックアップしながらコースへ向かうスタイルが主流だったと思います。
ところが最近は、その風景が少し変わってきました。週末の朝、都心部の在来線に乗ると、キャディーバッグを担いだゴルファーを見かける機会が明らかに増えています。
背景には、都市部を中心としたライフスタイルの変化があります。車の購入費や維持費が高くなり、自家用車を持たない生活を選ぶ人が増えました。また、高齢ドライバーによる事故が社会問題化したことで、運転免許を自主返納する人も出てきました。そうした事情もあり、「電車で行けるゴルフ場」のニーズが以前より高まっています。

電車でゴルフ場に行く人が目立つようになったのは、キャディーバッグの宅配料金が大きく値上がりしたことも影響しています。以前は気軽に送っていた距離でも、今は往復で数千円単位の負担になります。そのため、キャディーバッグを宅配便で送らず、自分で持参するゴルファーも少なくないようです。
ただ、電車ゴルフには条件があります。駅から近いことと、最寄り駅からクラブバスが運行されていることです。ひと昔前であれば、駅前にタクシーが待機していて、乗り合いでゴルフ場へ向かうスタイルも珍しくありませんでした。しかし今は、タクシーの台数が減っています。駅に着いたものの、タクシーが1台もいないというケースもあります。
そうなると、ゴルフ場側のクラブバス運行が、電車ゴルフを支える重要なインフラになってきます。ただ、その運営は決して簡単ではありません。ゴルフ場関係者は、こんな話をしていました。
「クラブバスを運行しようと思ったら、まずバスが必要ですよね。バスを購入すると、1台1000万円くらいします」
「うちのゴルフ場は29人乗りの大型バスを使っています。それでも週末は満杯になり、乗り切れなくなることもあります。そういうときは“お金はお支払いしますから、タクシーで来てください”とお願いします」
「それと、クラブバスを運行するには運転手が必要です。朝早い時間から駅まで迎えに行って、9時半ぐらいでいったん仕事が終わります。そして今度は、14時過ぎからお客様の帰りに合わせて、また動かなければなりません」
「その間ずっと働くと、労働時間が長すぎますから、“中抜け”してもらいたいのですが、それをOKしてくれる運転手を探すのは相当大変ですね」
バスの調達や運転手の確保など体制を整えるのも簡単ではない
そのため、ゴルフ場によって対応は分かれます。
「うちはクラブバスの運行を自前でやっていますが、バスも運転手も全部外注するところもあります。そうすると運転手を探す手間はなくなりますが、その代わりコストがかかります」
それでもやっぱり電車ゴルフへの対応はやめられません。
「“ゴルフ場に電車で行ける”って、お客様にとって非常に魅力的なんですよ。最近メンバーになった方も、『年を取ったときのことを考えると、電車で行けるコースを持っておきたい』とおっしゃっていました」
今後も都市部を中心に、車を持たないゴルファーはさらに増えていく可能性があります。高齢化も進みますから、「自分で運転しない前提」のゴルフ場選びは、ますます重要になるでしょう。
そう考えると、電車ゴルフの需要に応えられるゴルフ場は、何とかして供給体制を維持しようとします。一方で、“電車でのアクセスが厳しいゴルフ場”は、料金やサービス、食事、コースメンテナンスなど、別の魅力で選ばれる必要があります。
もし将来、自動運転が本格的に実用化されれば、ゴルファーの移動手段は大きく変わるかもしれません。ただ、それまでは、「電車で行けるゴルフ場」と「そうではないゴルフ場」の差は、今よりも広がっていく可能性がありそうです。
文・保井友秀(やすい・ともひで)
1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーライターとしての活動を開始。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。現在はゴルフ雑誌やウェブサイトなどで記事を執筆している。
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